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破離刃離☆勇者ハリガネⅣ~この世から捨てられた奴等が行き着く地、パルメザンチーズ山脈~  作者: 田宮 謙二


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ライダー


基地の中ではみんなと魔獣の毛皮を使って裁縫したり作業して隊長さん達のお手伝いしてます。


こんな生活が続いたら良いな…なんて、思ってたりして。




~ノンスタンスのメンバー、キュン~


ハリガネはノンスタンスの青年メンバーを自分達のテーブル席へ呼んで聞き取り調査を行っていた。


「なるほど、そのライダーってのは一年前にデイが異国の地からスカウトしてきた戦闘組のメンバーで、デイの側近の一人というわけか。それで、今はデイや戦闘組と共に行動しているであろうという...」。


ハリガネはメンバー達の証言をノートで記録しながら情報を整理していた。


「はい...。でも、ずっとデイと行動を共にしていたので、僕等もあまりライダーの事は詳しく知らないんですよ」。


ホワイトがそう答えると、ハリガネは神妙な面持ちで小さく頷きながらワンムーンの方へ視線を向けた。


「それで、お前はそいつと肉体関係だったみたいだが、そのライダーの事に関して何か知らんか? てか、そいつって強いの? 」。


ハリガネがそう問いかけると、ワンムーンは目を見開きながら顔を真っ赤にして勢い良く椅子から立ち上がった。


「ライダーさんとはそんな不埒ふらちな関係じゃないもんっ! それに、私はこの発情猫と違ってメンバーと()()()()はしないわよっ! 」。


ワンムーンはそう言って再びハリガネの首に背後から抱きついているアネックスを指差すと、そのアネックスは苛立った様子で不満そうな表情を露わにした。


「誰が発情猫よっ!! 」。


「アンタよっ!! アンタっ!! なりふり構わず楽しんでたみたいじゃないっ!! 」。


「何ですって!? そんな事言って本当は自分だってみんなの見えないところで()()()()()()だったんじゃないのっ!? 」。


「はぁっ!? そんな事ないもんっ!!」。


「はいは~い! ストップ! ストップ! 話が進まないからやめろっつーの! それとアネックス! 首が痛いからいい加減離れてくれ! 」。


「もぉ~、しょうがないなぁ~」。


「いや、俺の膝の上にも座らないでくれる? 足痛いから」。


ハリガネがそう冷たくあしらうと、アネックスは頬をぷくっと膨らませた。


「むぅ~、ハッタン注文が多い~。わがまま~」。


「いや、注文じゃなくて苦情なんですけど。あと、俺ハッタンじゃないし」。


「えぇ~?? 」。


「ほらっ! いい加減離れろっ! 」。


「い~や~だぁ~! 」。


「貴様等ッ!! いつまでじゃれ合ってんだッ!! 一向に話が進まんッ!! 」。


ゴリラ隊員が見かねて格闘するハリガネとアネックスにそう苦言を呈した。


「別に、じゃれ合って...もういいや。それより、単刀直入に聞くけどそのライダーっていうメンバーは強いのか? 」。


「戦闘組の中では、ずば抜けて能力が高かったと思います。その戦闘組でも一目置かれていた存在だったみたいで、ライダーが加入した時には既にノンスタンスは組織として破綻していたんですわ…。せやけど、ライダーは疲弊しきったノンスタンスに襲いかかってきた諸国の軍隊や賊人達をことごとく撃退して組織を護り抜いてきたんです」。


「ふむ…即戦力のメンバーだったというわけか。そのライダーというメンバーがデイと行動しているとなると、なかなか厄介だな」。


ホワイトの話を聞いたゴリラ隊員は、険しい表情を保ったまま両腕を組んでうつむいた。


「デイもライダーの事はかなり信頼しているみたいでした。パルメザンチーズ山脈で賊団に襲われた時も、ライダーがいなかったら全滅していたかもしれませんわ」。


「それで、そのライダーという奴もデイと一緒にポンズ王国へ侵入して抗争に参加していたのか? 」。


ハリガネがそう問いかけると、ホワイトは即座に頷いた。


「はい、戦闘組と参加してたはずです。結果的に戦闘で負傷してしまいましたが、僕等と国外へ脱出しました」。


「そのライダーって奴も魔法を使うのか? 」。


ゴリラ隊員もハリガネに続いてそう問いかけた。


「はい、ライダーは魔獣と人間のハーフみたいで電撃系の魔法を得意としています。ただ、剣術も相当腕が立つ奴なんですよ。実際、ライダーに何とか助けてもらって僕等は王国から脱出できたわけですからね。いやぁ〜! 袴姿の男に襲われた時は死ぬかと思いましたが、ライダーに助けられましたわぁ〜! 」。


「袴姿…? 」。


ハリガネはホワイトの言葉を聞くと、怪訝な表情を浮かべてゴリラ隊員に視線を向けた。


「その袴姿の男は太刀でお前達を襲撃してこなかったか? 」。


ゴリラ隊員が厳かな口調でそう問うと、ホワイトは目を見開いて大きく頷いた。


「そうですっ! デイも僕もあの時は逃げる事しかできない状態だったんですけど、ライダーがいてくれて助かりましたわ〜! それで、ライダーもその男に抵抗しながら何とか逃げてきたみたいですわ。その男もなかなかの手練れだったみたいで、さすがのライダーも大分しんどかった様子でしたね…。まぁ、あんな滅茶苦茶な状況下から逃げる事ができた僕等は本当に幸運でしたね〜! 」。


「なるほど、イエモン先輩とやり合ったのか…」。


ホワイトの話を聞いたハリガネは神妙な表情を浮かべ、静かな口調でそう呟いた。


「こいつは...厄介だな」。


ゴリラ隊員も険しい表情を崩さずにそう言って小さく溜息をついた。




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