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破離刃離☆勇者ハリガネⅣ~この世から捨てられた奴等が行き着く地、パルメザンチーズ山脈~  作者: 田宮 謙二


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メインディッシュ前の口直しソルベ


むっ?


俺の血液型だと?


A型だ。


そんな事を聞いてどうするのだ?



~討伐部隊“勇者”ゴリラ隊員~




「...」。


マカオの言葉で再び食卓に沈黙が流れていた時、魔法陣から姿を現した女給仕達が次の料理を運んできた。


「こちらは白ワインと果物で作られたソルベでございま~す」。


女給仕達はハリガネ達の目の前にガラスの器に入った半円形の白いソルベを差し出した。


ちなみにソルベとは氷菓子の事であり、形状の似たシャーベットよりもサッパリした味わいが特徴的である。


「...」。


マカオは目の前に差し出されたソルベをスプーンで掬い、一口味わうと再びハリガネに視線を向けた。


「今になって考えてみると、取引をしていた君達にとっては不幸な事であったね。ノンスタンスの長である赤髪のデイはポンズ王国の都市ユズポン市内にある“PUBオニヤンマ=キャロルズ”を拠点としてこの組織ゴクアクボンドだけでなく、同じく山脈で活動しているエミールやヒラメキーナとも接触をしていた。もともと、赤髪のデイは母国であるポンズ王国内で政治活動をしていた事もあり、その縁で王国内の政治家や軍関係者と親交があったという事を利用して周囲に顔を利かせていたらしい」。


「せ、先生...。その事情に随分と詳しいんですね...」。


チョンケイは困惑した表情でマカオにそう言った。


「私も少し前に野暮用でポンズ王国にいたんだ。実はノンスタンスが王国内で騒動を起こす前、知人を介してそのパブの店主とも会っていてな。その店主もパルメザンチーズ山脈の組織とは関わりがあったみたいで、その縁の流れで色々と話を聞かせてもらっていたんだ。後にその店主は不祥事で軍に捕まってしまって、せっかくオープンしたそのパブもそのまま潰れてしまったんだがな」。


(マジかよ...。この人、“PUBオニヤンマ=キャロルズ”の関係者と関わりあったのかよ...。うわぁ~、面倒クセーなぁ~。てか、この人賊団と親交があるのによく王国に入れたな。賊団の関係者を介して侵入したのかな? いや、でも何処の賊団にも属してないっぽいから身分証明を掲示して普通に入国したのかな? )。


ハリガネは淡々と話をするマカオを見つめながらそう考えていた。


「あ、そうそう。それと...」。


マカオはそう言うと、白ワインの入ったグラスを手に取りながら神妙な表情を浮かべて話を続けた。


「ノンスタンスが騒動を起こした夜は、その店主にパブのオープンデイという事でその店に招いてもらっててな」。


(えっ!? この人、店にいたのっ!? )。


ハリガネはマカオの言葉に表情を強張らせた。


「その時に面白いモノを見たんだよ」。


そう言ったマカオは微笑を浮かべながらグラスに入った白ワインを口に含んだ。


「面白いモノ? 」。


ケンキョウは怪訝な面持ちでマカオにそう聞き返した。


「うむ、その店内でちょっとしたハプニングがあってな。その店主と酔っ払いの間でトラブルが起こってて、その店のセキュリティと酔っ払いが一戦交えてたんだよ。そのセキュリティが確か...」。


マカオは天井を見上げながら何かを思い出そうと顔をしかめた。


(おいおい...勘弁してくれよ...)。


ハリガネは険しい表情で考え込んでいるマカオの様子を見守っていた。


やがて、天井を見つめていたマカオは思い出したかのように大きく頷いて皆に視線を戻した。


「そうそう、王国を追い出されたハリガネ=ポップだよ」。


(最ッッ悪...ッッ!! )


この状況下で最も聞きたくなかった言葉をマカオの口から聞いてしまったハリガネは、絶望のふちに叩き落とされた様な心境となっていた。



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