その場しのぎの言葉だったのか...。それとも、秘策ありか
むっ?
俺のメイン装備だと?
まぁ、俺は王国にいた時は部隊の隊長として指揮を執っていた立場だが、基本的には射撃がメインだ。
だから、前線で戦っていた俺はアサルトライフルを装備していたんだ。
てか、前線にいた歩兵部隊のほとんどがライフルかサブマシンガンといった兵器を保持しているぞ。
ハリガネ? ヤマナカ?
まぁ、アイツ等は色々とおかしいからな~。
~討伐部隊“勇者”ゴリラ隊員~
「考え...? 一体どういう事だ? 」。
ゴリラ隊員は眉をひそめてハリガネにそう問いかけた。
「はい、ミツカさんが基地周辺の作業中にゴリラ隊員か...ヤマナカのどっちかで良いですが、賊団の連中や人の気配が無いかこの周辺の警備をしてもらいたいんです。まぁ、ミツカさんの戦闘能力は人間離れしているのであまり心配はしていないんですが、作業中なんでその隙を突いて攻められる可能性も無きにしも非ずなのでね。つまり、一人は警備や周囲警戒としてここにいてもらいたいなって事です」。
ハリガネがそう答えると、ゴリラ隊員は険しい表情のまま解せない様子で小首をかしげた。
「俺とヤマナカのどっちか...? 」。
「はい」。
ハリガネが淡々とそう答えるとゴリラ隊員は眉間にしわを寄せ、多少困惑した様子でミツカを一瞥した。
「何で俺とヤマナカなんだ...? その間にお前はどうするつもりなんだ? 」。
「僕とシアターさんは商人に扮して、基地から少し離れてチェダチーズ山中の周りを歩きながら巡回したいと思います」。
ハリガネがそう答えると、ゴリラ隊員は一層困惑した表情を浮かべた。
「おい、お前また偵察するつもりなのかよ? 」。
ゴリラ隊員はやや呆れた様子でハリガネにそう問いかけた。
「いえ、周囲の警戒ですよ。もし賊団の連中が山脈から下りてきてここまで来たら不味いじゃないですか~。ミツカさんが作業している間は傍でヤマナカかゴリラ隊員に警戒してもらって、僕等はここの周りを商人に成りすましつつ人間がここまで接近してこないように、離れた場所で移動しながら周囲を警戒するという態勢を整えた方が最善策と考えています。そして、パルスさんとヤマナカかゴリラ隊員のどっちかは、基地内で捕虜の監視をしつつ待機って感じで」。
「外敵の気配を感じ取ったら俺達は基地に避難するとして、基地から離れているお前が賊団の連中に出くわしたらどうするんだ? 」。
「そしたら、僕等が奴等を足止めしつつ基地まで接近してこないように、別方向に誘導しながら何とかやり過ごしますよ」。
「そうか...。それと、もう一つ気になるんだが...。この間カメラマンのフユカワが魔法で出したあの監視ブロックではどうにかならんのか? 」。
「この後フユカワさんにもあの飛行型監視魔法で周辺の監視をお願いするつもりですが、そのブロックでは基地に接近してきた奴等を追い返す事はできないでしょう。そうなると、やはり周辺を移動しているであろう僕等が遭遇した賊人達を対応した方が基地の危機を回避できると思います」。
「なるほど、作業中は周辺は商人に成りすましているお前とそのブロック。そして、基地前の現場では俺とヤマナカで警戒態勢を敷くという事か」。
「僕等はこの周囲の移動だけなんで偵察みたいに山中から離れるつもりはありません。あと、僕等も作業の進行状況を確認するために、時間を開けてこの辺の近くまで一旦戻るようにします。もしも、どうしようもない状況に陥った時は警笛で知らせますんで」。
ハリガネがそう言うと、ゴリラ隊員は納得した様子で小さく頷いた。
「...分かった、すぐに取り掛かってくれ。くれぐれも深追いはするんじゃないぞ? 」。
「了解です」。
ハリガネはそう言い残すと足早に魔法陣の方へと向かい、基地の中へ戻っていった。