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第5話 命名 ”カイル” 新たな王誕生

頭が無性にいたい。

もう少し寝たいが覚醒が始まっている。

なんだか体全身がいたい。

この手触りは土か?

だんだん目が覚めてきた。

目の前が歪んで見える。涙?なんで?俺は涙を拭い上半身を起こし周りを見渡した。

ここは森か?なんで俺はこんな所に?クソ、何も思い出せない。


俺は麻痺した体を起こして近くの木に寄りかかった。

まだ肌寒く明け方なのか少し明るくなってきた。


ガサガサッ


葉が擦れる音がして目の前の茂みから錆びた剣を持った緑のゴブリンが出てきた。

俺は痛む全身に鞭を打ち起き上がり全力で逃げた。

するとすぐ目の前の茂みからもう一体のゴブリンが飛び出してきた。


万事休す。手ぶらの俺が魔物に勝てるはずがない。

全身は依然激しく痛む。このままこいつらの餌になるのも悪くないかもな。

何となくそう思えた。

目を瞑り両手を広げ飛びかかってくるゴブリンを待ち受けた。


その瞬間剣が肉を断つ音がして何かが地面にドサッと音をたてて落ちた。

しかし落ちたのは俺の首じゃない。


恐る恐る目を開けると目の前には胴が真っ二つに切られ紫の血を流したゴブリンの死体と銀に輝くレイピアを持った少女が立っていた。


俺は思わず腰を抜かして後ろに倒れる。その時の反動で地面に埋まっていた石に頭を打ち付け意識を失ってしまったようだ。全くなんてドジな男なんだろう。


俺が驚いたのは死して血を流したゴブリンへではない。そのゴブリンを葬ったと思われるその少女の美しさにだ。その少女は銀の髪をしていて170cm程はあろう高身長に無駄のないボディーなによりもその鋭い血よりも純潔で真っ赤な双眼に俺は恐怖すら覚えてしまった。




目がさめると今までのは夢だったと思わせるように俺はベッドの上に寝ていた。

しかし、すぐに全身の痛みとともに現実に引き戻される。

「やっと起きた!具合はどう?貴方あの後気を失ったのよ。」

ベッドの横の椅子に座って本を読んでいたその少女が俺に笑顔で語りかけてきた。


「ああ、大丈夫だ。危ない所をすまなかった。看病までしてもらったみたいで。しかしすまないがこの通り俺には払う金どころか金目のものすらないんだ。」

床に置いてある水の入った木の桶の濡れた布を目で指して俺は言った。


「ハハハ。気にしないで!これは私がしたいからしただけだし」

「しかし、そういうわけには。」

「じゃあそうだな!お礼に君の事を教えてよ!私の名前はレイティ・シャルデーニュ。君は??」

「すまない。それすら俺には答える事ができなそうなんだ。実はあのゴブリンに襲われる前に森で目覚めるより前の記憶がないんだよ。」

「そっかー。残念。」

「信じるのか?名前すら言わない不審者と言ってここから追い出してもいいんだぞ?」

「いや、君は本当の事を言ってるよ!私はそういう事がわかるんだよねこの目で!」

そう言ってレイティは自分の赤眼を指した。

「でも名前がないと不便だね!そうだ!私が名前つけてあげる!それで今回の件はチャラね!」


するとレイティは俺の返事を待たないまま後ろの本棚の方へ歩いていった。


「あったあった」

そういってレイティは本棚から一冊の古びた本を抜き出し俺に見せてきた。

表紙は騎士がドラゴンと対峙している絵だった。

「この本はね私が大好きな絵本なんだ!昔邪竜がこの世界を滅ぼしかけた時に一人の勇者が立ち上がってその邪竜をやっつけちゃったの!でねでね」


レイティはその後俺に子供のように無邪気にその絵本の内容を語って聞かせてくれた。


「それで君の名前はその勇者の名前をとってカイルにしようと思うんだけど。どうかな?」

「うん。気に入ったよ、ありがとうレイティ!俺の名前はカイルだ!よろしくな。」

そういって右手をレイティの方に差し出した。レイティは笑顔で俺の手を握り返した!

