表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/62

新討伐部隊“勇者”の朝礼


挿絵(By みてみん)


最初はどうなるかと思ったけど、何でかんだで何とかなるもんなんだな~。


山脈の賊団は厄介だけど、大分計算できるようになったかも。




~討伐部隊“勇者”ハリガネ=ポップ隊長~





「え~、皆さん。おはようございま~す」。


パルメザンチーズ山脈手前に存在するチェダチーズ山。


その山中に基地を構える“アルマンダイト=ガーネット”討伐部隊“勇者”。


そして、その部隊を率いるハリガネは昨日ソイ=ソース国の工兵ミツカ=サウスタウンを部隊に加え、そのミツカと共に新たな一日を迎えていた。


「おはようございますッ!! 」。


ハリガネの挨拶で朝一恒例である朝礼が始まると、テーブルを囲んでいる隊員達も挨拶を返した。


「え~、もう言うまでもないとは思いますが、昨日はソイ=ソース国の元兵士であるミツカ=サウスタウンさんが隊員として新たに加わりました~」。


「ミツカ=サウスタウンで~す! 重ねてですがよろしくお願いしま~す! 」。


ハリガネに紹介されたミツカは隊員達に深々と御辞儀をして挨拶をした。


「昨日も少し話しましたが、ミツカさんは工兵出身で防壁とか施設やトラップ関係の専門分野に特化した隊員です。まぁ、建築関係とか大掛かりな工事は賊団から居場所がバレてしまうのでさすがにできませんが、部隊内では欠かせない存在となっていく事でしょう。本国ソイ=ソースでは防衛部隊も兼任しており、複数の大型魔獣相手にも臆せず戦える強戦士です。頼もしい人が僕等の仲間になりましたね~」。


ハリガネはそう言いながら誇らしげにミツカの肩をぽんっと叩いた。


「いやいやぁ~! 御力になれるよう頑張ります~! 隊長もどうぞよろしく~! 」。


ミツカは照れくさそうな様子でハリガネに手を差し出した。


「こちらこそですよぉ~! 」。


そして、ハリガネとミツカはその場で固い握手を交わした。


「...」。


隊員達が活き活きとした表情を浮かべてミツカに対し期待感を含んだ視線を向けている反面、ゴリラ隊員は渋った面持ちで両腕を組んだままその場に立っていた。


「ゴリラ隊員~! 何をそんなムスッとしてるんですか~? 」。


ハリガネは怪訝な表情を浮かべ、腑に落ちない様子を見せているゴリラ隊員にそう問いかけた。


「...別に」。


ゴリラ隊員はぶっきらぼうにそう言って隊員達からそっぽを向いた。


「何すかぁ~? まだミツカさんの事を疑ってるんですかぁ~? もういいじゃないですか~! 仮にこの人がミツカさんではないとしても、戦闘能力に関しては僕が保障します! フィジカルがヤマナカと引けを取りませんよ! 僕とシアターさんは背負っていた対魔獣用の長剣を二刀流で使いこなすミツカさんをこの目で見たんです! ゴリラ隊員は長剣を二刀流で使いこなす剣士を見た事があるんですか!? 」。


「隊長っ! ミツカ勇士の実力は私よりも数段上でありますっ! 私は長剣を片手で振り切る事はできませんっ! 機会があれば、是非ともミツカ勇士の戦闘を私も拝見したいでありますっ! 」。


ヤマナカもそう言って羨望の眼差しをミツカに向けていた。


「ふんっ...別に不満があるわけではない」。


ゴリラ隊員はハリガネにそう答えと、露骨に大きな溜息をついた。


「う~ん! こんなサバイバルな環境下で入ってきた新参者の僕を信用しろって言うのは、ちょっと無理があるのかもしれないね~! よし! 隊に入れていただけた御礼として僕が一肌脱ぐとしよう! 」。


ミツカは笑みを浮かべながら自身の両腕で力こぶを作った。


(一肌って...アンタもともと上半身裸じゃねぇか...。下はボロボロの白い道着に同じくボロボロの黒帯を締めてるだけだし...)。


ハリガネはそう思いながらボディービルダーのポージングを取っているミツカに冷めたい視線を送っていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