“アルマンダイト”の巣窟、クリームチーズ火山
アイツ等、遅いな...。
集団と接触したようだが...。
殺されてなければいいんだがな。
~討伐部隊“勇者”ゴリラ隊員~
「“アルマンダイト”の住処っ!? ハリボテ=ポップは山脈の中心部にあるクリームチーズ火山まで向かったっちゅうんですかっ!? 」。
セブンが困惑した様子でそう言うと、ケンキョウは何も言わずにただ頷いた。
「そんなっ! クリームチーズ火山へ行ったら奴等の餌になるだけやないですか! あんな“アルマンダイト”だらけのあの火山へ辿り着いたら、よう生きて帰れへんって! 」。
「俺もそう思っていた。奴が“アルマンダイト”に食われるのも時間の問題だろう、と。クリームチーズ火山なんてマグマや“アルマンダイト”みてぇな火竜族魔獣しかいねぇ。まぁ、いずれにせよ人間がそんな火山に入ったらもう終わりよ。しかし、奴はメンバーの何人かと火山へ向かった。そして、火山の区域に入っていくのを、そのメンバー達が見届けたのが奴の最後の姿だった。それ以降、奴の行方は分かっていない」。
「結局、火山の中へ入っていったんですかい。“アルマンダイト”狩りに失敗して王国からも追放されて、恐戦士は何もかも失って正気じゃなかったんちゃいますか? 」。
セブンが苦笑しながらそう言うと、ケンキョウは神妙な面持ちのまま天井に吊るされた“アルマンダイト”に視線を移した。
「奴は治療が済むと『この借りは必ず返す』、とだけ俺達に言い残して去っていった」。
「フラグやないですか。結局、火山から戻ってこなかったっておっしゃってましたけど」。
「確かに、奴は今日まで俺達の下へ戻ってこなかった。だが、死んだのかも分からない」。
「魔獣の胃の中にいるんちゃいますか? 」。
セブンはそう返すと楽観的な様子でクスクスと笑っていたが、ケンキョウは厳かな表情を崩さずに話を続けた。
「奴がいなくなって数日後の事だ。俺達のテリトリー内に、何者かによって殺された“アルマンダイト”の成獣一頭が地面に横たわっていたのをメンバー達が発見した」。
ケンキョウが静かな口調でそう言うと、セブンの顔から笑顔が消えた。
「その成獣の“アルマンダイト”を討伐したんが、ハリボテ=ポップっちゅうんですか? 」。
神妙な面持ちでセブンがそう問いかけると、ケンキョウはゆっくりと首を横に振った。
「それは分からない。一体、誰がその“アルマンダイト”を殺したのかも、何で俺達のテリトリーにそれが放置されていたのかも...。ただ、はっきりと言える事としては、その“アルマンダイト”は長剣と数十発の銃弾を受けた痕跡があった事。そして、討伐する事が困難な“アルマンダイト”の部位は希少であるにもかかわらず、部位を剝ぎ取った痕跡は全く確認できなかった」。
ケンキョウがそう話を終えると、しばらく室内に沈黙が流れた。




