お咎めなし
隊長とシアターさんっ!
一体っ! どうしたのでしょうかっ!?
~討伐部隊“勇者”ヤマナカ=マッスル隊員~
「はっはっは~! パルメザンチーズ山脈の一帯がハリボテ=ポップ帝国になるってわけかぁ~! シンプルな感じで、それはそれで面白そうだけどなぁ~! 」。
チョンケイは呑気な様子でそう言いながら高笑いをした。
「まぁ、個人的にはもうくたばったんだろうとは思うんだけどな。もう十年くらい経ってるが、奴に関する情報が全く入ってきてねぇからな。まぁ、その方がこっちとしては安心できるわけなんだが」。
ケンキョウはそう言いながらティーカップの縁に口をつけた。
「...フフフ」。
セブンは顔を曇らせていたもののケンキョウと瞬時に目が合うと、ヘラヘラとした表情に戻してクスクスと再び笑い始めた。
「いやぁ~! 今日は大変参考になる話が聞けて良かったですわ~! 改めて考えると、ワイの志っちゅうのはまだまだ浅はかだったみたいですわな~! 久々の狩りでちょっと舞い上がっていたみたいですわ。えろう、すんまへん。ほな、今日から早速地下で寝させていただきますさかい、何卒よろしゅう」。
「おっ! おいっ! 待て待てっ! 」。
そう言いながら一礼して背を向けたセブンに対し、チョンケイは慌てて呼び止めた。
「お前っ! 地下に寝るって言ってもまだ自分の部屋知らねぇだろっ! 」。
「あ、そうでしたわ~! 」。
セブンがそう言いながら変わらずヘラヘラと笑っている様子を見て、チョンケイは呆れた表情を浮かべながらセブンの近くにいたメンバー達に視線を向けた。
「おいっ! お前等っ! セブンの部屋を用意してやれっ! あと、細かい事もちゃんと話しておけよ~! 」。
「ハッ!! ボスッ!! チョンケイッ!! 」。
「おいッ!! 行くぞッ!! ついてこいッ!! 」。
メンバー達にそう促され、出入口扉の前に近づいた時...。
「あっ! そうそうっ! セブンっ! 」。
チョンケイが再びセブンを呼び止めた。
「何でっか? 」。
セブンが相変わらず不敵な笑みを浮かべながらチョンケイ達の方に向き直った。
「おうっ! ”アルマンダイト“討伐に熱心なのは結構な事だが、先にノンスタンスを片付けてもらわねぇと困るぜ~! そんでよぉ~! 赤髪のデイとハリボテの息子のハリガネ=ポップを殺したら、”アルマンダイト“討伐のためのメンバーはいくらでも出してやるよぉ~! 何だったら戦闘部隊の隊長としての地位もくれてやるさ! 」。
「おおきに、親分さん。承知しましたわ」。
セブンが静かな口調でそう答え、再び背を向けた時...。
「おい、それでよぉ」。
今度はケンキョウがセブンを呼び止めた。
「他組織のテリトリーに侵入したら言わずもがなだとは思うがよぉ。クリームチーズ火山に関しては、山脈の連中が避けてる区域だからよぉ。出入りは全然自由だからな。そこら辺はお咎めなし...だ」。
「...おおきに。ほな、失礼致します」
薄ら笑いを浮かべて言い放ったケンキョウの言葉に、セブンも微笑を浮かべてそう返しながらメンバー達と共に応接間から消えていった。




