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74. 問題児は最後に備える

 対抗戦の初戦で華々しく(?)勝利を飾った俺たち。

 残りの予選はあと二回だが、次の相手も気にすることは無いだろう。


 問題は最後だ。

 予選はトーナメント形式だが、誰が相手になるかなど大方予想がつく。


「それで、あいつらはどんな魔法が得意なんだ?」

「お姉ちゃんは黒の書をよく使うんですが、ライエンさんはわたしにも……」


 フレイヤはストローをくわえながら上を見上げる。


「……そういえば、臨海学校の時は白の書を使っていました」

「そうなのか?」

「はい。レイシスさんが戦ってる間、光る剣を出していたハズです」

「てことは《"ホーリー・ブレード"》か」


 俺が気付かなかったってことは、無詠唱で使っていたのか。

 ライエンは騎士団の訓練を受けていたらしいし、魔法を用いた近接戦が主体か?


「にしても懐かしいですね。わたしとレイシスさんが出会ったキッカケも、同じ魔法でしたし」

「うん?」


 そんな事あったか?

 白の書なんて滅多に使わないが……。


 ……あぁ、あの時か。


「飢え死にしかけた奴か」

「あの、もしかして忘れていたんですか……?」


 なぜかジト目で見て来るフレイヤ。


「いやだってさ、自分が使った魔法なんて細かく覚えてるか?」

「樹海を彷徨さまよった挙句、自分の足を切り落とそうと使った魔法ですよ? 普通なら絶対忘れないと思います」

「言われてみれば、たしかに覚えやすい状況だな」

「トラウマになっていても、不思議じゃないと思うんですが……」


 ひどい言われようだった。


「あーもう、前の話はいいんだよ。そんなことより対抗戦だろ?」

「露骨に話変えようとしてません?」

「気のせいだ」


 気を取り直して、ミーリヤたちと戦う際の作戦を考えないと。


 おそらくお互い同じ戦い方になるはずだ。

 個人の地力と小さな差で勝負が決まるだろう。


「俺の予想だとライエンが攻め込んできつつ、ミーリヤが援護にまわるはずだ」


 前衛と後衛に分かれるのは、実戦でもよくある構成だ。

 魔術士は詠唱のスキを埋めるため、二人ペアで活動することが多い。

 だから向こうの配置も読みやすいのだが……。


「試合が始まったら俺とライエンは接近戦に入るだろう。問題はフレイヤとミーリヤだ」

「えっと、わたしはお姉ちゃんと戦えばいいんでしょうか?」

「いや、そうとも限らない」


 重要なのはミーリヤがどう出て来るか。

 それによって取るべき行動が変わって来る。


「ミーリヤって第五章は得意なのか?」

「どうなんでしょうか……。広域魔法なんて、使う場面があまりないですから」

「つまりほとんど見たことないってことか」

「はい」


 となるとミーリヤの動きを、あらかじめ予測しておくのは難しいな。


 よし、今回は()で行くか。


「フレイヤはミーリヤに全力攻撃だ。そうすりゃ向こうも対応せざる得なくなる」

「わたしで勝てるでしょうか……?」

「もちろん」


 まあ仮に勝てなかったとしても問題ない。

 今のフレイヤなら、かなりいい線まで行けるだろう。


「レイシスさんを信じてないわけじゃないんですが……」

「いや、最悪勝てなくても構わないんだ。ミーリヤの動きを制限できればいい」

「制限、ですか?」

「あぁ。ミーリヤを足止めしている間に、俺はライエンとの決着を付けておく」

「でもお姉ちゃんがわたしを無視するかもしれません」


 彼女の言う通り、当然そうなる可能性だって考えられる。

 が、全然問題ない。


 というかむしろ、一番楽なパターンかもしれない


「もし無視されたら全力でミーリヤを攻撃してくれ」

「それは構いませんが……。レイシスさんはどうするんですか?」


 言いたいことは分かる。

 ミーリヤがフレイヤを無視する状況。

 それはつまり、ライエンに加勢している状況だ。


 俺が集中砲火されるわけだが、だからこそ『楽なパターン』だと言える。

 フレイヤが狙われるより何倍もマシだからな。


「俺の事は気にしなくていい。自分で何とかする」

「えっと、具体的には?」

「それは知らん。場合による」

「えぇ……。本当に大丈夫なんでしょうか……」


 仕方ないだろう、すべては相手の出方次第なんだから。

 その場の判断で臨機応変に対処するのだから、事前に説明するのは不可能だ。

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