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破離刃離☆勇者ハリガネⅣ~この世から捨てられた奴等が行き着く地、パルメザンチーズ山脈~  作者: 田宮 謙二


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お・も・て・な・し


やぁ! みんな!


本編に一度も登場してないけどまた来たよ~!


え?


本編で僕は登場するのかって~?


...。


その予定は無いみたいだよ~!




~某道具屋の従業員~




「よぉ~し! 話がひとまず済んだって事でそろそろ飯にするかなぁ~! 」。


チョンケイは自身の両膝を両手で叩くと、勢い良く立ち上がって大きく背伸びをしながらそう言った。


「おっ? もうこんな時間か...。よぉ、兄ちゃん達。せっかく持ってきてもらったんだけどよぉ~、魔獣の部位は持ち帰ってもいいや。俺達も山脈で魔獣を狩り獲り続けてここまで来たんだ。そんな俺達が、同じハンターの商人から魔獣の部位を譲り受けるようではゴクアクボンドの名が廃るからな~」。


ケンキョウはそう言いながらハリガネ達に木箱を持ち帰るよう促した。


「へへへ...。ハンターとは言っても、ハンターに毛の生えた存在みたいなものでやんす~! 」。


「ふ~ん、毛の生えた存在ね...。兄ちゃん達狩猟はどのくらいやってんの? 」。


ケンキョウは眉間にしわを寄せたまま、ハリガネが両腕に抱きかかえた木箱を見つめてそう問いかけた。


「へいっ! まだ十五年ちょいでゲス! 」。


ハリガネがそう答えるとケンキョウは納得した様子で小さく頷いた。


「なるほど、やけに剥ぎ取った魔獣の部位が丁寧に処理されてると思ったぜ」。


「いやいやっ! あっし達はまだまだでおじゃるよ~! それにしても、さすがは山脈に拠点地を置くゴクアクボンド様でござるなぁ~! あのパルメザンチーズ山脈で最も恐れられている“アルマンダイト”を仕留めるとは...。ゴクアクボンド様は諸国の軍をも遥かに凌駕りょうがする力を御持ちになられているという事なんでゲスなぁ~! いやぁ~! すっかり敬服致しやしたぁ~! 」。


ハリガネは感心したような様子でそう言いつつ、天井に吊るされた豪華なシャンデリアよりも高い位置に吊るされていた“アルマンダイト”を見上げた。


「ああ、あれな~。あの“アルマンダイト”は成獣になったばかりの奴でな、あんな大きさでも“アルマンダイト”の中では小柄な方なんだよ」。


ケンキョウも吊るされている一頭の“アルマンダイト”に視線を向けながら、当時の事を懐かしむように何度も頷いていた。


「俺達は今日まで“アルマンダイト”を二十頭近くは狩ってきたが、あれを狩るのにも随分と苦労したもんだな~! 確か、あれは俺達が初めて狩った時の“アルマンダイト”だよな~? 」。


チョンケイもその“アルマンダイト”を見上げながらケンキョウにそう問いかけた。


「ああ、成獣になったばかりなのに勢いがあってな~。一丁前に四方八方へ炎を口からぶっ放してきやがって、あの時も随分と仲間が死んだな~」。


「今思えば、“アルマンダイト”の中だとアイツが一番手こずったんじゃねぇか? 」。


チョンケイが続けてそう問いかけると、ケンキョウは瞼を固く閉じて唸り声を上げた。


「う...ん、俺達が討伐してきた魔獣の中では一番手こずったかもな。まず、“アルマンダイト”以上に脅威的な魔獣が山脈にはいねぇからよぉ~」。


「確かにそうだな~! 」。


チョンケイは笑みを浮かべて両腕を組んだまま、その“アルマンダイト”を眺めつつケンキョウにそう相槌を打った。


「あれか? 兄ちゃん達は“アルマンダイト”に興味があるのかい? 」。


ケンキョウが“アルマンダイト”からハリガネへ視線を移しながらそう問いかけた。


「いやぁ~! もちろんでゲスよぉ~! “アルマンダイト”といえばパルメザンチーズ山脈屈指の凶獣じゃないでやんすかぁ~! そんな凶獣を二十頭も狩ったゴクアクボンド様もまた山脈屈指の名組織でござるな~! 」。


「あたぼうよぉ~! 俺達は三十年以上もこの山脈に居座ってんだぜ~? どんな事が起きても乗り越えていける自信しかねぇぜ~! 俺達に喧嘩を売ったノンスタンスだって探し出して全員皆殺しにしてやるさ~! それに、ノンスタンスのトップの首には懸賞金が懸かっているらしいしなぁ~! え...と、確か名前は...? 」。


(ここはちょいと“メス”を入れてみるか...)。


ハリガネはフードを目深に被り直しながらそう思った。


そして、チョンケイが自身の坊主頭を人差し指でポリポリと掻きながら、天井を見上げてその事に関して思い出そうとしていると...。


「デイ...“赤髪のデイ”でやんしたね」。


「...っ!? 」。


目深に被ったフードで表情を隠したハリガネから静かな口調でその言葉が告げられると、チョンケイとメンバー達は血相を変えてハリガネの方に視線を向けた。


「...」。


ケンキョウは険しい表情を保ったままソファーからゆっくりと立ち上がり、何も言わずにそのまま奥にあるアンティーク調の書斎机の方へ向かっていった。


そして、その書斎机の上にケンキョウが自身の掌をかざすと、白い魔法陣が浮かんできた。


『はッ!! ボスッ!! ケンキョウッ!! 御呼びでしょうかッ!! 』。


その魔法陣から声が聞こえてくると、ケンキョウはゆっくりと口を開いた。


「少し早いが昼食の用意をしてくれ。場所は俺のフロアーだ。あとチョンケイ,祈祷師の先生,それと...」。


ケンキョウはそう言いながら厳かな表情でハリガネの方に視線を向けた。


「客人が二人いるから五人分用意してくれ」。


『はッ!! ボスッ!! ケンキョウッ!! 』。


ケンキョウは魔法陣での交信を終えると、皆の方へゆっくりと戻ってきた。


「はるばるポンズ王国から挨拶に来てくれたんだ。昼飯くらいは御馳走させてくれや」。


ハリガネ達にそう言ったケンキョウの鋭く光っている目は、人をもてなすというよりは獲物を逃すまいとしているターゲットに対して向けたハンターの眼であった。


(さて...こっからだな...)。


ハリガネは殺気立った威圧感を放つケンキョウに動じた様子を見せる事なく、待ち構えるゴクアクボンドの“おもてなし”に真っ向から挑んでいくのであった。




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