イエモンの影
基地内での生活〜?
う〜ん、テキトーに作業してガキ…子供達と一緒に遊んで過ごしてるね〜!
~ノンスタンスのメンバー、マーシュ~
「あの~、イエモン先輩ってどなたです~? 隊長達の同僚さんですか~? 」。
パルスは首を傾げながらそう問いかけた。
「あ、パルスさんは当時防衛の方でしたからイエモン先輩は知らないんですよね~。イエモン先輩はゴリラ隊員と同期で、僕やヤマナカにとっては先輩兵士になるんですよ~。ちなみに王国軍に入隊した時、僕の教育係だったのがイエモン先輩だったんですよ~」。
「ああ~、前線部隊の兵士だったんですね~! ポンズ王国軍の前線部隊は戦中期の激戦を生き抜いてきた猛者達の集まりだったと聞いています。特に隊長達の第一中隊“ガレージ”はとんでもないバケモノの集まりだったとか」。
パルスがそう言うと、ハリガネとゴリラ隊員は苦笑した。
「ははは、なかなか個性的な部隊ではありましたね~。本当にクセが強い集団でしたよ。まぁ、イエモン先輩もなかなか個性的な人でしたけど、剣術限らず兵士としての立ち振る舞いとか色々と教わりましたよ~」。
「へぇ~! 隊長の先輩兵士かぁ~! やっぱり、そのイエモンっていう人は強いんですよね? 」。
パルスがそう問いかけるとハリガネは大きく頷いた。
「ええ、イエモン先輩は僕と同じく剣圧を利用した空斬撃を軸に剣術を使いこなす剣士です。防具を装備せず太刀一本で戦闘するスタイルで、その太刀だけで特攻を仕掛けて幾多の諸国軍部隊を壊滅させてきました。ちなみにイエモン先輩も魔法は一切使えません」。
ハリガネがそう言うとパルスだけでなく、周囲にいたノンスタンスのメンバー達も驚愕した様子で目を大きく見開いた。
「えぇ~!? 太刀一本でぇ~!? 何か動きが高速になったりとか身体を強化する効果魔法とか使ってるんじゃないですかぁ~?? 」。
パルスが続けてそう問いかけると、ハリガネはゆっくりと首を横に振った。
「いや、イエモン先輩自身は魔法の力に頼る事に否定的なので、魔法どころか魔法効果のある武器すら使ったところは見た事無いです」。
「否定的? 」。
「アイツなりの哲学ですよ。“剣術は魔術を上回る能力、剣術を極めた剣士は魔法使いも魔術師も恐るるに足らず”...。まぁ、実際そんなヘンな考えを持ってる奴等ばっかりですよ。第一中隊“ガレージ”の連中達なんてのは」。
ゴリラ隊員がそう答えるとパルスの目が輝き始めた。
「かっちょいい~! 魔法に頼らず己の磨き上げた剣術を信じるっ! 戦士の鑑だなぁ~! やっぱこうでなくっちゃなぁ~! 」。
「...ちょっと、顔洗ってきます」。
テンションが上がっているパルスを余所に、ハリガネは自身の身体に絡みついているアネックスの腕を解いて神妙な表情を浮かべながら地下の鍾乳洞に通じている穴の中へ足早に入っていった。
「...」。
ゴリラ隊員も神妙な表情を浮かべ、地下へ下りていくハリガネを黙って見送った。




