あれ...? ここ、何処?
そうそう、俺は相棒のパネーと一緒にゴクアクボンドに入ったよ。
もともとパネーとは幼馴染だったんだけどな~。
え? 何でゴクアクボンドに入ったって?
そうだなぁ~、パネーと面白い事や俺達にしかできねぇ事をやりながら生きていたいって思いがあったからかな~。
~パルメザンチーズ山脈賊団ゴクアクボンドのメンバー、コロモ~
オレンジ色に染まっていた夕焼け空は徐々に紫色に染まり始め、夜空へと変貌しつつあった。
そんな空の下、荷車を動かしつつ周囲をキョロキョロと見回している男が二人。
「あれ? おかしいなぁ~?? この辺に基地があるはずなんだけど...」。
ハリガネは怪訝な表情を浮かべながら地図を眺め、自分達の基地を探していた。
「こ、困りましたね~。このままじゃあ辺りが完全に真っ暗になっちゃいますよぉ~! 」。
シアターはそう言いながら怯えた様子で辺りをしきりに見回していた。
「う~ん、辺りが暗くなっても、自分は周りがある程度見えるんで問題無いんですが...。基地に戻れないのは困りますね~! 夜行性の魔獣達も活動し始める時間だし...」。
「そ、そうですよね...」。
「しょうがない、交信しますか」。
ハリガネはそう言うと手の甲に口を近づけ、隊員達に向けて通信を始めた。
「こちら、ハリガネ~。すいません、基地の場所が分からなくなっちゃいました~。現在、基地の近くにいる事は間違いないとは思うんですが、洞穴の場所が確認できません。誰か基地から出られますか~? どうぞ~」。
『こちら、ゴリラッ! 俺が今から向かうッ! その場を離れるなッ! 以上ッ! 』。
ハリガネの通信にゴリラ隊員が即座に応答した。
「了解~、待ってま~す。アウト~」。
ハリガネがそう返した時、ゴリラ隊員がライフルを手に持ったまま姿を現した。
「お疲れ様で~す」。
ハリガネが敬礼すると、ゴリラ隊員は険しい表情で敬礼を返した。
「...フンッ、どうやら生きて帰ってこれたようだな」。
「おっ! 心配してくれてたんですか? 嬉しいなぁ~! 」。
ハリガネがそう言って悪戯っぽく笑うと、ゴリラ隊員は呆れた表情を浮かべた。
「フンッ! たわけがッ! 隊長が部隊からいなくなると、色々と面倒になると思ってただけだッ! 」。
「またまたぁ~! 素直じゃないんだからぁ~! 」。
「ただ、お前が賊団と接触すると言い残してしばらく音沙汰無かったから、基地内でお前の事を心配してずっと泣いてた捕虜が一人いたな」。
「泣いてた捕虜? 」。
ハリガネが眉をひそめてそう問いかけた。
「紫色の髪のアイツだ」。
(...アネックスか)。
ハリガネはげんなりとした表情を浮かべて大きな溜息をついた。
「それより、こんなところにずっといるわけにはいかんだろ。早く基地へ戻るぞ」。
「あ、そうですね」。
「基地はここを下った先にある、ついてこい」。
「うぃ~す」。
ハリガネとシアターはゴリラ隊員と共に、基地へ向けて荷車を再び動かし始めた。




