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ジャック



今日は十月三十一日、晴れ時々曇り、ハロウィン。そう、今日はハロウィン。街のみんなは、悪魔の仲間だって思われるように化け物や怪物に仮装して、お祭り騒ぎで盛り上がっている。悪魔なんて、居ないのに。居たらもう、見つかっている筈だしね。


「悪魔なんて、本当に居るのかな」


「居るよ」


その時不意に声がした。振り返るとそこには、小綺麗な黒色の格好をした男性が居た。仮装なのか、耳はとんがり口は裂けて見える。ここはみんなが騒ぐ場所から離れた誰もいない場所なのに、彼はお祭りに行かなくて良いのかな。


「悪魔なら居るよ、ここにね」


「何言ってるの。あなたも仮装しているんでしょ」


「だからさ、おれは悪魔なんだって」


この人は何を言っているんだろう。脅かそうとしてくれているのかな。酔い過ぎていないと良いんだけれど。


「あっちの方が、みんな仮装して盛り上がってますよ」


「え、あれは仮装だったのか?悪魔が沢山居ると思っていたのに」


「え?」


「冗談だよ、冗談」


「飲み過ぎてるのかなって、心配しましたよ。悪魔なんて、居るわけないじゃないですか」


「いや、それは本当だって。おれ、悪魔」


ここまで頑なに言われると、容姿に表情からどこをどう見ても悪魔にしか見えなくなってくる。青白いし。でもこんなにも悪魔は人にそっくりなものなのかな。もっと、おどろおどろしいものかと思うんだけれど。


「まだ疑ってるのか」


「でも悪魔だったら、取引とかするんでしょ。魂くれとかって」


「なんだ話が早いな。魂くれるのか?」


「嫌ですよ、何言ってんですか。それに、僕は何もお願いしてないし、あなたが悪魔だなんてありえないじゃないですか」


「何故、そう言いきれる」


「なぜって……」


「じゃあお前、神や天使なんてのは信じてるのか?」


「まあ、悪魔よりは」


「会ったことがあるか?見たことは?無いだろ」


「そりゃあ、無いですけど」


「当たり前だ。あいつらは気まぐれで、贔屓しまくりだからな。お気に入りの前にしか現れないし、関わらない。どっこい、おれはどうだ?ちゃんと目の前に現れただろう、平凡なお前の前にな。依怙贔屓なんてしちゃいない」


「それは、あなたが悪魔だったらの話でしょ」


「だーかーら、おれ、悪魔」


本当に、悪魔、なんだろうか。いや、そんな筈はないと、思いたい。そうだ、証拠がない。悪魔だという証拠が。



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