第4話:通勤電車 ~たまには、いい事あるかも~
嫌な満員電車、それだけで会社に行く気も萎える。
そんな日々のなかで出会った偶然の出来事
私は、ただのサラリーマン。俗に言う『お盆休み』? の、とある日の事であった。
どうしても出勤しなければならない事態が会社で発生し、シブシブと出社した。
ちと、いつもとは違う風景、いつも満員御礼の朝方の通勤ラッシュの車両も、幾分空いていた。通勤スタイルのサラリーマンの姿ばかりなのに、これから『海水浴』か? の様な家族の姿も、まっ、ある意味で良い光景でもある。
「なんだよ、折角の夏休みなのに……」などと、ブツブツ言いながら会社に、そして机に向かい、折角の夏休みにわざわざ出社させた上司は居ない。「○×会社より緊急で、機械が止まってしまい、大至急動くようにしてくれ」のメモがあった。その○×
会社には、すでにサービスマンが行っており、私は、「御苦労さま、ところで様子はどうだい?、詳しい内容は解らないけど、難しそうかい?」と尋ねると、
そのサービスマンから逆に
「えっ、今何処ですか?」
「会社に来てるよ」
「高橋さん、今日は設計の人は夏休みでしょう」
「うんそうだけど、昨日石井課長から○×会社で……の連絡が入って、脇本君も御苦労さま、
ところで、機械の具合はどうなの?」と聞いてみると、
「はい、もう修理りました。ただセンサーに位置が上手に反応しなくてちょっと調整したら、直ぐ動きましたよ。大丈夫ですよ
そうそう石井課長は、勿論出社してないんでしょう? 先輩(私)も大変ですね」
「ところで、脇本君だって折角の夏休みで、御苦労さま」と言うと
「先輩だって、今、こうしてわざわざ出社して、私は今日は特別出勤手当も付くけど、高橋さんには何の手当ても付かないんでしょう。(それが、現代の俗に言う総合職である)
仕事も簡単だったし、もうちょっと機械の様子を診たら帰ります。
「あぁ、ありがとね。これでお客様も一安心だね、じゃあ、残りの夏休みは家族孝行でもして、…ありがとね」
すると、脇本君が、
「きっと今頃、石井課長、冷たいスイカなど喰ってるんでしょうね」
(いやみ含み? 石井課長は、みんなの嫌われものだった)
私は、なんか嬉しく冗談ではあるが、
「そうだな、来年は、お中元に△×産の爆発スイカでも送ろうか、…
仕事終わったら、早く自宅に帰れよ、途中で飲んだくれてないで!!、ありがと」
問題? であった○×会社の問題も済まし、夏休み前に残ってしまった案件を残りの時間で過ごした。
ふと時計を見ると4時を回っていた。通常業務の5時半には成っていないが、もう帰ろうと家路に向かった。
普段であれば、10時,11時,いや終電の電車でグッタリとしているのが日常であるが、昼間、夕刻? の普段とは違った車窓、勿論社内の様も変わっていた。サラリーマン、サービス関連の方かな? (ご苦労様です、私もその一人?)
夏真っ盛り、時間帯も重なったのか、海水浴帰り、夏を満喫したファミりィー達も観てとれた。
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車内はさほど混んでは居ない。まっ、席に座れる程の余裕はないが。
(昼間でも座れないいんだ、まっ、通常のラッシュに比べれば、まだましだが)
私はいつものようにシルバーシート? の一番手前側に乗って左手で吊革に、右手には通勤バックで立っていた。電車が混み始める。偶然にも私の右隣に私の好みのタイプの女性が来た。
(その人は、行楽帰りでは無さそうだった。わたしと同じように、夏休み返上のサラリーウーマン、キャリアウーマンの洋装だった)
私はもっと混め、もっと混め、そうすれば、ちょっとでも腕に触れるかな…などとも。
と思う私の期待は、実現しなかったが……。
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なにやら、車中で不穏な空気を感じた。どうやら私タイプの女性が痴漢? にあってる様である。
その女性は私をその痴漢と思ったのか、
『ぎっろ』と睨みつけた様な気もする。
確かに、かわいい私のタイプの女性である。それは歪めない。
当然そのような行為はしていないのだが、何故か…
私は、左手は吊革を持っているし、そして、右手では、通勤用のバックも、そしてその女性に見えるように示した様な気がする。
(男性とは、かわいいものである…、いや、いまや男子たるもの草食系になってしまったのか? それは、書くチャンスがあれば、書いてみたい)
その女性の後ろには、一人の男性が、左手の通勤バックでその行為? を隠すかのようにも思えた。
そして、その後その女性と目が合った時には、
『助けて』の様な気もした。
私にはそんな度胸もなかった。
そんな不穏の中、電車は走る。周りの人達も『なんとなく』を感じ始めたときであろうか。
電車は急停車(今まで体験した事の無いような急停車である)
急停車と同時に、その女性は私の胸に飛び込んできた。私の通勤用バックは、飛ばされてしまったが、その女性を床に落とさず救った? のかもしれない、
その女性は、
「ありがとうございました」と言ってくれた。
車内アナウンスでは、
「緊急停車申し訳ありませんでした。何かが、線路内に入った様です」と、
そして、その怪しげな男は、手摺にも何にも摑まって無いので、身体が半回転し得意の? 幹肘を強打してその場から立ち去った。
急停車の原因はよく解らないが、程なくして電車は、動き始めた。
この短編は、過去を造り上げてきた諸先輩に、ほんの少しだけの……と思い出として投稿してみました。
また、苦言かもしれませんが、草食男子、肉食女子……、でもそんな時代を造ってしまったのも、社会なのか? などとも。