高校1年生 春
プロローグ
私、病気になりました。
病名・・・
自分で言うのって、とても複雑。
でも、これが私の生き方なら、言うべきかな?
私・・・ガンになりました。
もう、先はあまりないみたい。
でも私、周りの人に励まされて生きていることに気づいた。
愛されて生きていることに気づいた。
だから
これが私なら
おもいっきり生きたい!
4月8日(金)
イエーイ!
イエーイ!
今日から、見上按は高校生で〜す。
アハッ
按も高校生ということで、今日から自分の想いや感じたことを
正直に日記として残したいと思いました。
青春だもんね。嘘のないように、しょ〜じきにカコ。
まあ、自分しか見ないから嘘を書く必要ないけどね。
でね、今日は入学式でした!めちゃキンチョー!
あ〜今日から高校生だぁ〜
大人だなぁ〜
担任の先生は、石川忠先生。今日はとりあえず自己紹介
をしました〜
このクラスで一年過ごすんだなぁ〜
たのしみ〜
4月9日(土)
今日は朝から書きます。
今の時間、10時13分をまわったとこです。
今日、学校はいきなり休み。昼まで寝てようと思ったんだけど、
お母さんにたたき起こされちゃって。
もう酷いんだよ。朝8時に階段駆け上がって2階に来て、「アン!起きなさい!いい天気 の日にいつまで寝てるの!」って。
だから「高校生活初めての休みなんだから寝かせてよ〜」って言ったんだけど、「初めか らダラダラしてどうすんのよ。だいたい初めてって言っても、昨日しか行ってないじゃない の!食事もあるし、掃除もしなきゃいけないし、あんたが起きなきゃ片付かないでしょ!」 っていいながら、布団とか片し始めちゃってさ、仕方なく起きて食事して、まだ頭グシャグ シャで寝ぼけてるけど、ムカついたからこのことを日記に書かなきゃって思って書いてるん だ。
だいたいなんで入学式昨日なの〜?
意味ないじゃん!
普通月曜からっしょ。
あ゛〜も〜学校で疲れてるんだから〜!!!
4月10日(日)
暇!暇!ひまなのよぉぉぉ!!!
なんでかしら?
高校生初めての日曜日に全く予定がないなんて。
あ゛〜こ〜んなに暇なんて、高校生活こんなんでおわっちゃうのかしら?
も〜
ん゛、もぉ〜
私、今まだ布団の中にいるの。因みに、今の時間は12時半を回ったとこ。
今日はお母さん仕事に出てるし、私だけしか家にいないし。
だからこそ、今日の時間の流れを感じてしまうわ。
一人だと気楽だけど、不安になったりする。
誰か連絡こないかなぁ〜
4月11日(月)
もう今日は朝から大変だったよ〜
今日から本格的に学校が始まったんだけどね、私よりお母さんが緊張しててさ、家出る時 煩いの。
「大丈夫?」
だの
「忘れ物ない?」
だの
「ハンカチ持った?」
だの。しまいには
「学校までちゃんと行ける?」
だもんね。子供じゃない!ちゅーねん!
でも学校は楽しかったよ。なんかドキドキした〜
まだ友達も出来てないからさ、休み時間なんかは教室静かなの。
だから私それに耐えられなくて、妙子と律子のとこに行っちゃった。
二人とも中学の時同じクラスなんだぁ〜
大の仲良しなの。だから二人が同じ高校に進学したのが嬉しいよ。
二人がいなかったら、私孤独だったかも。
二人とはいつまでも仲良くいたいなぁ〜
4月12日(火)
今日も休み時間、妙子と律子と遊んじゃった。
妙子は1組で、律子が4組。私は5組でみんなバラバラだけど、休み時間になると、3人 集まっちゃうんだぁ〜
教室が静かでつまらないから、ついついね。
でね、今日は3人で学校を探検しよう!って話になって、いろんなとこ歩いたんだ。
まあ所詮学校だから、中学とあまり変わらないけど、なんかワクワクするじゃない?
