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扉を開けて
汽車を降りて改札を抜けると、さっき見た古城が目の前にあった。さらにその手前には大きな門がどっしりと構えていて、いかにも名門校という感じであった。
(…大きいなぁ…これからここで勉強するんだ)
「…ステラ・エマーソン君かな?」
ふと見上げていた視線を声の方へ向けると、すらっとした男性がこちらに向かって話しかけていた。
「は、はい…?」
「僕は高等部3年のジム・キンダーソン。学園長からの命で、君を案内するように言われたんだ。よろしくね」
「あ、よろしく…お願いします」
さも当たり前のように自然に差し出された手をステラは恐る恐る握り返した。
「さ、まずはその荷物を置きに行こうか。ついておいで」
そう言ってスタスタと歩き出したジムの後を、ステラは小走りでついていった。
(…あれ?)
さっき自分が持っていたはずの荷物は、いつのまにかジムの手の内にあった。
自然でスマートな身のこなしに思わずため息をついたステラであった。