「こちらこそ、よろしくカイル!」

その後俺はレィティが作った朝食を食べながら今後の行動方針について話あった。

こんな美女の手料理を食べれるなんて記憶喪失冥利である。

まずレイティが所属するギルドに向かう事にした。

ひとまず何をするにも金が必要だからだ。

ギルド依頼をこなしてお金を貰えば宿にも泊まれる。ここにいつまでもいるのは申し訳ない。

レイティは危険だと言っていたが採取などの依頼なら俺でもできると無理やり言って聞かせた。

まぁレイティが止めたのもわかる、最弱ランクのゴブリンで死にかけているのに森の中に入るなんて阿呆のすることだから。

レイティが住んでいるのは西の帝国ランドヴァルの首都から少し離れた割と大きな街らしい。

朝食後さっそくレイティに案内されて街の中心部にあるギルドに向かって歩いていった。

ギルドに向かうまでに市場を通ったが人間や獣人、ドワーフのような人間に有効な魔人族もいて賑わっていた。

街の中心部にそのギルドはあった。

ギルドは各国に点々と存在しているそうだが、そのどれもが国の所有物ではなく治外法権とされている。

「ここがギルドかー思ったよりちっちゃいなー」

「それは商業ギルド!書いてあるでしょ?カイルが行くのはこっち!」

そういって木造りの巨大な建物だこの街で見た建物中でも一番大きいのではないか?

正面の門の上には大きな看板が飾ってありそのギルドの権威の大きさをうかがわせる。

門を小走りで通り抜けレイティはこちらに向かってクルッとターンした。


『ようこそ!ギルド:レディアッド・ロウへ!!』


そういってまた前を向き重そうな両開きの扉をレイティは軽々開けた。

扉を通るとと外の荘厳な威厳とは裏腹に沢山の者たちが昼前なのに騒がしくしていた。

「お!レイティだ!」

一人の男がそう叫ぶと今まで酒を飲んでいた者やせわしなく仕事をしていた者が手を止めこちらに駆け寄ってきた。

「レイティ!帰ってたのか!ひさしぶりだなぁ五体満足そうでよかった。まぁ今回のクエストもレイティなら大丈夫だと思っていたよ!」

「久しぶり、ラルクさん。この通りピンピンしてるわ!」

レイティは両腕をくるくる回し元気アピールをしている。

「よく言うよ、ラルクの親父レイティが依頼に出る前危険だからいかないでくれって泣きついていたくせに。」

「そんな事俺はいってない。」

ラルクさんって人と赤髪にターバンで巻いた剣士の言い争いが始まる。いつもの事なんだろうみんなスルーしている。

「というより誰だその男?レイティの彼氏か?」


「「「「何?」」」」


皆んなの視線が痛い。今どっかで殺すって聞こえたよ?本当だよ。助けてくれレイティそう思って横目で見るとレイティはそれに気づいて皆んなに向かって「そんなわけないじゃん!ただのギルド入会希望者だよ!」と言った。

いやそこまでキッパリ否定されるのも逆に傷つくけど。。。

「なんだ、まぁそうだろうと思ったよ。」

「大体レイティにはあいつがいるしな。」

どうやらレイティにはすでに彼氏がいるらしい。そりゃそうかこんなに可愛いんだもんな。別にがっかりしてないぞ!


