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今日は、魔法の練習

――子供たちを拾って1年が経った。子供というのはスポンジのように知識の吸収が早いもので。魔力の扱い方はもちろん、魔法の使い方やそれを応用した、私オリジナルの生活魔法まで使えるようになっていた。


今では野菜程度であれば成長魔法を使って育てられる程度には全員が魔法を使えている。皇国では魔法が使える人間は聖女である私やミーユを加えて100人程度しかいない。


皇国全土の人口は正確な数字はわからないが…...100万人くらいはいると皇帝から聞いたことがある。それと比べれば、この子たち……超優秀な魔法士の人材じゃないか?


レオンを始め、カール、アール、アース、レイナ......経った1年ちょっとでよくここまで成長したものだ。お姉さん嬉しいよ......。


レオンは魔法というよりは身体を動かす方が好きらしく、魔法を使うというよりは剣術や体術を学ぶ方が性に合っているみたい。


カールは無口だが、勉強が好きなようで、暇さえあれば購入した本を読み漁っていた。魔法はもちろん、世界情勢などにも最近は興味があるようで。様々な国の言語を習得しようとしている。将来は有能な文官に慣れそうだ。


アールはお喋りで要領がいい。体術はもちろん、魔法もそつなくこなす。


紅一点のレイナは植物を育てるのが好きで、この森にある野草や木の種類はもちろん、薬の調合などに興味があるようだ。甘えん坊で自分に無頓着なところがある。


アースは喧嘩っ早いが仲間思い。少々がさつなところもあるが、努力家な一面もある。付き合えば好感が持てるガキ大将タイプだろう。乱暴な口調はちょっと直して欲しいかな。


そんな5人の子供と今日は森で野草の採集と、金策としてのポーション作り、そして授業がてら新魔法の開発に勤しむ。


「ふぅむ......市場では下級ポーションが出回ってて、軽度の怪我であれば治せる程度の効能を持つ......か。銀貨5枚で販売されているとなれば、効率的に稼げないかなぁ」

「......だったら、貴族をターゲットにした、上級ポーションを作ればいいと......思う。森の中にある材料できるし、少量、高額販売......質のいい商品を売れば……イける」

「よしよし、カールは賢いねぇ。それなら森を複数回出なくて済むし、販路を確保して少量流通させれば儲けられるわ」

「でも、街まで運ぶにはどうするの?ポーションなんて高級なものを子供の私たちが持っていれば、野盗がでた時とかに対処しきれないじゃない。傭兵も信用出来ないし。いい餌食だわ」


なんて、娯楽費の基盤となっているポーションの販路について今日は議論をしていた。この世界の本って高価だし、欲しいものを買うにはお金がかかる。レイナとアールと会話をしていると、服の裾を引っ張る影が背後にひとつ。


「どうしたの、レオン。そんな不服そうな顔をして」

「今の時間は魔法の練習に付き合ってくれる約束だろ?お金の話は大切だけど、俺ももっと強くなりたいから……」

「ああ、そうね。じゃあ、今日は火の攻撃魔法を覚えましょうか。火属性は火起こしとかにも役に立つし、基礎中の基礎だからすぐに覚えられるわ」

立ち上がると、今度は物寂しそうに見上げるカール。

「あ……姉さん」

なにか言いたげに口を開いたり、閉じたりする。どうしたんだろう。理由を聞こうとすると農園の方角からアールの声が。振り返るとこちらに手を振っていた。

「姉さ~ん!ちょっとこっち来てくんない?成長魔法つかったらトマトが変な風に育ってさぁ~」

「順番対応するから!レオン、魔法は後で教えるわ。とりあえず、魔力を体内に貯める練習をしていて。カールも落ち着いたら話を聞くから。アール!その用事は緊急なの!」

「そう!成長魔法を使ったらトマトの茎とかがうねうねって動いてて大変なの!」

「魔力を込めすぎたのよ!死海の森は魔素濃度が濃いから成長魔法を使う場合、力加減を間違えると稀に魔物化することがあるの。いますぐ行くから……!」

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