寝取られたら泣き寝入りせずに見返してやれ
只今、基地の周りを作業中で~す!
~ソイ=ソース共和国軍施設部隊、ミツカ=サウスタウン工兵~
ハリガネ達は賑やかな場所から離れ、人気の無い通路を歩いていた。
「さっきの女の子達は遊女だ! 上の階にある部屋はそういうサービスを業としたメンバー達が生活しているんだ~! 遊女達は戦闘要員ではないが、そういうサービスを楽しみしているメンバー達には大きなモチベーションとなっているというわけさ~! 中にはメンバー達が生活や財産を保障する事を引き換えに女の子を自分のお抱えにしてしまうなんてのも珍しくないな~! 」。
「財産と生活でやんすか...。まるで婚約みたいでゲスなぁ~」。
ハリガネはチョンケイの後についていきながらそう相槌を打った。
「まぁ、実際そんな感じだな~! ただ、組織内での恋愛は禁止にしていないが結婚は禁止されている。あと、メンバーの間に子供を産む事も認められていない。つまり、家庭を築く事が全面的に禁止されているというわけさ~! 子供が生まれると総数が増えるからメリットはあるんだがメンバーが家庭を持ったりしたら組織での活動が疎かになったり、場合によっては家庭を持った事でメンバー間でのトラブルが起こりやすくなって組織内の統制に影響を及ぼす恐れが出てしまうからな~! 組織において私情ってのはスゲー厄介な存在だからな~! 」。
「組織の治安を守るというのも大変な事なんでおじゃるな~」。
ハリガネが続けてそう相槌を打つと、チョンケイは神妙な面持ちで大きく頷いた。
「まぁな~! ...だがっ! それ以外は何でもありだっ! 二股だろうが三股だろうがなぁ~! ゴクアクボンドの世界は強い奴が勝ち、そのまま生き残っていける世界だからなぁ~! 他のメンバーに寝取られたら泣き寝入りせずに組織で成果を出し続けて、もう一度振り向かせれば良いだけの事よぉ~! 」。
チョンケイがそう言いながら一旦立ち止まり、おどけた顔をハリガネの顔の方まで一気に寄せてきた。
「は、はぁ...(顔が近いっ! 顔が近いっ! )」。
視界に急接近してきたチョンケイの顔に、ハリガネはその勢いに負けてたじろいだ。
「おう! お前等もこの山脈で楽しみを掴み取りてぇんだったら、結果をしっかり出すんだぜぇ~? 」。
チョンケイは同行しているメンバー達の方に顔を向けながらそう声をかけた。
「はッ!! 素晴らしい御言葉をいただきッ!! 誠に光栄ですッ!! ボスッ!! チョンケイッ!! 」。
メンバー達はそう答えてチョンケイに深々と頭を下げた。
(ローの話だとゴクアクボンドは勢力の低下が目立っていると聞いてはいたが、賊団の経済状況は良さそうだな~。本拠地も地下だし、そういった部分では抜かりないみたいだな...。しかし、この賊団に目を付けられると厄介そうだ。現に、基地から近いのはこの賊団だし、あまり派手な動きはしない方が良さそうだな...)。
ハリガネは神妙な面持ちでそう考えながら、先を歩くチョンケイの背中を見つめていた。