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破離刃離☆勇者ハリガネⅣ~この世から捨てられた奴等が行き着く地、パルメザンチーズ山脈~  作者: 田宮 謙二


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錬金術師


え?


基地内の生活はどうだって?


まぁ、しっかり眠れるし、ご飯食べられるし...。


充実してる方かな~?


ちょっと、手先使う作業とかは苦手だけどね。


私はどちらかと言うと、自分の魔法を使ってノンスタンスのメンバーを守るために戦闘に参加する立場だったし...。


それに、不器用だし作業とかあまり向いてないし...ゴニョゴニョ。



~ノンスタンスのメンバー、ワンムーン~




「...」。


表情を曇らせて椅子に座ったまま両足と両腕を組み、不機嫌そうな様子を見せているアネックス。


「んぐっ! むぐぅ! 」。


そして、怒り任せに食べ物を頬張り続けるワンムーン。


ワンムーンとアネックスによるひと悶着があってから、重苦しい雰囲気が基地内に漂っていた。


「しかし、驚きましたよ~。賊団エミールの攻撃魔法でできた空洞が、僕達が戻ってきた時にはあんな立派な農地になっていたとは」。


そんな重い空気の中で、皆がしばらく黙々と食事している時にハリガネが不意にそう話を切り出した。


「他にも空洞がありますから、そこにも岩を塞いだ後に魔法陣も繋げて何か今後の活動に役立てたいっすね~! 」。


パルスがハリガネにそう答えると、ミツカが満面の笑みを浮かべながら自身の胸を強めに叩いた。


「はっはっは~! 設備工事の方は僕に任せてよ~! それに、隊長さんがゴクアクボンドのアジトから使えそうな工具も持ち帰ってくれたし、木材も加工してる最中だから中の拡張工事もできそうだしね~! 」。


「ミツカさんはフィジカルも半端ないですからね~! ホント頼りになるなぁ~! 」。


ハリガネも笑みを浮かべそう言いながら感慨深そうに何度も頷いた。


「あと、欲を言えば鉱石が欲しいっすね~! 」。


「鉱石...ですか? 」。


パルスの言葉を聞いたゴリラ隊員が眉をひそめてそう聞き返した。


「ええ~! 鉱石さえあればこれから色々と便利になるんですけどね~! 」。


「へぇ~、そうなんですか? 」。


ハリガネがそう問いかけると、パルスは小さく頷いた。


「は~い、鉱石の性質によって様々な魔力が宿ってるんですよぉ~! 鉱石は薬や魔法を生み出す特殊な道具を製作する時に重宝されてるんですよね~! 魔力が込められた植物やここら辺のブルーチーズ川の水も申し分ないんですけど、薬とかのバリエーションも増えますし砕いた鉱石を用いて調合すると更に大きな効果が得られるんですよね~! 」。


「あ、確かにそうですね~。鉱石で火薬作って爆発物も作れそうですね~! 」。


「でも、俺達は前線の方だったわけで兵器を扱う専門士じゃないからそういう危険物は作れないだろう」。


「確かに、下手したら爆発に巻き込まれて死んじゃいますね~」。


「アホ、ここだとシャレにならんわ」。


吞気な様子で笑って話すハリガネに、ゴリラ隊員は半ば呆れながらそう返した。


「実際、魔獣の捕獲や討伐のためにも鉱石の魔力を利用したトラップも作られてますからね~。それに、場合によっては自分が放出して描く魔法陣の魔術より、鉱石を使用した方がより強力な魔術効果を得られますからね~。鉱石はあった方が断然良いですね~」。


「これから”アルマンダイト”を討伐するためにはトラップの事も考えなければいけないわけですし、鉱石の事とか色々と考えておいた方が良いかもしれないですね~」。


ハリガネは神妙な表情を浮かべてパルスにそう相槌を打った。


「まぁ、オイラでも自分の魔力を操って鉱石の効果を引き出す事は可能なんですけど、できればその道のスペシャリストがいたら楽チンなんっすよね~! 」。


「スペシャリスト...? 」。


ハリガネが片眉を吊り上げてパルスにそう聞き返した。


「錬金術が使える錬金術師っすね~! 」。


「錬金術師...か」。


神妙な面持ちのハリガネは察したような様子でうつむきながらそう呟いた。




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