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家出少女は昔振られた幼馴染と瓜二つ  作者: ナックルボーラー


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48話 オオヒラの後日談

 大平清太も最初から性格が腐っていたわけではなかったそうだ。


 幼少期の頃は体が弱く、家が貧困で殆ど自由がなかったそうだ。

 だが、幸いであり不幸である彼の転機は、高校2年の頃に患った大病。


 当時の大平家にはその病気を治せる程の治療費はなく、一族全員が諦めていた時、オオヒラスーパーの社長である大平源次郎の旧友であるデリス食品の社長の青葉茂が援助を申し出てきた。


 最終的に青葉社長のおかげで大平清太の治療は出来たのだが、ここで1つ疑問があるだろう。

 

 何故当事者の大平清太が命の恩人である青葉社長の援助を知らなかったのか。


 それは、青葉社長の謙虚さにあった。

 

 勿論、大平社長は援助を申し出てきた青葉社長に大変感謝した。

 だが、感謝され続けるのも気恥ずかしいと思った青葉社長は、一族には自分が援助をしたという事は言わないで欲しいと頼んだそうだ。ずっと感謝され続けるのも疲れるという理由で。


 大平社長は、だが大平清太だけにはと言ったそうだが、それも拒んだそうだ。

 匿名での援助、それが青葉社長の要望だった。大平社長も最後には分かったと頷いた。


 それから数年後に、大平社長が営んでいた小売業も景気が乗り、支店を幾つも出す程に上昇していき、その最中に恩を返す為と、俺達の会社が出す食品の品質を買い、多くの物を取り寄せてくれた。

 だから、青葉社長と大平社長の仲が続く限り、取引は続くだろう、と思われていた……孫である大平清太の身勝手な行動が出るまでは。


 話は最初に戻るが、大平清太がここまで性根が腐ったのは所謂、自由から解き放たれての傲慢によるもの。


 幼少期はお金もなく、体が弱かった所為で自由が殆どなかった大平清太だが、大病の治療の影響で体も強くなり、更に祖父の事業成功に伴い裕福になったことで、奴は徐々に歪んで行った。


 正確に言えば、お金を持ち始めてからの交流関係が駄目だったそうだ。

 あくまで俺の偏見だが、お金がある奴には悪い奴らが群がって来る。その金に肖りたいというハイエナの様に。

 そいつらに悪影響を受けた奴は、お金さえあれば全てが手に入ると勘違いし始め、お金を使い仲間を集め、お金を使い自分に逆らう奴を押さえ、お金を使い女を喰い、お金を全てを露呈しない様に根回しした。


 つまり、自由を縛られ続けて羽目を外し過ぎたのだろう。

 

 だが、今回の件で相当反省している様子だが、誰もお前の事は許さないだろう、俺もだ。

 だがせめて罪を受け止め、この先は真っ当に生きてくれ、永遠に俺達の前に現れるな、以上。


 そして、オオヒラスーパーだが。

 孫が世間に顔向けできない程の罪を犯したのだ。祖父である大平社長も責任を取るとの事だ。

 社長を辞任し、これまでに大平清太が脅迫して泣き寝入りして来た被害者を探し、誠心誠意に謝罪するそうだ。

 社長が辞任して、社員が法を犯した事でオオヒラスーパーに影響がないとはいえない。

 

 だが辞任する大平社長は涙ぐみながら


「今回の件はワシ達家族の問題、社員に何の罪もない。散々恩を仇で返す様な事をしておこがましいが、会社を頼む……」


 と、還暦を過ぎた老人の涙ぐみ深々と頭下げる姿は痛ましかった。

 俺達もオオヒラスーパーは散々お世話になったからな、出来る限りの援助はするつもりだ。


 


 後日談だが、オオヒラスーパーは社長辞任した後、流石に社名をそのまま残す事は出来ず変える事になったが、前社長が培った社訓が受け継がれた事で、支店は幾つか潰れはしたが、お客に安くて質の良い物が揃う店として市民に愛される店になっているよ。

 

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