ほら、購買があったり販売機があったり、びみょ〜に違うじゃない?
その違いを探すのが楽しかったりするのよ。
それで、3人で校内をまわったの。
「出発〜」
2階は1年生の教室と、視聴覚室があるぐらいだから飛ばして、まず4階からまわった の。4階は3年生の教室があって、その廊下を新入生3人が歩いたわけ。そしたら、いかに も新入生!って感じで目立ってさ〜「なんだ?こいつら」的な目で、なんか睨みつけられて いる気がしちゃって、3人とも緊張しちゃって、無口になって、早歩きになって、3年生の 間をくぐって歩いたよ。廊下の奥に音楽室があって、本当は中に入ってピアノとか触って見 たかったけど、それも怖くなって素通りしちゃったよ。で、3階に行こうと思ったけど、3 階も2年生の教室だし、美術室と理科室があるだけだし、また先輩の人に睨まれると怖いか ら止めたよ。
だから3人は「やっぱ購買に行ってみよ!」ってことになって、1階にある購買に行くこと になりました。やっぱ高校生になったら購買だよね。
購買は玄関の横にあって、そんなに大きくないけど、おいしそうなパンがずらりと並んでた よ。
あんぱん、カレーパン、やきそばパン、メロンパン、ホットドックとか、いろいろ。
他に牛乳やコーヒー牛乳やヨーグルトなんかもあってさ、もうみんな感動しちゃって、あ 〜これが高校生なんだぁ〜って思いました。
物凄い並んでたよ。私も何か買いたかったんだけど、そのとき持ち金なくて、買えなかっ た。だからみんなで、明日買って一緒に食べよう!ってことになりました〜
そして、玄関まで来たからついでに校庭に出ようってことになって、校庭に出ると校庭の 端に桜がたくさん咲いてるの。だからそこまで歩くと、なんか凄くて、遠くで見る桜も綺麗 だけど、桜の木の下に来たらなんか違ったの。神秘的っていうか、なんかロマンチックで、 桜が散るような、別世界に感じて、こんなとこを彼氏と歩きたいなって。
私が目をウルウルして感動しながら横見たら、妙子や律子も目を潤ましてて、妙子が「明日 ここで花見しようか〜」って。
4月13日(水)
ちょっと!聞いてよ!!!!!
誰にじゃ〜!!!(笑)
ヤバッ!
一人ボケ!一人ツッコミ!
おやじぃ〜〜〜!!!(笑)
フフッ
ど〜しよ。顔が綻んで、書けないよ〜
あのね。あ〜ドキドキする〜
あのね、今日妙子と律子とお花見したのね。
その時、律子から重大発言が!!!
なんと!
律子が恋したみたいです!
テニス部の先輩!
昨日、律子放課後に部活見学に行ったんだって。
そこで体験で先輩がテニスを教えてくれたらしいけど、その先輩に恋したみたい。凄い優 しかったんだって。顔もタイプで、律子一目ぼれしたみたい。
いいなぁ〜
青春だなぁ〜
私も早く恋したい!!!
彼氏と桜の木の下を歩きたいなぁ〜
ロマンチックな恋したい!!!!
4月14日(木)
まだ律子の話にドキドキが収まらないよぉ〜
あ〜あ、なんか自分のことのように嬉しいよ。
でもね、高校に入学して、ずっと妙子と律子と一緒にいたじゃない?
実は最近、ちょっとヤバイかなぁ〜って思ってきたんだ。まだクラスの子と話せてない し、休み時間段々クラスに会話が弾んでる声が聞こえてきて、私だけ取り残されてきてる感 じがしちゃって、だから今日は休み時間教室にいたんだ。
誰かと話さなきゃって思って、まずは近くの席の子から話してみたよ。
私の後ろの席の子。椎名結衣って名前の子。ちょっと大人しめで、あまり目立たないよう な子だったけど、話してみた。どんな話をしたかというと、まあ普通だけど、好きなものと か〜何処の中学から来たかとか〜家は何処とか。まあ、そんな話。亀有の亀有中から来てる んだって。だから私の家近いじゃん!って話をしたの。私は金町だから、朝もしかしたら千 代田線や常磐線で会うかもねって話したよ。
4月15日(金)
今日はちょっと、椎名結衣さんに踏み込んでみました!
