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アジトというよりは温泉街


...。


......。


.........。


...三回連続だ。


作者は私を都合の良い男だと思っているに違いない。




~祈祷師マカオ~




ハリガネ達が眩しい光から解放されると、目の前には楽園の様な光景が広がっていた。


「こ、これは...」。


ハリガネは地下にあるゴクアクトンボのホームを目の当たりにして驚愕していた。


床,柱,天井といった木材には全て真っ赤な朱漆が塗られており、所々に黄金の装飾も施されていて豪華そうなオブジェも各所に置かれていた。


金箔が貼られた外壁には魔獣や植物の絵画が描かれ、その華美な金碧障壁画きんぺきしょうへきがが地下空間を豪華に彩っていた。


広大なゴクアクボンドのアジトの地下は開放的な吹き抜け構造となっており、ハリガネが見上げると上階では移動しているメンバー達の姿が目に映った。


そして、正面には澄んだ青色の池が存在し、その池の上には曲線を描いた真っ赤な橋が道を繋いでいる。


(何だここは...本当に地下なのか? まるで開放的な温泉旅館みたいじゃないか。ローから他勢力に押されていたとは聞いていたが...。さすがパルメザンチーズ山脈に構える賊団だけあるな...)。


「ようこそ~! 我がゴクアクボンドの本拠地へ~! 」。


ハリガネが地下の幻想的な和風空間に圧倒されている様子を横目で見ていたチョンケイは、微笑を浮かべながら両手を大きく広げてそう言った。


「...っ!! 」。


付近にいた地下のメンバー達が、魔法陣から姿を現したチョンケイ達の存在に気づくと血相を変えて地面に片膝をつけた。


「はッ!! 外の見回り御疲れ様ですッ!! ボスッ!! チョンケイッ!! 」。


近くにいたメンバー達がチョンケイの前に跪いてそう声を上げると、他のメンバー全員もチョンケイの方に視線を移して立ち止まった。


「はッ!! 御機嫌麗しゅうッ!! ボスッ!! チョンケイッ!! 」。


そして、その場に跪いてボスであるチョンケイに忠誠心を示した。


「うぃ~す! お疲れ~っす! 」。


チョンケイはその場で片手を挙げてメンバー達の労をねぎらった。


「ここが俺達のホームさ~! このホーム内ではメンバーのために売買取引といったサービスも展開されているんだ~! 衣類とか装飾品とか、防具とか武器とかな~! 元職人出身の人間はこの地下にある部屋で生活しつつ、店を構えてメンバーと取引をしながら活動しているのさ~! もちろん、組織は戦闘部員が大半を占めているわけだから、そういう奴等はこの上の階に住んでいるってわけさ~! 」。


「なるほど...。確かに、温泉施設に飯屋...呉服屋や楽器専門店まであるでやんすねぇ~! いやぁ~! ゴクアクボンド様は大変風流な御組織であらせられますなぁ~! 」。


ハリガネはチョンケイにそう答えながら周りを見渡した。


障子戸が開かれた部屋には揃えられた品物を吟味するメンバーと接客するメンバーに、飯屋で食事をするメンバー達の姿も垣間見える。


一部の部屋の中からは長唄をしているのか三味線と唄い声が聞こえてくる。


そして、部屋によっては暖簾や提灯を掲げたり行灯あんどんを置いている所もあり、賊団のアジトというよりは温泉街の様な空間であった。


「ここは地下だからよぉ~! まず魔獣に襲われる事はねぇ! 仮に何かしらのアクシデントで魔獣や侵入者が侵入してきたとしても、戦闘部員が討伐するから問題ねぇさ~! 山脈の外は魔獣しかいねぇからよぉ~! こんくらいの楽しみがねぇとやってらんねーって事よぉ~! はっはっは~! 」。


チョンケイはそう言って高笑いをした。


「いやぁ~! しかし、素晴らしい空間でござるなぁ~! まるで楽園の様でゲス! 」。


「おうよっ! 我がゴクアクボンド自慢のホームだからなぁ~! 最初は人数が少なくてここまで開拓するのにスゲー苦労したもんよぉ~! 当時は相棒とも盛んに喧嘩したしなぁ~! ...今でも全然するけどな」。


チョンケイは当時の苦労を懐かしんでいるかのように両腕を組んだまま、活気あふれるホームの空間を神妙な面持ちで見渡していた。


「おっとっ! ここで暇潰してる場合じゃねぇや~! 相棒の所へ行かねぇとなっ! ついてきなぁ~! 」。


「へ、へいっ! 」。


ハリガネ達は前を歩き出したチョンケイの後に続いた。




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