04
思っていたより質素なお部屋ですね。
窓が小さくて鉄格子がハマっているのは防犯対策でしょうか。
その代わりなのかな、入り口の方は解放感抜群ですね。
いや、解放感ってよりスキマだらけだよね。
スキマっていうか、これ、鉄格子……
『現実逃避!』
……うん、逃避したくもなるよ。
だってここ、牢屋だし……
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ベルモワール目指して意気揚々の俺たちは、
突然、衛兵さんたちに取り囲まれて、
連行されたのは巡回司法省ヴェルクリ支部、
の、牢屋。
いや、罪状くらい教えてくれよな。
無言で連れてこられたのもアレだけど、
まるでヤバいウィルスの保菌者みたいな扱いで極力接触を避けられ、
問答無用で全員牢屋へ一直線。
ここまで我慢して大人しくしてたけどさ、
理不尽な拘束には全力で抗っちゃうよ、俺。
「何だか、シジマさんと初めて出会った頃のこと、思い出します……」
……そうですね、家族3人が揃ったのはタリシュネイア城の牢屋でした。
もちろん、ここにこうしてみんなが揃っているなら、
やることはひとつです。
『牢屋でお茶会!』
「いや、それはおかしい……」
えーと、どなた?
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呼び出しに来たツッコミお姉さんに連れられて、
着いたところは殺風景なお部屋。
テーブルひとつに椅子がいくつか。
ここってたぶん、取り調べ室。
カツ丼、食べたい……
「着席、願います」
お姉さんの言うがまま、
俺とツェリアさんはお姉さんの向かいに。
チミコさんは、テーブルの上でちょこんと女の子座り。
特に手錠とかで拘束されてないので、割と自由です。
「巡回司法省エルサニア王都本部所属、広域重犯担当官ルーリシェラです」
「現在、シジマさんには"統一通貨偽造"の容疑が掛けられています」
……あー、ついに来たか。
この異世界に来てから、当たり前のように『創造』でお金を出してたもんな。
でもさ、俺って『創造』した硬貨をあちこちで使いまくってるけど、
偽金扱いされたことなんて一度もないよ。
だから、この世界の通貨管理システムからも、
偽金じゃなくて"本物"だって認められてるはずなんだけど……