と、言ってもそんなに話すことないんだけど、この前もちょっと聞いたけど、まあ、好き なスポーツとか?アウトドア派?インドア派?とか?休みの日には何をしてるのかとか聞い てみようと思って。
私、今日学校についてからずっとそのことを考えてた。
私、口下手だからさ、ちゃんと考えてから話さないと、何言ってるか分からなくなるし、 何言ってるか分からないからいつも聞き流されちゃうし、
何聞こう・・・
ずぅ〜と考えて
授業中も考えて
昼休みも考えて
ずぅ〜と考えてたら
学校終わっちゃった。
ま、今度聞こう。
4月16日(土)
今日はバタバタ眠いよ〜
今帰った〜
え〜と、今の時間は夜9時3分。
お母さんは仕事からまだ帰ってません。
今日、お母さんに起こされて、私が朝食食べ始めたら、お母さんすぐに仕事に出たの。そ の後また寝ようとしたら電話来ちゃって、律子から。「家に来ない?」って。律子が私を家 に誘うの初めてだったから、「何事!?」って一瞬思ったけど、なんか初めてクッキー焼い たから食べに来て!って。しかも今度先輩に食べてもらいたいんだって。
わたしゃ、毒味かい!
「はいはい律子のためならわたしゃどこへでもいきますよ」
って、ちょっとふて腐れて(本当はめちゃうれしいんだけど)自転車こいで行ってきた よ。
律子の家は私の家よりほんの少しばかり大きくて
負けた〜
ちょっとばかし、そう思いながら門をくぐったよ。
玄関のチャイムを鳴らすと、妙子が出てきたの。
妙子も呼ばれて、二人で律子に「毒味に来ました〜!」って。
律子、オーブンからクッキーを出してビックリ!
見た目はちゃんとしてて、ハート型や動物型のクッキーまで作ったりして「結構うまそう じゃん」なんて私思って、一口「あ〜ん」って。
食べた瞬間、私も妙子も無言で顔を見合わせたの。
「味しないじゃん!!!」
律子、砂糖もバターも塗り忘れたんだよ!
も〜さいてぇ〜
私の口の中には、サクサクとおいしぃ〜クッキーを食べますよぉ〜って感じになってるわ けよ!
どぉ〜してくれるのよ〜!!!
ムカついた!ああムカついた!!
ってことで、お母さんも仕事で夜まで帰らないことだし、ちゃっかり律子の家で食事も頂 いちゃいました!
ハハハ・・・
4月17日(日)
あ゛!お昼まで寝てしまった!
今3時だよ〜
もう1日終わりじゃな〜い。顔クチャクチャ髪ぐしゃぐしゃ寝起きで〜す。
今日お母さん起こしてくれないんだも〜ん。
な〜んもない日曜日。
はぁ〜
乙女の青春なんてこんなもんね。
このまま、彼氏も出来ずに高校生活が終わってしまうんだわ。
もう暇だわ〜って思いながら日記を書いてます。
ん〜どうしよう〜始めてまだ一週間でネタ切れかしら?
そうだ!この日記に名前をつけよう。
その方が書きやすいもんね。
名前、どーしよー
按の日記。
ん〜なんかシックリこないわ。
あんの日記。
ん〜
見上按の青春日記。
思い出日記。
何か、どれもパッと来ない感じ。
だいたい私、ぶっちゃけた話すると、名前嫌いなんだよね〜
自分の名前。按って、なんか嫌じゃん。周りの友達みんな何とか子ってついたりするし。 妙子や律子なんかもそうだけど、まあ私の周りは子がつく人ばかりだし。まあ子がつかない 人もいるけど・・・
美空とか凛とか、なんかかっこいい感じじゃない?
