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蜘蛛の巣の帝  作者: 成宮彰太
第一章 蜘蛛の習性
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第一章 蜘蛛の習性

ある夏のことだった。

引っ越しの作業を一通り終わらせ部屋でくつろいでいた桐原辰爾きりはら たつみはミネラルウォーターを飲み干しながら部屋を眺めていた。引っ越したアパートは家賃七万の格安アパートで築四十年は経っていた。外観はとても古く、傷んでいたが都内でしかも、駅まで徒歩五分という立地条件だったのでやむなく妥協したのである。

そんなことを考えながら部屋を眺めていた。


外ではトタン屋根に我が物顔で乗っているカラスが夕日に向かって鳴いていた。

辰爾は俺が今から住む近所にこんなうるさいカラスがいるのかと思いながら、どうこのカラスを殺すか妄想にふけっていた。


いけないいけないまたいつもの癖がと思い辰爾はニヤリと笑った。


第一章 蜘蛛の習性


辰爾の職は警察官なのである。豊島区内の交番で交番勤務を行っている。

辰爾は豊島区内の事件やほんの些細な噂話でも把握していて、街の住人からの信頼も厚く、何よりルックスが良く密かにファンがいるほどだった。

毎朝辰爾は事故の多発する交差点のパトロールを任されていた。

横断歩道を渡る女子高生たちが「たっちーおはよーう」と笑顔で挨拶してくる。

辰爾は憎たらしいほどの爽やかなスマイルで「おはよう」と返した。彼女たちも密かに辰爾のファンだ。大切にしなくてはと辰爾は思う。

だが頭の中では彼女たちを犯したいと考えていた。方法はいくつかあるのだが今の俺にはデメリットでしかない。


まずは目の前の問題を解決するのが得策だろう。


辰爾が現在かかえる問題は昔の同期の警察官とのトラブルだ。っと言っても俺がしかけたトラップでしかないのだが…。

二年前まで部署が同じだった門倉鎮まもる警部は俺といくつもの事件を解決に導いた相棒のような存在だった。


だが俺はやってしまったのだ。


なにを?


それは話は長くなるが門倉警部には妻と中学2年生の娘がいた。

門倉家はとても仲が良く、絵に書いたような家庭だった。辰爾はそんな家族を羨ましく思っていた。

人間としてもとてもいい評価をしていた。


2年前のクリスマスの夜ことだ。門倉警部は娘へのクリスマスプレゼントと買うためパトロールの仕事を早く済ませロッカー室でスーツに着替えていた。


椅子に腰を下ろしている辰爾が「奥さんとデートでもするのか?」と笑顔で聞くと、門倉は鼻で笑って「娘へのクリスマスプレゼントだよ。」と言った。

「クリスマスに何もないやつには思い付かなかったか」と馬鹿にしたような口調で門倉は言った。

辰爾は渋柿を食べたような表情で応えた。「だって仕方ないだろう~門倉の奥さん元モデルなんだからそっちに意識が行くだろ?」

門倉はニヤリと笑いながら「お前俺の奥さん狙うなよ?」と冗談混じりに言った。

「おいおい俺がそんなやつに見えるか?」と降参したポーズで応えると門倉は「見える」と言いながらニコリとした。

そして門倉は着替えを済ませると急いで交番の戸を開けそそくさと夜の街へ消えていった。


辰爾は門倉が出ていった後自分のクリスマスの過ごし方を思い返して少し人恋しくなっていた。 毎年クリスマスの時期になると交番勤務は辰爾の役割になっていたためデートにも行けなかったのだ。


そして辰爾は門倉警部のことを羨ましく思い門倉警部の妻と娘を犯して性の欲求を満たすことに決めた。


だがリスクが高い。ここが辰爾の普通の人間と違うとこでスリルも味わいたいと思う気持ちが勝ったのだ。


そしてそれを辰爾は実行した。


門倉家には依然お邪魔したので場所は覚えていた。門倉家はマンションの一階に住んでおり、古いマンションのためセキュルティ機能はない。なので当然防犯カメラもない。警察官というのになんと無用心なことかと辰爾は思う。車を走らせて20分ほどでマンションに着くと車を門倉家のベランダの位置と平行に停め、さっそく玄関に向かった。ドアの前に立つと辰爾は

鍵を使い、指紋が付かないようにドアノブをハンカチで押さえながらドアを開ける。明るいトーンでただいまと声をかけた。すると門倉の妻と娘はきょとんと目を丸くし突っ立っていた。

何と言っていいか答えが見つからないのだろう。

次の瞬間には俺はスタンガンを二人の腹部辺りに突き刺した。すると二人の女体は崩れ落ちていった。その後二人の体をロープで縛って口をガムテープで封じた。


「パーティーの始まりだぁ」


その後辰爾は10分に渡り強姦と暴行を繰り返した。

妻と娘は意識がもうろうとしており目の焦点が合わないほどだ。っと言っても瞼は二倍にも膨らんで開かなかったが。

辰爾は最高のパーティーだと思った。

これが自分の人生での快楽の絶頂と言えた。


その後辰爾は首を締め息の根を停めた。二人はなんの抵抗もせずに力尽きていった。

これだけ意識がもうろうとしていれば仕方ないなぁと辰爾は微笑みながら言った。

そして遺体をあらかじめ用意していた寝袋に入れてベランダから落として車の荷台に積んだ。

筋力には自信があったがさすがに二人の遺体は重かった。

ここまで誰にも見られていないのを確認してから車のエンジンをかけた。

車を走らせながら辰爾は自分のパーティーの準備良さに酔いしれていた。


準備とはまず門倉警部がパトロールで交番を留守にしていたときに辰爾は門倉のロッカーをスパイ映画のように針金でこじ開け、中にあった門倉家の家の合鍵と思われる鍵を盗み出し近所の鍵屋で同じ鍵を作ってもらったのだ。案外簡単に作れるもんだなと辰爾は思った。

そして合鍵を門倉のロッカーに戻し指紋も拭き取った。

これで門倉家への侵入は可能となった。

準備はこれだけではない。

あらかじめ近くの山の中腹に3mほどの穴を掘っておいた。もちろん遺体を遺棄するためのものである。

3mにしたのは訳がある。日本の地層は死体の遺棄するのに適した土地だと辰爾は思う。日本の地層は3mほど掘ると粘土層になっており、時間の経過と共に中で混ざるのだ。

だから遺体は見つかりにくい。


これが事の真相である。


辰爾はパーティーの後始末を終え、家に着くとワインを一本あけた。

ヴィンテージもののワインを一気に飲み干した。


「最高のクリスマスに乾杯」


明日の朝にはニュースにでもなっているだろうなぁと微笑しながら独り言を口にした。



残酷な描写が苦手な方は観覧を自粛してください(^_^;)汚い文が続きます。笑

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