もし...
やぁ! みんな!
本編にも登場してないから僕の名前とか忘れてるんじゃないかな~?
シリーズⅠでは頻繁に出てくるから、たまには思い出してね~!
~某道具屋の従業員~
少し間を置き、マカオが再び口を開いて話を切り出した。
「ハリボテ=ポップ...ポンズ王国の名戦士一族ポップ家の中でも名高く、王国の軍人として戦中期を活躍した名戦士。侵攻した戦地では前線部隊の指揮官として、度重なる戦争からポンズ王国軍を勝利に導き名将としても名を残した。そして、王国最強にして最高傑作と呼ばれていただけあってメインの剣術や射撃,近接格闘術等と物理攻撃に特化した戦士としては、他の追従を許さない人間離れした身体能力を持っていた。そして、その身体能力もさることながら、戦場や過酷な軍事訓練で研ぎ澄まされた視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚等の感覚機能は魔獣にも引けを取らない程優れていたといわれている。その一方で、勝利のためなら手段を選ばない冷酷無情な兵士であった事から、敵だけでなく味方からも“恐”戦士と恐れられていた」。
「かなり豪快な兵士だったみたいですわなぁ~。マヨネーズ国の建物を全て放火して焼き討ちを実行したり、ソイ=ソース国に侵攻した際は住民達を上手く洗脳して本国から独立させようと仕向けたりしてたとか...。まぁ、その侵攻された地域は最終的にウスター=ソース国として独立したっちゅう事なんでっしゃろうけどなぁ~」。
セブンはクスクスと笑いながらマカオにそう相槌を打った。
「ほう、君もハリボテ=ポップの事を知っているようだね」
マカオがそう返すと、セブンには不敵な笑みを浮かべながら自身のボサボサな髪を撫でた。
「まぁ、ワイも戦中期から諸国の戦争に参加してる傭兵の端くれやさかい。その時代に生きてきた兵士が凶暴な大型魔獣よりもおぞましいといわれている恐戦士を知らんなんて事はあり得まへん。当時のワイはポンズ王国と敵対していた諸国側の方で参戦してましたけど、諸国の兵士は皆ビクビクしててビビりっぱなしでしたわ。ハリボテ=ポップは魔獣だの悪魔だの...」。
「君は諸国側についていたという事らしいが、戦地でハリボテ=ポップと遭遇した事はあるのかね? 」。
マカオが続けてそう問いかけると、セブンはとぼけた表情を浮かべながら肩をすくめた。
「まぁ、ポンズ王国軍とは何度か交えてますがね。ただ侵攻ルートが異なってたんでしょうが、ハリボテ=ポップを戦地で目撃した事はありませんでしたわ。当時、王国兵士だった息子のハリガネ=ポップとも、鉢合わせになる事もなかったですわ。しっかし、恐戦士が指揮していただけあって王国の前線はごっついエグかったですわ。いや、ワイも前線部隊やったんですが、王国の前線部隊を食い止めるはずが上手くかわされてしまいましてね~。それで、そのまま王国軍に領土内への侵攻を許してしまうっちゅう苦い思い出がありましてな~。せやけどハリボテ=ポップも伝説の戦士さかい、彼の首も狙っていたんですがね~。いやぁ~! 戦いたかったなぁ~! 」。
セブンはマカオにそう答え、相変わらずヘラヘラした様子で自身の頭を掻いていた。
「なるほど、君は戦中期から戦い続けている傭兵なのか。そんな経験豊富な傭兵が入ったのなら、ゴクアクボンドさんの方もさぞ安心だろう」。
マカオがそう言うと、セブンに再びクスクスと笑い始めた。
「ワイ自身、恐戦士みたいにそんな大それた人間でもないですわ。しかし、先生も恐戦士の事をよう知ってはりますなぁ~」。
セブンはそう言うと、マカオは表情を変えずに両腕を組んだ。
「王国には用事で度々行く事があってな。ハリボテ=ポップは良くも悪くも王国に名を刻んだ軍人であり戦士だ。王国内に入れば戦中期を経験した人間達から、嫌でもハリボテ=ポップの名前は幾度となく聞く事になるさ」。
「...」。
ケンキョウは神妙な表情を浮かべたまま、淡々とした口調で語るマカオの話を黙って聞いていた。
「だってよ、相棒」。
その様子を察したチョンケイは、意味ありげに含み笑いをしながらケンキョウに話を振った。
「お前、セブンと言ったな...? 」。
ケンキョウは鋭い眼光をセブンに向けながらそう問いかけた。
「はい、左様でございます」。
セブンはそんなケンキョウに臆する事なく、不敵な笑みを浮かべたままそう答えた。
「戦中期のキャリアや今日の戦果の話を聞く限り、お前は相当手練れの傭兵でありハンターのようだな。ゴクアクボンドの戦力になってくれる事を大いに期待しているし、お前の加入を心からの歓迎しよう」。
ケンキョウは険しい表情を浮かべ、厳かな口調でセブンにそう告げた。
「評価していただけて大変嬉しいですわ。期待に御応えできるよう頑張らせていただきますわ」。
「...それに良かった」。
意気揚々と感謝を述べたセブンに対し、ケンキョウは微笑を浮かべつつ話を続けた。
「戦力となり得るお前がそのハリボテ=ポップの首を獲るために戦地で交えてたら...。お前は今、ここにいなかっただろうしな」。
「...」。
セブンは挑発的な態度とも聞き取れるケンキョウの言葉に神妙な表情を浮かべていた。




