恐戦士の眼光
もうすぐ、作業が終わりそうで~す!
隊長さん達、大丈夫かな~?
~ソイ=ソース共和国軍施設部隊、ミツカ=サウスタウン工兵~
「親分さんはその“アルマンダイト”を狩ったんが、ハリボテ=ポップじゃないかと考えはるんですか? 」。
セブンはしばらく続いた沈黙を断ち切ると、ケンキョウは微笑を浮かべながら再び首をゆっくりと横に振った。
「今までの話の流れを考えたら、そうだ...と言えるんだろうが。俺の考えとしては、“それは分からない”...だ」。
「分からない...でっか? 」。
セブンが眉をひそめ解せない様子でそう聞き返すと、ケンキョウは頷きながら話を続けた。
「奴が直接そいつを俺達に渡してくれたのであれば、そうだと言えたんだがな。奴の行方も分からんから、実際に会ってその確認もできない。まぁ、真相は闇の中だな。クリームチーズ火山に入っていったハリボテ=ポップは生きてるのかも、死んでいるのかも未だに分からない」。
「...」。
ケンキョウが話を終えるとセブンは神妙な面持ちのまま、意味深な様子で地面を見下ろしていた。
「まぁ、あんまり自分達の過去の話をするのは好きじゃねぇから、ちょいちょいはぐらかしたりしらばくれたりしてたんだけどよぉ~! しっかしよぉ~! 相棒よぉ~! こんな話はウチの人間にもなかなかしねぇよな~? 」。
チョンケイがそう言うと、ケンキョウは小さく頷いた。
「わざわざ話す事でもねぇからな。実際、奴を連れてきた偵察やその場に居合わせた当事者達のほとんどはもう死んでるわけだし」。
ケンキョウがそう答えると、マカオは天井に吊るされた“アルマンダイト”の剝製を見上げながら口を開いた。
「ハリボテ=ポップ...。恐ろしい戦士、まさに恐戦士の名に相応しい男だ。魔力を掌るわけでもなく、たった一人で火山に乗り込んでいくとはな。何が彼をそうさせているのか...。闘争心か? 野望か? 」。
マカオがそう言うと、ケンキョウは険しい表情を浮かべた。
「それも分からない。ただ、口では語らなかったが“アルマンダイト”に並々ならぬ執念というものを感じ取った。あの蛇の目の様な瞳孔が開ききった右目は、狩り獲って一攫千金を狙ってるような物欲や地位,名誉に眩んだ目じゃねぇ。しかも、この生死の境を渡り歩きしているという境遇を心から楽しんでいるみたいだったよ。そしてこれだけは言える、奴は生きようが死のうが人間ではない存在と化しているはずだ」。
「人間ではない...存在? 」。
マカオが眉をひそめてそう聞き返すと、ケンキョウは両腕を組んで険しい表情を浮かべたまま話を続けた。
「もはや、“アルマンダイト”を一人で倒すなんて人間ができる事じゃねぇ。もし、奴がそれを...それも複数相手でも成し遂げ、奴が生還して俺達の目の前に現れたら...」。
ケンキョウはそう言い終えると、自嘲気味な笑みを浮かべながら一言付け加えた。
「ゴクアクボンド限らずこの山脈にいる奴等はハリボテ=ポップをパルメザンチーズ山脈の王として崇め、俺達は奴に跪かなければならないかもしれねぇな」。
「...ッッ!! 」。
ケンキョウのその一言で、セブンの表情が一気に強張った。
「...」。
ライスィーも深刻そうに顔を歪ませながら、その場の様子を見守っていた。




