子供たちの旅立ち
★三人称
レオンたちはエミリアの転移魔法で森の外まで送り届けられる。森の入口からしばらく道なりに進むと、各国境へ続く分かれ道がある渓谷にたどり着いた。
ここまでは子供たち5人で。それぞれ違う道へ進むため、アールとカールは皇国の道へ。アースとレイナは共和国に出る海の方へ行くために南の道に進んだ。彼らの背中を送り届けるとアースはその足で王都に向かった。
「ふぅ......いままで姉さんの魔法があったから難なくこれたが、自分の足で歩いて行くとなると、王国の王都ってこんなに遠いんだな......さて、宿はどこにするか」
まずは衣食住を整えるため、アースガルド王国、中央王都で宿を借りることに。そこで居住まいを整えたら、彼は王国騎士になろうと決心した。
王国騎士は王国全体の治安維持も担っている。レオンは元々奴隷出身であること、そして村が襲われた経緯から、いつか国の治安を守り、困っている人を助けられるような人間になりたいと思っていたからだ。
王国騎士は入団試験はあるものの、強い人間であれば身分問わず採用してくれる。王国の国土は広く、その半分は貧困層で出来ている。貧困を失くし、武力を強めるための政策としてこのシステムを採用していた。
身分さえはっきりとしていれば、レオンの強さを持ってすれば王国騎士になることなど造作もない。
「ファフニール様は王国騎士になりたいって言った途端に顔を曇らせたけど......でも、悪を成敗するためには王国騎士になった方が速いんだ。それに姉さんをがっかりさせたくない!......よし、絶対に王国騎士になるぞ!」
レオンの中で葛藤があったのか。けれど自分の道は定まっている。喝を入れるために頬を叩き、レオンは宿屋の入口を潜り抜けた――。
 




