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たとえ離れても
決めてからは早かった。
色々なことが次々に進み、気づけば今日がその日になった。
「…ステラ、気をつけろよ。」
「わかってるよ、兄さん。」
「いいか?絶対に隠し通すんだぞ。」
「うん、頑張るね。」
「…………っ」
カイルはステラの短くなったブランドを手ですいた。
「…やっぱり、行かなくてもいいんだぞ?」
カイルは寂しそうにステラを見つめた。
「…ううん、父さんのためにも、教会のためにも頑張るよ。…そんな寂しそうな顔しないで、兄さん。」
「…ばぁか、んな顔してねえよ」
「ふふっ…きゃっ!」
カイルがステラをぎゅっと抱きしめた。
「…嫌になったら、いつ帰ってきてもいいからな」
「…うん、わかったよ。」
体を離したカイルは、ステラの澄んだ青い瞳が潤んでいることに気づいた。
しかし、必死で堪えて微笑む妹にわざと気づかぬふりをする。
「それじゃあ…行ってきます。」