08
ルーリシェラさんの想い、
きちんと受け止めないと。
だからこそ、この問題をきっちり解決するため、自分でも動かなきゃ。
まずは、監視してる連中に、こっちからアプローチする方法……
「出来れば穏便に願いたかったのですが……」
「巡回司法省はともかく、監視してる者の中にはシジマさんを利用すべく動いている連中も少なからずいると聞いております」
「正直、そういった連中のせいで事態が悪化するくらいなら、いっそそいつら自身に直接責めを負わせたい……」
……なるほど、それも良いかも。
因果応報って、もちろんアリですよね。
アレなデバガメどもを一掃するには……
『……やっぱりジェノサイド?』
うん、あんまり鬱陶しいようなら、それもアリ。
こそこそ嗅ぎ回ってる見も知らない連中の都合で、
平穏な生活が脅かされるくらいなら、
先手必勝でこちらから仕掛ける方が……
---
固有スキル『創造』で、魔導具っぽいモノを作成してみた。
『見つめ返すジト目』:視線感知・直接警告・悪意反射の能力を付与した指輪
『視線感知』:指輪装着者を監視する者の視線を感知。
追加効果:全ての監視者をマーキング。
『直接警告』:悪意ある監視行為を止めるよう監視者に警告。
警告内容:『それ以上の監視は即時報復にて対処します』と、
監視者の脳内へ直接警告。
『悪意反射』:警告を無視した者へ、その悪意を増幅して反射。
報酬目当ての監視者には、得られる報酬以上の損害を与える。
危害を加えようとする者には、それ以上の実害を与える。
もちろん、殺意には確殺を。
「……怖い魔導具ですね」
こういうのを作ったのは初めてですけど、ちゃんと狙い通りに出来ました。
確かにルーリシェラさんのおっしゃる通り、
デバガメ野郎どもにはとても怖い魔導具でしょうね。
それと、お願いがあります。
俺たち家族全員がこういう指輪をはめてるってことを、
巡回司法省の組織パワーで関係各方面に広めてもらえませんか。
「了解です」
「もっとも、私がヴェルクリ支部の責任者にこの指輪の存在を報告をするだけで済むと思いますが」
「それだけで数時間後には、この件の関係者全員に情報が満遍なく広まっているでしょうね」
そこまで凄いのですか、一流諜報機関って。
「そこまで凄い人たちが、今はシジマさんに夢中なのですよ」
『嫌なベクトルでモテモテ!』
……俺、モテモテは家族だけでいいや。
それではこの指輪を、まずはツェリアさんに。
「……綺麗ですね」
うん、とても良く似合ってますよ。
では『縮小』して、チミコさんにも。
『左手薬指!』
はい、エンゲージ完了って感じですかね。
……これで、今の俺に出来るだけのことはやれたはず。
後はルーリシェラさん、お願いします。
「はい、お疲れ様でした」
「それでは、まずは皆さんの解放手続きを進めます」
「皆さん、この後の予定は?」
えーと、ここヴェルクリ支部の食堂って、お味の方はいかがです?