兄からの手紙
「…はぁ」
今日は確か高等部の新入生歓迎会のはずだ。
貴族の子女の通う学校の歓迎会はさぞや楽しいのだろうが、ステラにはあまり興味がない。
小さくため息をついて外を見ると、広い森の少し遠くに大きな古城が見えた。
どうやらあれが名門・王立シルヴィアナ魔法アカデミーのようだ。
(もう兄さんに会いたくなっちゃったなぁ……)
「……あれ?」
滲んだ涙を拭こうと鞄からハンカチを取り出すと、綺麗に折りたたまれたハンカチの中から手紙が出てきた。
『ステラへ
これを読んでいるってことはもうホームシックになったってことだな。
きっと口ではろくなことも言えないから、手紙を書いた。
父さんを慕っていたお前が決断をしたことは正しいと思う。
だけど、お前がどうしても苦しくなったら迷わず帰ってくるんだぞ。
俺は神父をしながら気長に待っているからな。
手紙、待ってるぞ。 カイル・エマーソン』
「…兄さん…ますます帰りたくなっちゃったじゃない…」
ステラはたとえこの先に楽しいことがあったとしても、今の胸の苦しさに涙を流した。
王立シルヴィアナ魔法アカデミー
・国一番の名門校「王立シルヴィアナ魔法アカデミー」(全寮制男子校)
13歳〜17歳までの男子が通う
・中等部,高等部に分かれている。
・4つの寮(紅狼寮,白兎寮,青蛇寮,紫猫寮)に学科関係なく振り分けられる。
・普通科,魔法声楽科,占星術科,魔法騎士科