按って・・・
見上按ってセンスないよねー
どーしてそんな名前つけたんだろう。
だからせめて日記の題名には名前じゃなくて、違うのつけよう・・・と。
とりあえず
見上按子の日記。
フフフ・・・按子だって。
ん〜
あんこは?
ひらがなにしたら可愛くない?
あんこの日記。
いいよ、いい!
なんか、ほっぺがもちもちした私のイメージにピッタシじゃない?
よし、キマリ!
あんこの日記!
4月22日(金)
今日こそ!椎名結衣の本性に迫る!!
リベンジよ!
この前は考えすぎて失敗したから、今日はすぐ聞いたの。
「おはよう!」
椎名さんは登校して、席に着く。
「好きなスポーツ何?」
と、私。
「・・・」
私を見て、椎名さん何も答えなかった。
どうしてだろう?
でも、椎名さんすぐ笑って、
「バスケ」
って、答えてくれたよ。
「バスケなんだぁ〜じゃあバスケ部とかに入ったの?」
「ううん。バスケは中学まで。高校は帰宅部でいいかと思って」
「へぇ〜そうなんだぁ〜どうしてバスケ止めちゃったの?」
「ん〜なんとなく」
「そ、なんとなくなんだぁ〜」
あれ、私かなり明るく答えちゃったけど、そんな明るく答えちゃいけないことだったか な?
ま、いっか。
じゃあ、次の質問。
って思ったら、
“キ〜ンコ〜ン”
って、チャイムが鳴っちゃって、
昼休みに続き!
って思ったら
昼休み、椎名さんどっか遊びに行っちゃっていなくなっちゃうし・・・
今日も失敗。
4月26日(火)
ズンズンズン・・・
ジャジャーン!
「はい、こちら見上按でございます。これから行乃律子さん
のテニス部入部初日レポートをお贈りいたします。どうですか?妙子さん」
「そうですね〜コウダシャーミンです」
「コウダシャーミン?誰?」と、私。
「知らない」
「知らないの?」
「うん、お母さんがよくマネしてるよ。なんか昔のニュースキ
ャスターだって」
「ふ〜ん」
と、二人の会話。でもそんな会話はさておき、律子よ!リポート開始!
「はい、今テニスコート前に来ております。どうですか?妙子さん」
「そうですねー」←まだコウダシャーミンのマネしてる。
「律子さんの緊張してる顔が気になりますね」
「本当。それと先輩の前に出たときの顔」
二人でリポーターごっこしてたら、律子想像しちゃって、笑いが止まらなくなっちゃった よ。二人で笑いながらテニスコートの中を覗いたの。律子、律子、って。新人らしき人達が 10人ぐらい並んでたから、その列を探してみて、『イター!!』律子がド真ん中にいまし た!妙子と同時に見つけて、同時に叫んじゃった。
律子、メッチャ緊張してるよ〜だって物凄く姿勢正してるし。
そして律子のお目当ての先輩は?って探してると、律子の前に一人の男性が近づいてくる のを発見!
私と妙子は「もしや!?」って顔を見合わせて律子を見ると、
律子の顔が硬直状態!何か話しかけられてるみたいだから、耳をすませて聞いてみるとさ、 律子緊張して何言ってんだか分からないの。しかも声がガラガラ声に変わってたよ。緊張し て声が裏返るってよくあるけど、声ガラガラだよ〜
もう可笑しくて、妙子とお腹抱えて笑っちゃった。
4月27日(水)
今日、妙子と一緒に説教したの。
「昨日のは何なの!」って。律子、ちょっと落ち込んでたよ。やっぱりあれはないよね〜 緊張してて、何も話せないどころか、乙女がガラガラした声じゃ、ちょっと引くでしょ。 って 二人で攻め込んだら落ち込んでた。ちょっと言い過ぎたかな?
でも、律子を心配して言ってんだよ。
そうよ。律子を心配してんの!
