大した自信
あ、前回の前書きで言い忘れたんやけど。
ワイの血液型はA型や。
~パルメザンチーズ山脈賊団ゴクアクボンドのメンバー、セブン~
「おうっ! 相棒っ! また来たぜ~! 」。
チョンケイが複数のメンバー達を従えて再びケンキョウの応接間に戻ってきた。
「...兄ちゃん達は帰ったのかい? 」。
ケンキョウがそう問いかけると、チョンケイは大きく頷きながら空いているソファーに腰かけた。
「おうっ! そのままメンバー達にも途中まで見送りするよう指示しておいたわ~! あと、小さい方がロックでもう一人の方はスープって言うんだってよ~! 」。
「そういえば、名前聞いてなかったな...。それで、話ってのはその件か? 」。
「いや、商人のロックやスープから有効な情報を手に入れた事も加味して、彼等を案内したメンバー達を地下へ移住させる事に決めたわ~! まぁ、そいつ等の役割は後々またお前に伝えるわ~。それと...」。
チョンケイがケンキョウにそう言いかけた時...。
「いやぁ~! すんまへ~ん! 」。
セブンがへらへらした表情を浮かべながらメンバー達と共に扉をすり抜けて応接間に入ってきた。
「ずっと小便我慢してたもんで~! ちょっと、ここの御手洗い使わせてもろたんで遅くなりましたわ~! 」。
「おうっ! セブンっ! こっち来いっ! 」
セブンは手招きをしているチョンケイの下へ歩み寄った。
「昨日、ウチに加入したばっかのセブンっていうメンバーだ。流れの傭兵をやりながらハンターも兼任してるだけあって実力は相当あるみてぇだ。コイツも今日から地下のメンバーとして活動させる事にしたわ~! 」。
チョンケイがそう言うと、ケンキョウは怪訝な表情を浮かべながら眉をひそめた。
「昨日...? 昨日入ったばかりの奴を地下入りさせるのか? 」。
ケンキョウがそう問いかけると、チョンケイは神妙な表情を浮かべて大きく頷いた。
「ああ、俺もにわかに信じがたいんだが本人やその場に居合わせた地上のメンバー達によると、一頭の“オンファサイト”をこのセブン一人で討伐したって言うんだよ~! 実際にここまで運んできた成獣の“オンファサイト”もなかなかの大きさでな~! 」。
「翼竜の“オンファサイト”を一人でやったっつうのか? 確かに信じられないな」。
ケンキョウが険しい表情でそう言うと、セブンはクスクスと笑いながら天井を見上げた。
「“オンファサイト”を狩る事なんて大した事ないですわ。それに、そこに吊るしてある小振りな“アルマンダイト”くらいでも問題なく狩り獲れると思いまっせ~! あれも成獣になったばかりの奴でっしゃろ~? 」。
「...」。
ケンキョウは自信ありげにそう答えるセブンを神妙な面持ちで見つめていた。
「き、貴様ッッ...!! 誰に向かってそんな口を...」。
「だから、もうやめろってのっ! お前等もいちいち反応すんじゃねぇっ! 」。
チョンケイは困惑しつつセブンに食ってかかるメンバー達をなだめた。
「ほう、随分と自分の腕に自信があるみたいじゃねぇかよ」。
ケンキョウがそう言うと、セブンは不敵な笑みを浮かべながら人差し指で自身の鼻頭を掻いた。
「まぁ、腕に自信はありますけどねぇ~。せやけど、ワイはまだ“オンファサイト”一頭しか狩ってないさかい、“アルマンダイト”も含めてバンバンこの辺りの魔獣狩ったろうやないですか~! 」。
「お、おいおいっ! 主人を差し置いて勝手な事を言うんじゃねぇっ! それにお前には魔獣どうこうの前に、これから俺のチームの一員としてやってもらう事があるんだからよぉ~! 」。
「やってもらう事? 」。
ケンキョウは怪訝な表情でチョンケイにそう聞き返した。
「おうっ! このセブンにもノンスタンスの粛清に参加してもらおうと思ってな~! 」。
「ノンスタンス...でっか? 」。
セブンがそう聞き返すとチョンケイは大きく頷いた。
「そうだっ! お前にはノンスタンスのメンバーの粛清と、そのリーダーであるデイの亡骸を回収するという任務を命ずるっ! 」。
チョンケイがそう告げると、セブンは思い出したかのように目を大きく見開いて何度も頷いた。
「ああ~! ノンスタンスってゴクアクボンドのテリトリーに居座ってたギャング集団みたいな連中の事ですかい。確か、その連中を排除するどころか逆に返り討ちに遭って、結局泣き寝入りするハメになったって地上の連中達から聞いてましたわ~。それ、ホンマでっか~?」。
「...」。
セブンの言葉を聞いたケンキョウの片眉が一瞬ピクリと動いた。
「き、貴様ァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!! 」。
「やめろっ!! お前達っ!! 」。
チョンケイはセブンに掴みかかろうとするメンバー達を何とか両手で制した。
「セブンっ! お前もいちいち神経を逆撫でするような発言をして煽るんじゃねぇっ! 」。
「いやぁ~! すんまへ~ん! なんか敵にやりたい放題されて黙ってるのが気に食わなかったんで、つい本音が出てしまいましてね~」。
セブンは言葉では詫びているものの、罪悪感を感じている様子もなく依然としてへらへらしていた。
「...」。
一方、ケンキョウはそんなセブンを鋭い眼光で見つめていた。




