2人の決心
「…というわけなんだ。」
ひとしきり話しきった学園長に、サミュエルが食ってかかった。
「…それって、学園長のワガママってことっすよね?」
「…そうなるね。だから、エマーソン君には感謝してるし、全力でサポートしていきたい。」
「………大人のエゴであいつを惑わすな……」
サミュエルは肩を震わせて、別室を出て行った。
「ガーネット!!し、失礼します」
アーサーも一礼してから後を追うように出ていった。
「……」
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「おい、待てって!」
中庭へ早足で歩くサミュエルの肩をアーサーが掴むと、振り返ったサミュエルは悲しげに怒っていた。
「…落ち着けよ。」
2人は噴水の淵に腰かけた。
しばらく沈黙が続いたあと、サミュエルがぽつりと話し始めた。
「……昔の、兄貴に似てたんだ。」
「……え?」
「…大人の都合で、厳しく育てられてさ…結果、兄貴は親のいいなりになった」
アーサーは、サミュエルの抱える傷のようなものに触れた気がして、何を言っていいかわからなかった。
「…オレはあんな風になりたくなくて、色々自由にやったよ……そうしたら…兄貴が壊れた。」
「…!?」
「…ある日寝てたらさ、首を絞められてた。兄貴に言われたよ…『どうしてお前はそんな顔をしてられるんだ?お前ばっかり…』って」
「………」
「…いま兄貴は田舎で療養してて、家は次の兄貴が切り盛りしてる。………オレは、罪滅ぼしがしたい」
「…どういうことだ?」
「…兄貴にしてしまった罪を、ステラを守ることで償いたい。…お前は、どうする?」
サミュエルの表情は、さっきと全く違って落ち着いていた。
「……俺も、お前と同じだよ。ステラは俺にとって…いや、俺たちにとって大切な……友達だ」
「…そうか……あいつのとこに、戻るか」
「……ああ」
2人は、医務室に向かって歩き出した。
赤い夕焼けは、まるで彼らの背中を押しているかのようだった。