私たちが律子の恋に応援してあげてるのよ!
もつものは友達でしょ!
もっと私達に感謝してほしいわ!
はぁ〜
やっぱりちょっと言い過ぎたかな〜?
4月29日(金)祝
きょ〜から、GWにとっつにゅ〜
イエイ!
予定なんて全くないぜ!
イエイ!
家でお母さんの小言を聞かされっぱなし
イエイ!
先公の奴ら、こことぞばかり、宿題をいっぱい出しやがったぜ。
イエイ!
「GWが終わるまで」って、こんな量間に合う訳ないだろ!
イエイ!
アハハハハ・・・
おかしくなっていく私。
5月2日(月)
あ〜あ、最近ダルイぃ〜〜
って、何なのよ!今日は!
今、GWの真っ只中よ!そんなのに、そんなのに、なんで今日だけ平日?
今日がなければずぅ〜と休みだったのにぃ〜
でも、今日は思わぬ展開に!!!
今日ね、なにやらクラスの女子3人が話してたの。私はその中に入ってなかったんだけ ど、突然椎名さんが机に来て、「4日の日にディズニーランドに行くけど、一緒に行かな い?」って。
突然私に誘ってきた訳ですよ!
でも、私椎名さん以外話したことなかったし、でも、やっぱこういうのって付き合いだか ら行かなきゃいけないだろうし、あ゛〜面倒くさ!
でもやっぱ行かないとまずいよなぁ〜
って、人が迷ってるとき、椎名さんは私の顔に近づいて「行く?」って笑顔で言う訳よ。
私思わず
「はい」
って答えちゃったじゃない!
あ〜ど〜しよ!行きたくない!いや、行きたい!
こんなドキドキするもんかしら?
何着ていこ。あ゛〜ドキドキする〜
フフッ
ちょっと楽しみ
5月4日(水)−1
さぁ、今日はディズニーランド!!
ドキドキ・・・
ドキドキ・・・
準備OK!
服はワンピース。
今日、5時30分に起きちゃった。なんか眠れなくてさ〜
不安なのよ。私、自分で言うのはなんだけど、人当たりがよかったりして、周りからは社 交性の高い人に見られちゃうけど、いつも人と会うとドキドキしてるんだぁ〜
だいたい、一緒に行く人達みんな知らないし、うまく行くかなぁ〜って思うと不安 で・・・
緊張するし、絶叫マシンに乗るときなんかも、不安で、何が不安かというと、絶叫マシン 苦手です的なイメージもたれるの嫌だから怖がってる顔できないし、まあ、怖がってるのが 可愛らしいかも知れないけど、私は嫌だし、そんなこと考える緊張と絶叫マシンで自分が怖 がってしまわないか?と思う緊張と、みんなとうまくやっていけるか?と思うことが合わさ って気持ち悪くならないか?って考えて、また体調悪くなって、またまた自分はみんなに迷 惑かからないかな?と考えてしまうの。
私の不安症は何とかしたいものだわ。
不安だから落ち着かせるために、今家出る前に日記書いてる訳だし、不安だから朝早く目 が覚めちゃったわけだし・・・
後10分で家を出発。
本当に、この服でいいのかなぁ〜
5月4日(水)−2
帰った〜
ふぅ〜
フフッ
え〜今日のディズニーランドのメンバーを言います。
まずわたくし、見上按。続きまして、私の後ろの席の椎名結衣。そして、長髪で髪はしな やか、ほっそりとしてスタイル抜群の長岡恵。そしてショートカットの小柄な山本倫子。こ の4人でいきました。
今日は長い長い一日でした。
その1日お日記に残したいと思います。
まず、舞浜駅で待ち合わせ〜
ドキッドキッ
ドキッドキッ
私、みんなより早く着いちゃって、1人で待ってたの。まあ、15分ぐらいだけど、その 瞬間ってほんとドキドキする〜
だってさ、私が話したことある人って、椎名結衣だけだよ!他の人なんか話したことないか ら、椎名さん以外の人が来ちゃったら、どんな話しよ〜
「初めまして」
も、おかしいし
「遅いよ」
って言うのも感じ悪いし
ん〜
ん〜
考えてたら、山本倫子が来て
「どうも」
ってなんかぎこちない挨拶になっちゃった。
だって凄い緊張するし、「おはよ〜」って素直に言えばよかったんだけど・・・
まあ、駅前で二人になって、みんなが来るであろう時間まで10分間何を話そう・・・
って思って横見たら、キョロっと山本倫子が私を見てたの。私はちょっと
何!?
