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字の名人

1995年…小2の時、字の名人になった。


30代前半の担任女性教諭から選ばれた。


書道家みたいな称号だが、要は担任から



あんたの字は見やすい!



と評価される事だ。


『字の名人』と上部に書かれたホワイトボードに僕の名前が書かれたマグネットが貼られた。


この称号を実は狙ってた。


これには賢い奴ばかり選ばれてたから、字が上手くなったら賢くなれると信じ、宿題やテストの字を丁寧に書いた。


気に食わない字は誤字でもないのに消してもっかい書いた。


そんな努力が身を結び、字の名人に選ばれた。


賢い奴らの名前が貼られたホワイトボードに俺の名前が加わった。



俺は嬉々として親や祖父母に伝えた。


「字の名人に選ばれたで!」


みんなに褒められた。これが名人パワーだ。賢い人間になれる第一歩だ。





しかし、それから適当になった。目標が達成され怠惰になった。頂点を極め賢くなったと油断した。



字の名人を取って2週間ほどすると担任が終わりの会で



「残念なお知らせがあります。1人字の名人じゃなくなります」



担任はふじもとマグネットを剥がした。


俺の方を見て


「最近、汚くてみずらい!」


捨て台詞を吐きマグネットを自分の机に閉まった。



目標まであとちょっとぐらいが一番努力するのかもしれません。



字の名人を剥奪された事は23年経った今も、親に言ってない。

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