行方不明のオッサン
え? 外で隊長達が戦闘してる時、僕は何をしているかって?
怖くて荷車の陰に隠れてるよ~!
だって、怖いんだも~ん!
~討伐部隊“勇者”シアター=アローン隊員~
商人に成りすましたハリガネとシアターは、荷車を移動させながら基地の周辺を巡回していた。
『こちらパルスっ! こちらパルスっ! 只今テスト中~! 皆さん聞こえますかぁ~? どうぞ~? 』。
パルスが魔法陣を通じてハリガネ達に問いかけてきた。
「こちらハリガネ! 聞こえてま~す! どうぞ~! 」。
ハリガネは魔法陣が描かれた手の甲に口を近づけてパルスにそう返答をした。
『うわぁ~! スゲー! ちゃんと聞こえるぞぉ~! 』。
パルスは楽しそうな様子で声を弾ませていた。
『こちらミツカ! よく聞こえま~す! 僕の声も聞こえてますか~? どうぞ~? 』。
「こちらハリガネ! ちゃんと聞こえてま~す! どうぞ~! 」。
ハリガネは荷車を牽きながらミツカに応答した。
『こちらゴリラッ! おいッ! お前は基地から離れた場所で巡回してるんだからみだりに交信するなッ! ちゃんと周囲を警戒しろッ! どうぞッ! 』。
「こちらハリガネ! 以後気を付けま~す! アウト~! 」。
ハリガネはそう言って交信を切り上げた。
「無線を使うとなんか戦中期を思い出すなぁ~! 空爆とか銃声が飛び交う騒音の中を怒鳴りながら本部に無線越しで戦況を伝えてたなぁ~」。
ハリガネは当時の事を懐かしむように空を見上げながらそう言った。
「お、恐ろしい...。た、隊長はそんな凄まじい生活をしていたんですね...」。
シアターは顔を引きつらせながらそう言いつつ荷車を後方から押していた。
「う~ん、そうかな~? 戦中期はずっと戦地にいたので感覚が麻痺しちゃってるのかもしれないですね~! 」。
「えぇ...」。
ハリガネの言葉を聞いたシアターは表情を強張らせた。
「まぁ、戦中期は歩兵部隊と諸国へ出撃したんで色々と大変でしたけど、今はシアターさんやパルスさんとか魔法を操る隊員がいて頼もしいですよ~」。
ハリガネがそう言うとシアターは表情を綻ばせ、照れくさそうに自身の頭を撫でた。
「いえいえ~、私なんてそんな...。あ、ところで話が変わっちゃうんですけど...」。
「はい」。
「あれからジューンさん戻って来ないですけど、何処へ行っちゃったんでしょうね~」。
「ああ~、あのオッサンは何をするか予想できないから、今は何してるのか分からないっすね~。王国に帰ったか、諸国で調査でも...」。
ハリガネがシアターにそう答えかけていた時...。
ピキィィィィイイイイイイイイイイイイイイインッッ!!
「...ッッ!? 複数の気配を感知ッッ!! 」。
ハリガネは気配のする方向へ視線を向け、シアターと共にその場で身構えた。
(六人の集団...賊団か? )。
ハリガネは目を凝らしながら接近してくる集団をシアターと共に待ち構えていた。