って思ったんだけど、「何?」って言うのもなんだし、気づかないふりしたの。まあ、気 づかないふりも変だけど・・・
私はずっと山本倫子と話さず、改札で誰か来ないか見てんだけど、やっぱり横から物凄い 視線を感じるの。またゆっくりと横を見ると、更に私に覗き込むように見て
「私になんかついてる?」
って突然聞くの。
何!?何!?なんでそんなこと聞くの???だって私はあなたを見てないし、あなたが凝視し てる訳だし、
「いや、別に、何もついてないわよ」
私はチラ見して言ったの。ジッと彼女の顔を見る勇気なかったから。すると彼女は
「うそ!何かついてるって!見てみて」
って言うから、私は彼女を見たの。でもやっぱり何もついてない。
「なんかついてない?」
彼女言うから
「何もついてないよ」
私は更に彼女を見続けたら
「うそ!うそ!絶対ついてるって!」
彼女が言って、私は顔をもっと近づけて
「私、今日つけまつ毛してきたの」
はっ!?
「今日始めてお母さんから借りてつけてきたのに、何で気づいてくれないの?」
って、彼女言うの。
知らないっちゅうの!だいたいあなたと殆ど話したことないし、今日初めてぐらいじゃな い?顔、ちゃんと見合すの。そこで、あ、今日つけまつ毛付けてるんだ〜って言う?言わな いでしょ〜?だいたい、つけまつ毛がついてるかついてないか気づかなきゃいけない?
気づかないと思うけど・・・
変な人!それが山本倫子の第一印象。
更に
「ねぇねぇ見て!見て!私新しい発見したの!」
って言うから、新しい発見って、発見って言葉が新しいを意味してんだから、日本語間違 えてない?
私段々小姑みたいになってる?
とにかく
何なの!?
って思って、もうウザくて、ちょっと怒りモードになって、でも怒りを抑えなきゃ!って 思って、歯を食いしばって
「何!」
って山本倫子を見たら
「ほら!つけまつ毛の上にペン乗せられるんだよ〜」
彼女は顔を揺らして、つけまつ毛の上でペン転がしてたの。その姿がちょっと間抜けで、 私の怒りもどっかいって、プッって吹き出しちゃった。
その時、「あ、来た!」って山本さんが言ったの。
私が改札を見ると、椎名結衣と長岡恵が来たの。
実は渡し、今日この会に参加しようと思った理由の一つが長岡恵がいたからなんだ。髪が 長くて、背も高くて、足も長い。顔も美人なの。クラスの中でも一際目立つ存在で、私、彼 女と知り合いたかったの。
私にないもの、いっぱいもってそうで・・・
4人は、駅からディズニーランドの入り口まで歩いてくとさ、何かディズニーランドに来 ました!って風景が広がるの。
こんな表現おかしい?おとぎの国へお姫様4人が入って行ったって言えばいいかしら?
フフッ
でもさ、入り口入った途端、もうテンション上がりっぱなし。
さあ、何乗る?
みんな何乗りたいんだろう?
