産業革命
刑務所内では、脱獄される恐れがあるって事で刑務作業させてもらえなかったんだよね~!
あと、独房の中でも魔法で加工された金具で拘束されてて、あまり身体が動かせないような状況下だったんだよ~!
まぁ、看守の目を盗んで金具外してこっそりトレーニングしてたけどね~!
~ソイ=ソース共和国軍施設部隊、ミツカ=サウスタウン工兵~
「ふぅ~! とりあえず農作物が植えられる畑のスペースが一通りできたのと、落盤に備えて作った梁の設置も終わったよぉ~! これで拡張工事する時にここが崩壊するリスクが少なくなったね~! てか、拡張する前に最初から作っとけってね! 掘削してる時に落盤が起きたらどうするんだって話だよね~! はっはっはっは~! 」。
ミツカは額に浮き出た汗を手首で拭いながらその場で高笑いをした。
(し、信じられん...外にあった倒木を強引にねじ込んで支柱と梁を建てやがった...。そ、それも何の工具も使わずに...)。
目の前の光景に圧倒されているハリガネを余所に、ミツカは隅に転がっている倒木を持ち上げた。
「この先、畑を耕したり効率良く農作業する時は農具が必要になると思うから、鍬とかシャベルとか何本か作っちゃおうよ~! 」。
「了解ですっ! 」。
ミツカはヤマナカと共に倒木を手刀でカットし始めた。
(切削加工機かコイツ等は...。まぁ、周辺にある木々や岩を用いて家具を作っていた時点で、今に始まった事じゃないんだけど...)。
己の肉体のみで木製農具を製作し始めたミツカとヤマナカに、ハリガネはドン引きした様子でその光景をただ眺めている事しかできなかった。
「いやぁ~! ミツカさんとヤマナカさんは本当にフィジカル半端ないっすね~! もう畑ができちゃうなんてな~! 」。
ハリガネの隣にいたパルスは感心した様子で両腕を組み、農具を作り始めたミツカとヤマナカを眺めていた。
「ははは...。基地内でも色々と産業革命が始まっているみたいで、正直皆さんのポテンシャルには驚かされてばっかりですよ~。いやぁ~、敬服致しました~」。
「いやいやぁ~! これも隊長が危険を顧みずに物資を調達してきたからですよ~! 」。
「ははは、僕は別にそんな...」。
「そうだよぉ~! ハリガネたんも頑張ったもんね~! 」。
後方から抱きついていたアネックスは、そう言いながらハリガネの頭を撫で始めた。
「てか、いつまで俺に抱きついてんだよ! いい加減にしやがれ! 暑苦しいし動き辛い! さっさと基地の方に戻れ! 」。
「い~や~だぁ~! 」。
ハリガネは強引に振り解こうとするも、アネックスはまたしても必死にそれを拒んでいた。
(クッソ~! 何でコイツは俺にまとわりついてくんだよ~! 何か、企んでんじゃねぇだろうな~?? 用心しないとな~! )。
ハリガネは密着しているアネックスにばつが悪い表情を向けながらそう思っていた。




