チョンケイの野望
俺の血液型はO型だぜ~!
意外と占いとか興味があるんだぜ~!
~パルメザンチーズ山脈賊団ゴクアクボンドのボス、チョンケイ~
ケンキョウ達との昼食を無事に済ませたハリガネとシアターは地上に戻り、ゴクアクボンドのメンバー達と共に砦の傍に置いていた荷車に大量の物資を積み込んでいた。
「いやぁ~! 旦那様~! ありがとうございやす~! まさか、ゴクアクボンド様に昼食を御馳走してもらっただけでなく、こんなにたくさんの賜物をいただけるなんて~! 」。
ハリガネがそう言いながら深々と一礼すると、チョンケイはその場で高笑いを始めた。
「はっはっは~! このくらいお安い御用よぉ~! むしろ、礼を言うのはこっちの方だ~! あの頭の固ぇ相棒とサシで話すとなると、ドッと疲れちまうし話も長ぇからよぉ~! アイツに休めって言えるタイミングが全然無かったから助かったわぁ~! それに、しばらくは先生もここにいてもらえるようにもなったし、本当に今日は何から何まで良い事ばかりだったわ~! ...あ、そう言えば名前聞いてなかったな~! 」。
「...え」。
ハリガネはチョンケイの言葉に思わず顔が引きつった。
「自分達の名前は何て言うんだ~? 」。
(うわぁ~!! そういや、偵察始めてから俺等の名前考えてなかったわぁ~!! つーか、俺もここで聞かれるまで何でコードネーム決めてこなかったんだよぉ~!? 偵察してんのに初歩的ミスとかで済まされるレベルじゃねぇぞぉ~!? )。
そう思いながら一瞬躊躇したハリガネであったが平常心をすぐに取り戻した。
「あっしはロック、隣にいるのはスープと申しますでごわす~! 」。
「も、申し遅れましたっ! スープですっ! こ、今後とも宜しくお願い致しますっ! 」。
とっさに答えたハリガネの言葉に、スープは多少躊躇していたものの何とかその場を合わせた。
「おうっ! ロックとスープなっ! これからもよろしくなぁ~! ここの連中にも二人の事は話しとくから、何かあったらまた気軽に地下へ顔出しに来いよぉ~! 」。
チョンケイはそう言いながらハリガネ達に手を差し出した。
「何から何までありがとうございやす~! 是非とも、また伺わせていただきやす~! 」。
ハリガネはそう答え、二人はチョンケイとその場で握手を交わした。
「お~う! しかし、今日は本当に良い日だなぁ~! まさか、相棒のやつ...あんな“上玉”を囲んでやがったとは...」。
「...? 」。
スラックスに両手を突っ込んで微笑を浮かべるチョンケイを、ハリガネ達は怪訝な表情で見つめていた。
「山脈屈指の組織ゴクアクボンドのボスである、このチョンケイ様が手に入れられねぇモノはねぇぜぇ~!! 相棒が何を言おうが、何としてもあの背の高い女給仕は俺のモノにしてみせるぜぇ~!! 俺様に不可能はねぇぜぇ~!! 」。
「...」。
ハリガネ達は欲望を丸出しでそう意気込んでいるチョンケイをただ呆然と見つめていた。
「あの気の強そうな雰囲気がまたたまらんわぁ~!! いやっ!! あえて冷たくあしらわれるのも良しっ!! それに細身だったが服越しからでも分かる胸の膨らみっ!! あれはバスト九十近くはあるな~!! もしかしたら、クールに見えて本当は脆いんじゃねぇ~のかぁ~!? う~ん!! 早く抱きてぇなぁ~!! 」。
(さっきから何言ってんだこいつは...)。
ハリガネはそう思いながらテンションが高ぶっているチョンケイに心底から呆れていた。
「よぉ~し!! この俺がありとあらゆる権力と財力を行使してライスィーを振り向かせてやるぜぇ~!! お前等も協力しろよっ!! 頼むぞっ!! 」。
「は、はッ!! 仰せのままにッ!! ボスッ!! チョンケイッ!! 」。
周りにいたメンバー達は暴走気味のチョンケイに困惑しながらもそう答えた...というよりは、そう答えるしかなかった。
「はっはっは~!! 相棒よぉ~!! 誰が能無しのケダモノだって~!? その言葉忘れんじゃねぇぜぇ~!? 俺様にそう言った事を後悔させてやるぜぇ~!! はっはっは~!! 」。
(あ、一応ケダモノって言われた事は気にしてたんだ)。
ハリガネは空に向かって高笑いをしているチョンケイを皆と一緒に眺めながらそう思っていた。