私は、やっぱディズニーランドらしく、夢があるような、可愛らしいのに乗りたいの。例 えば、プーさんのハニーハントとか、そういうの。可愛いし。でも、よ〜く考えなきゃいけ ないわ?今はまだ午前中だから、人気のアトラクションに先に行かなきゃ、物凄い並ぶこと になるし、ゴールデンウィーク中だから人多いし、よ〜く考えて行動しなきゃとんでもない 大行列に並ばなきゃいけないのよ。だ・か・ら・プーさんのハニーハントなんか先に行っと いた方がいいの。でも、みんなの意見も聞かなきゃって思って、自分の意見を抑えて聞いた の。
「椎名さんはどこ行きたい?」
って、私。
「ビッグサンダーマウンテン」
「あ、絶叫系なんだ〜」
ビッグサンダーマウンテンかぁ〜私好きかも。また混むアトラクションだから、先に行っ といた方がいいかも。
「山本さんは何乗りたいの?」
と、私。
「ホーンテッドマンション」
はぁ〜〜??
ホーンテッドマンションって・・・
確かに面白いけど、
ビミョ〜!!!
別に先に行く必要ないんじゃない?
却下だな。
さあ、長岡さんは?
私は自分の意見もそうだけど、長岡さんの意見を第一に尊重したいの。
やっぱり長岡さんみたいな人の意見って大事だと思う。長岡さんはどんな意見を持ってる の?
ファンタジー?やっぱり大人っぽい乗り物かな〜?
ディズニーシーの方がいいんじゃないかな?
ん〜
ん〜
いったい、長岡さんは何に乗りたい訳!?
「長岡さんは、何に乗りたいの?」
私は、心の葛藤を制御して、冷静沈着に言ったの。
「私?ん〜カヌー」
「・・・」
カヌー?
・・・
何か聞き間違えでは?
「あれいいよね。ホーンテッドマンション」
「でしょー!」
と、山本さん。
「ホーンテッドマンションって、怖いっていうか、あの不気味さ
がいいよねぇ〜」
「でしょ!でしょ!でしょ〜〜!!!!」
と、山本さん。
一度言えば分かるわよ!苛立ちを隠せない私。心の中で叫ぶ。
「じゃあ2ね」
と山本さん。
2?
「うん2」
長岡さん。
2って、何だ?
「ねぇ、2って何?」
と私。そしたら
「多数決で二人ってことだよ」
って。
はぁ〜〜〜!!!!
いつ、いつ多数決しました???
もう私の頭の中にはいくつ???出来るのよ!
も〜絶対ヤダ!これは勝負なのよ!私、山本さんのペースに完全にのまれてるわ。こんな 人はさいてーよ!自分だけ仕切り始めちゃってさ、何様!何様!何様なのよ〜〜!!
はぁー
はぁー
私の心の叫びで疲れてしまったわ。
ハッ
私が周りを見ると、あちこちにアトラクションの長蛇の列。
いつの間に!?
「さ、じゃあホーンテッドマンションいきましょ」
何!?
誰もホーンテッドマンションに行くなんて言ってないのに!!!
私はただ呆然。
1人取り残されて、みんなはホーンテッドマンションに向かった。
「次カヌーね」
と、笑顔の山本さん。
私の心は沈みっぱなしだったけど、山本さんに従った。私は何より山本さんに負けたの が、私の心を静めたの。
人気アトラクションは長蛇の列が更に長蛇となり、私たちがプーさんのハニーハントへ行 ったときは、すでに2時間待ち。
はぁー
しかも、やたらと山本さんと長岡さんが仲いいじゃない?2人、倫子と恵。名前で呼び合 ってる。
どうして??
長岡さんみたいな人が、山本さんなんかと仲いいのかしら?
「ねぇ、なんで山本さんと長岡さんってあんなに仲いいの?」
列に並ぶ待ち時間に、小声で椎名さんに聞いてみたの。
「ああ、2人、幼馴染みなんだよ」
ヘッ!
おさな・・・なじみ??
・・・
山本さん、友達になりましょ。
なんか、山本さんが凄くいい人に見えてきたよ。
ハハハ・・・
5月18日(水)
もう!突然のどしゃ降り!
なんなのかしら!
だからさ、途中コンビによって雨宿りしたよ。
今、中間テスト中!
