やりたいように、やれば良い
隊長達遅いなぁ~!
でも、いいよなぁ~!
オイラもやりたいよぉ~! 潜入捜査~!
なんか、008みたいでカッコいいじゃ~ん!
~討伐部隊“勇者”パルス=イン八世隊員~
「...」。
ケンキョウ達はセブンがメンバーと共に応接間から消えていくのを黙って見送っていた。
(セブン...周りから見ればいけ好かねぇ奴だが、尖散らした雰囲気は若い時の俺みてぇだな。そういう命知らずな奴は嫌いじゃねぇ)。
ケンキョウは鼻を鳴らしつつ、微笑を浮かべながらティーカップに入ったお茶を飲み干した。
「...失礼致します」。
ライスィーがケンキョウの下へ歩み寄り、空になったティーカップに紅茶を注いだ。
「おうっ! ライスィー! こっちも頼むぜぇ~! 」。
チョンケイは自身のティーカップに入った紅茶を一気に飲み干し、ライスィーにおかわりを要求した。
「はい、御主人様」。
「うむうむっ! 御苦労っ! 御苦労~! 」。
ライスィーがチョンケイのティーカップに淡々とお茶を注ぎ始めると、そのチョンケイは怪しい笑みでライスィーの顔を見つめていた。
「...」。
「...」。
「...」。
ケンキョウとマカオ、そしてケンキョウのセキュリティの冷たい視線を感じ取ったチョンケイは我に返って咳払いをした。
「し、しかし...。アレだなっ! 相棒っ! 」。
「...アレって、何だよ? 」。
苦し紛れに話を振ってきたチョンケイに対し、ケンキョウは半ば呆れ気味にそう返した。
「いやっ! お前も珍しい事言うなって思ってよぉ~? 」。
「...珍しい事? 」。
ケンキョウは怪訝な表情を浮かべながら、チョンケイにそう聞き返した。
「いやっ! 何っつーかよぉ~! 普段ならあの時はセブンに余計な事するなとか、規律を乱すなとか言いそうなところをよぉ~! 侵入したら死が確定してるクリームチーズ火山に出入りは自由なんて言ったからよぉ~! 」。
神妙な表情を浮かべながらそう答えたチョンケイに対し、ケンキョウは再び微笑を浮かべて口を開いた。
「さっきも先生と話していた事だが...“アルマンダイト”を狩るには相当の覚悟と犠牲が必要だ。そして、魔獣の巣窟であるこのパルメザンチーズ山脈は人間が生きていけるような場所じゃねぇ。特に、一人で乗り込む事は自殺行為に等しい...と。だが、それはこのゴクアクボンドを統治する長の意見だ」。
「統治する長の意見...ですか。一個人、ハンターとしては...いかがですかな? 」。
マカオは興味津々な様子でソファーから身を乗り出してそう問いかけると、ケンキョウは微笑を浮かべたまま両腕を組んでセブンが通っていった出入口扉を睨み付けた。
「やりたいように...やれば良いさ」。
「そこは、任すわ...じゃねぇんだな」。
チョンケイも微笑みながらそう相槌を打った。
「...」。
ライスィーは神妙な面持ちで出入口を扉を見つめていた。




