ゴクアクボンドのアジトへ
う~ん、隊長達のドキュメンタリー映画のタイトルどうしようかな~?
~番組制作プロデューサー、チャールズ=マッコイ~
ゴクアクボンドのメンバーに連れられたハリガネとシアターは、荷車を動かしながらアジトを目指すべくパルメザンチーズ山脈内の急斜面な山地を歩いていた。
(さっき、ブルーチーズ湖を通り過ぎていったって事は...パルメザンチーズ山脈内に入ったという事か...。四方八方で気配を感じるし魔獣の金切り声がよく聞こえるぜ。やはり“アルマンダイト”の巣窟は緊張感が違うな...)。
ハリガネは正面を向いたまま耳を澄ませて魔獣達の気配を感じ取っていた。
「...」。
隣にいたゴクアクボンドのメンバーの一人が、怪訝な面持ちでハリガネの事を横目で見ていた。
「...お前、パルメザンチーズ山脈の中に入るのは初めてか? 」。
その男がハリガネにそう声をかけた。
「へい、初めてでやんす。ですから、ここら辺のルートが全然分からなくて...」。
「初めてにしては、お前やけに落ち着いてるな。山脈に初めて入る商人や職人なんかは、ほとんど挙動不審な感じで辺りをしきりに見回してたもんだ。まず、戦闘人じゃない商人とかは危険だからこんな所寄り付かないしな~。お前、本当に商人か? 」。
「いやぁ~、あっしは戦中期の傭兵だったでゲスよ~。今は狩猟と兼業しながら商売をやってますでござる」。
ハリガネがそう答えると男は納得した様子で小さく頷いた。
「ああ~、戦地に慣れているのか~。そうか、道理で落ち着いてると思った。だが、パルメザンチーズ山脈はそんなに甘いもんじゃねぇぞ? 」。
「やはり、“アルマンダイト”はゴクアクボンド様でも脅威的でやんすか? 」。
「いや、俺等だけじゃなく“アルマンダイト”はどの組織においても脅威的だ。なんせ国家の軍隊でも対抗できないんだからな~」。
「ほぉ~、でも“アルマンダイト”も山脈の方で活動してるんでござんしょう? 皆さんも大変でやんすね~」。
「その点については何処も同じなんじゃねぇかな~? てか、お前は山脈にいる組織の事は知ってるのか? 」。
「あ、はい。ケチャップ国付近にはヒラメキーナ様が、ソルト国付近はエミール様がいらっしゃるという事を御聞きしておりますでおじゃる」。
「ああ~、知ってるのか。じゃあ、後々そっちの方にも挨拶へ行った方がいいぞ。今後山脈で商売がしたいんだったらな」。
「へい、また後日に物資を調達して御挨拶に伺うつもりでゲス」。
ハリガネが男にそう答えた時、先導していた男達は橙色に錆びた鉄製の大きな門扉の前に立ち止まった。
正面の門扉の周りにはそびえ立つ石垣が拠点地を高々と囲っているため、中の様子を確認する事ができない。
「ここが俺達ゴクアクボンドのホームに通じるゲートだ。この中にボスや仲間達が暮らしている」。
男はそう言ってハリガネ達に立ちはだかる門扉を指差した。
(まさか、パルメザンチーズ山脈...しかも賊団ゴクアクボンドのアジトに入る事になるとは思わなかったな~。気を引き締めて調査しないとな...)。
ハリガネは固唾を吞みながら目深に被っているフードを被り直し、神妙な面持ちで門扉を見つめていた。