早く家帰って明日の為に勉強しなきゃならないのにぃ〜
明日は苦手な英語があるからさ。
今日も国語と数学だったけど、あんまいい出来だったと言えないし、あ゛〜と思いながら も、立ち読みしながらちょっと楽しんでたりして。
あ、そうそう!
今日立ち読みしてたら、傘さして外歩いてた奴みかけたよ。クラスの奴なんだけどさ、女 子の間ではチャラ男って呼んでるの。池上慎治って奴なんだけど。チャラチャラしてんの。 髪も襟足伸ばして茶髪でさ、ネックレスとかして。ブレザーのズボン下げてワイシャツ出し て見せパンだし。髪なんか長いから、耳とか隠して分かりづらいけど、ピアスしてるらしい よ。
香水つけてるし。
もうすでによく先生に怒られてるもん。
私話したことないけど、あんまり評判よくない奴だからかかわりあわないようにするけ ど、ってかかわりあうこともないと思うけど、何で金町を歩いてるんだろう。
家近いのかな?
5月26日(木)
はぁー
何から話せばいいのか・・・
はぁー
最悪なことが起こりました。
もう、思い出すだけで、ムカつくというか、それも通り越して、悲しいよ。
私・・・テストで赤点を取りました。
数学です。やっぱり無理だった。
でも、今日悲しいのはそれじゃないの。
思い出すことも嫌で、今も日記を書きながら、震えてペンが定まらない。
も〜嫌!私、ダメかも。
やっぱ今日、ダメだぁ。
もう書けません。
ちょっと気持ちに落ち着いたら書きます。
絶対にあいつを許せないわ!
5月29日(日)
ちょっと気持ち、落ち着いたかな。
この前は散々だった。
赤点取って、自分の気持ちはブルーで、家に帰ってもお母さんに怒られるし。
でもそんなことより、人間性の問題。
事件はテストが帰ってきた直後に起こったの。
中間テストが終わって、初めて返されたのが数学だった。
高校入学して初めてのテストで一番最初に返ってくるのが、私の苦手な数学。
それだけで私はドキドキしてた。
先生が教室に入って来て
「じゃあ、この前のテスト返すぞぉ〜」
みんなざわめいた。
「安藤美紀!」
「はい」
「池上慎治!」
「へぇ〜!」
高い声出してふざけた返事をした。
「なんだその返事は!」
先生は怒りながら、答案を返した。
「ぐへぇ〜!なんだこりゃぁ〜!!!」
池上は叫んでたけど、私はその声に気を捕らわれながらも、自分の名前が呼ばれるまでド キドキしていた。
「ヤッべー!俺赤点〜!算数赤点〜!
『ば〜か、数学よ』気を捕らわれながらも、思わず心の中で突っ込んでしまう私。
「見上按!」
先生に呼ばれ、席を立った。
考案を受け取り、席まで歩きながらそっと、覗いた。
「やばい!」
小声で言った。
ど〜しよ〜
赤点・・・
私、席で答案を持ちながら
はぁー
ため息ついてると、スッと手から答案が離れていったの。
ヘッ?
私はワケ分からず
「お前、何点?」
声が聞こえて、ハッと振り向いたの。そしたら、池上が私の答案を持ってた。
ダメェ〜!!
私は叫び、席を立ち上がって、池上から答案を奪い返そうとしたけど、もうすでに遅く
「何点だぁ〜?」
答案を開いた。
「あ!」
その瞬間は、私の時間が止まったの。
「お前、俺と同じじゃん!おぉ〜!こいつも算数赤点!」
大声で叫んだの。
私、もう学校行くの嫌!
あいつがいるクラスが嫌!
やっとみんなと仲良くなってきたのに、全てあいつのせいよ!
次の日、学校辛かったし、みんなとまともに目が合わせられなかったよ。
でも一番嫌だったのは、あいつが叫んだとき、私、長岡さんと目があったの。
顔が微笑んでたように見えて・・・