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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: お薬飲めたね

 雨上がりに虹が見えた。

今私はマンションの屋上にいる。

いつからこうしているのだろう。

からだはビショビショだし鼻水も垂れてる。

くしゃみだって止まらない。

風邪ひいたかな。

でも、もうこの人生にも区切りをつけるんだから何も気にしない。

どうなったていい。

下を覗き込むと車や歩く人々が目に入る。

楽になれる。

ようやく。

辛く長い日々が終わるんだ。

思っているのにあと一歩が出ない。

なんでだろう。怖いものなんてもうないのに。

私がいなくなって悲しむ人は居るのかな。

私の片付けは誰がするのかな。

警察。消防。救急。くるのかな。

下にいる人に当たらないかな。

みんな避けてくれるかな。

私は地面にぶつかったらどうなるのかな。

弾け飛ぶのかな。

落ちてる間に気を失うって聞いたけどほんとかな。

ほんとだったらいいな。

私は昔から落ちる乗り物が嫌いだから。浮遊感味わいたくないな。

私のことみんな写真撮るのかな。

惨めな人間だって。SNSで拡散するのかな。

これから人生終わらせようとしてるのになんで恥ずかしいって思うんだろう。

迷惑かけるかなって考えるんだろう。

あとのことなんか考えなくていいのに。

 そういえば虹って初めてみたな。

ずっと下向いて生きてきたから。

他人の目ばかり気にして俯いてきたから。

今までこんな綺麗なもの何回も見逃してきてたのかな。

もっと綺麗な景色見てみたいな。

そう思うと足元がすくんだ。

怖いと思う自分がいた。

これからは綺麗な景色を見るために顔をあげてみよう。

濡れた体で家に帰る。





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