他の人の歓迎をうまくあしらったレイティはそのまま真っ直ぐ奥の扉に進んでいった。

「人気なんだな、レイティって」

俺はふと思った事を口に出していた。

「そんな事ないよ。ハハハ。」

照れ隠しをするようにレイティはその美しいロングヘアをといだ。

「今からギルドマスターに挨拶しに行くからね。」

そういって慣れた手つきで奥の戸を2回叩いた。

「レイティです。ギルド入会希望者を連れてきました。」

「入れ!」

女の人の声が聞こえた。

レイティがドアを開けるとそこには深緑の長く伸びた髪に着物を着た美女が奥の椅子に座っていた。

目はキリッとしていて大人っぽく女といえど立派にギルドマスターの風格があった。


俺はレイティに続いて部屋に入り自己紹介をした。

「カイルっていいます。今回はこのギルドに加入したくて挨拶に伺いました。」


俺が自分の名前を言うとマスターは驚いたように俺の方をじっくり見た。

何か変な事を言っただろうか。。困惑してキョロキョロしているとマスターがため息をついた。

「はぁ。。そんなわけないか、私はここのギルドマスターを務めているラルクだ。ところで今まで他のギルドに所属していた事はあるか?」

「すみません。わかりません。」


「わからないとはどういう事だ?」

ギルドマスターのラルクさんの目つきが先ほどと変わり俺を睨んだ。

辺りに緊張感が走り場が鎮まりかえる。

「マスター、カイルは昨日私と会う前の記憶がないの!」

「なるほど、レイティが言うなら本当なんだろうな。よし、お前をギルド、レディアッド・ロウへ向かい入れる!今日から私たちの仲間だ!よろしくなカイル!」


「あの、ありがとうございます!!」

ギルドってこんなに簡単に入れるもんなのか?

しかしこんな身元もわからない怪しい俺を受け入れてくれた事が嬉しかった。

このギルドで頑張っていこうそう思えた瞬間だった。


「それじゃあこの書類を持って受付カウンターに行ってくれ!」

マスターは書類の下部にサインをして俺に渡してくれた。

俺たちは挨拶をしマスターの部屋から出て入り口の左側にある受付カウンターに向かった。

「びっくりしたでしょ!マスター怖い人じゃないんだよ。いつもはすっごい優しい人なの!」


レイティは自分の姉を自慢するかのように嬉しそうにマスターの事を説明してくれる。

マスターはSS級の現役冒険者でその強さは小国を一人で滅せる力を持っているのだとか。

よかった。殺されなくて。。世の中にはすごい人もいるものだ。一国を滅ぼす力て。魔王とも対峙した事があるのだとか。


カウンターのお姉さんに書類を渡すとこちらに来てくださいと個室に案内された。

そこにはレイティも入れないようで外で待ってるねと言われた。


俺と受付のお姉さんが入ると中には明らかにギルドの大きさを超えた庭園があった。驚愕して棒立ちしていると

俺に構わず奥の滝に向かっていくお姉さんを小走りで追いかける。


滝に着くと。お姉さんは俺に滝に触れて下さいといってきた。

手を滝に添えると突然滝が逆流し中から青い龍が出てきた。

「ふむ。おぬし、名前は?」

「喋った??えっと名前はカイルです。」

「ふははは、龍を見るのは初めてか?我はここでお主達の力を見極める仕事をしている。それではカイルもう一度滝に触れて力を放出してみろ。」

力を放出?わからないが俺は滝にもう一度手を当て力を出そうとした。

「なんだ力の出し方を知らないのか。それはただ力んでいるだけだ。体内の魔力を手に集中して出してみろ。」

体内の魔力?よけいわからなくなった気がしたが目を閉じ体内の魔力というのを探した。

あった。コレか!確証はないが多分これだこれを手に集めて外に出す!!

すると滝の色が真っ白にっ変わった。

「なんと!信じられん。お主、なにものだ?どこからやってきた?」

「いや俺記憶喪失で名前すらさっきレイティにつけてもらったんです。」

「そうか、いや分かった。お前の職業は支配王コントロールロアだ。」

「青龍様本当ですか?」後ろのお姉さんが突然取り乱して聞いた。

「ああ、間違いない。ワシも信じられんが。。」

「あのーー、支配王ってなんかすごいんですか?」

「当たり前でしょう!職業に王がつくのは究極職アルティメットジョブと呼ばれててこの世界に10人もいないのよ!?まさかその誕生を目の当たりにできるなんて..」

お姉さん泣いちゃってんじゃん。

ただの記憶喪失だよ俺は。。。。

なんかすごい力を手に入れてしまったようだ。


そのあと部屋を出てギルド入会の証にギルドの天秤のマークが入った銀の指輪を貰った。


そのあとギルド中が大騒ぎになったのは言うまでもない。



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なんとか書きあがりました。

今回は少し長めです。また着物キャラかよですよね。。。しょうがないじゃん着物好きなんだもん。

次回の更新は少し遅れると思います。すいません


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