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破離刃離☆勇者ハリガネⅣ~この世から捨てられた奴等が行き着く地、パルメザンチーズ山脈~  作者: 田宮 謙二


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デザート、山脈で採集された新鮮な木の実を存分に使ったタルト、バニラアイスクリームを添えて


血液型か~い?


僕はB型だよ~。




~ソイ=ソース共和国軍施設部隊、ミツカ=サウスタウン工兵~




「しかし、ノンスタンスにハリガネ=ポップ...。そして、山脈に潜む魔獣...。この先、ゴクアクボンド殿や山脈にいる集団は悩みが尽きないようですな」。


マカオは赤ワインの入ったグラスを回しながらケンキョウに視線を向けてそう言った。


「山脈の情勢が目まぐるしく変わるからこそ、組織もしっかり締めねぇとな」。


ケンキョウはマカオにそう答えながら天井に向けて煙草の煙を吐き出した。


「そういえば、その旅人と自称する男がデイやハリガネ=ポップの首を懸賞金に掛けている事は知っていたのですが、いかんせん私も噂の又聞きでね...。それで、その両名に懸賞金を懸けた男とはどんな形で御会いしたのですかな? 」。


マカオはケンキョウにそう問いかけながら皿に載せられた果物を口内に入れた。


「旅人と自称していた男は世界中を旅しながら魔獣の部位を収集しているらしく、最初はテリトリーの見回りをしていたメンバー達と出くわした時に魔獣の討伐を持ち掛けていたようだ。そして、討伐した魔獣の部位を引き換えとして、諸国の金銭や貴金属といった高価品をその男はメンバー達に渡していたそうだ。それがずっと続いていたらしく、羽振りの良い魔獣コレクターがいるってすっかりゴクアクボンド内でも話題になった。だが、俺の知らねえ所で取引とか好き勝手な事をさせられたら困るわけだ。そこで、その旅人をここまで連れてくるようメンバー達に命じた。ちょうどそれが一ヶ月前の話だ」。


「ノンスタンスがゴクアクボンドのテリトリーに侵略した時とちょうど同じタイミングですな」。


マカオがそう相槌を打つと、ケンキョウは険しい表情で煙草を吸いながら小さく頷いた。


(ちょうどノンスタンスと同じ時期って事は、その旅人はやはりノンスタンスを逃がした男と同一人物なのか...? )。


ハリガネはケンキョウの話を黙って聞きつつ、今まで聞いてきた証言を頭の中で整理していた。


「それで、その旅人を呼んだ...。つまり、その時がケンキョウ殿達と初対面だったという事ですかな? 」。


マカオがそう問うとケンキョウは再び頷いて話を続けた。


「まぁ、厄介な事になる前に殺そうとも考えたんだが、その男が随分と肝が据わった奴でよぉ~。たった一人で竜族魔獣の“オニキス”に乗って来やがったのさ。もちろん、連れてくるよう命令した案内役のメンバーも乗せてな」。


「ほうほう」。


マカオはグラスに入った水を飲みながらケンキョウに相槌を打った。


「肝も座ってるが何よりも弁が立つ奴でな。話を聞いたところ魔獣の部位をコレクションにしているだけでなく、諸国に追われている大罪人のむくろもコレクションにしてるんだってよ。全く悪趣味な野郎だぜ。それで、そのノンスタンスのリーダーである赤髪のデイと、ポンズ王国の傭兵ハリガネ=ポップの首を獲ってきて欲しいと頼まれてよ。更に話を聞くと、俺達だけじゃなくて山脈にいる他の組織にも頼んで回っているらしい」。


「こちらはデザートでございま~す! 山脈で採集された新鮮な木の実を存分に使ったタルト、バニラアイスクリームを添えてでございま~す! 」。


ケンキョウがそう話をしている時、再び魔法陣から女給仕が料理を運んできた。


「国際指名手配犯に指定されたノンスタンスのデイ、ポンズ王国から追放された反逆者ハリガネ=ポップ...。それで、ケンキョウ殿達はどうするつもりで...? 」。


「どうするつもり...? 」。


ケンキョウは怪訝な表情を浮かべてマカオにそう聞き返した。


「その両名の首は獲る予定で? 」。


マカオが続けてそう問うと、ケンキョウは煙草をくゆらせつつ両腕を組んだ。


「赤髪のデイは俺達を散々コケにしてくれたからな。見つけ次第捕縛し、その後にはりつけ獄門の刑に処してやる。しばらくメンバーや他の組織の連中達への見せしめにした後、赤髪のデイの亡骸はその旅人にくれてやるさ」。


「それで、ハリガネ=ポップの方は? 」。


「そうだな...」。


マカオに問いかけられたケンキョウは神妙な表情を浮かべ、手に持っていた煙草の火を卓上に置いてあった灰皿で揉み消しながら考える素振りを見せた。


「...」。


当人のハリガネも神妙な面持ちで考え込んでいるケンキョウを見つめていた。


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