花の少女が死ぬまでの
灯子は、“死”という象徴から、かけ離れた世界に生きる少女だった。
塔子は、“生”という象徴から、かけ離れた世界に生きる少女だった。
初夏の、ある日のこと。灯子と塔子は、植物園の、秘密の部屋で出会った。
互いを羨望の目で見ながら、二人のトウコは、それぞれに絡みつく“生“と“死”を交換するべく進んでいく。
───とぉこ
───はぁい
トウコの唇に、赤い線が引かれた。紅を引いた唇は、幼気な少女には違和感となって、そこに在った。
トウコは微笑む。
花と死の匂いが、満ちた。
複雑に絡まりあった、糸が、解けていく。
血肉と、死臭と、花を巡る、二人のトウコの物語。
※縦読み推奨