試験(2)
「なんだと!」
俺がフレイムフルオートバレットを受けてほぼ無傷なのを見て、焔先生の顔が驚愕に染まる。
あれは、魔物の大群の殲滅には有効だけど、個体への攻撃としては、あまり有効じゃないんだよな~
「よっと」魔法を撃って、隙がある焔先生との距離を詰める。
「くっ、全身魔装『炎火轟竜』」
おい、生徒に魔装使っていいのかよ、しかも…「火竜と契約してんのか…」
「契約獣召喚!紅蓮」
焔先生の前に、炎を纏った虎が現れた。
二体持ちか、厄介だな、流石に魔法なしじゃキツイか。
「氷拳」
左手に、内から氷を纏わせ、一瞬で絶対零度より、温度を下げる。
「とりゃっ」
左手で虎に殴りかかる。
「グルァー」
虎の身体が凍りつく、「なっ!私の紅蓮を一瞬で凍りつかせるとは…お前何者だ!」
「ただの、落ちこぼれだよ」
その言葉を聞き、焔先生は動き出そうとした。
しかしそれははできない、なんせ、俺が数秒で背後まわって首殴り、気絶させたからな。
焔明奈side
学園長から和也君すごくかっこいいよと言われていたが、予想以上だな…切れ長の目で、肩まで伸ばした黒髪、私の好みドストレートだ。
ぼーっとして、ずっと、和也君を見ていたようだ、和也君が不審気にこちらを見ている。
しかし、どっかで会ったことがある気がするな…
相手が好みのタイプでも、試験はちゃんとやらねばな、魔法陣を構築、魔力を流し込みながら、詠唱をする。
「火よ我に力を与えよ、願わくば、その力を顕現させ、炎の弾丸となれ、フレイムフルオートバレット」
学園長は、和也君はすごく強く、オーガを単独討伐できると言っていた。
オーガは、ギルドランクB級の魔物、それを単独討伐できるということは和也君は少なくともギルドランクB級の実力ということになる、これは、この学園内でもかなり上の存在だろう。
だが私はこれでもギルドランクSS級、負けるわけにはいかない。
だから、私は今使える魔法ので、最強と言っても過言ではない、フレイムフルオートバレットを放った。
確かにこれは、大群の殲滅の方が向いているが、一つ一つを魔力でコントロールすることで、どんな硬いシールドでも突き破ることができるのだ。
私は勝利を確信したが、次の瞬間それは崩れ去った。
和也君が全くの無傷だったからだ。
「何だと!」
私は思わず声をあげてしまった。
和也君君が魔法を使った直後で、隙だらけの私にものすごい速さで、突っ込んで来る。
「くっ全身魔装『炎火轟竜』」
大人気ないがもはやなりふりかまってはいられぬ、私は、契約獣の火竜轟火の全身魔装を発動させた。
和也君の「火竜と契約してんのか…」という、呟きが聞こえた。
すまないな、だが、私は、ギルドランクSS級狩人『業火』として、もう絶対に負けるわけにはいかないのだ。
「召喚獣召喚!紅蓮」
私は二匹目の相棒炎虎、紅蓮を召喚した。
もうこれで勝負は決まっただろう…
「氷拳」…無詠唱だと⁉しかも氷拳なんて魔法、聞いたことがない、それに、魔法陣は何処にあるんだ?でも無詠唱は魔法の威力が落ち…
和也君が、紅蓮に触れた瞬間、紅蓮の体が凍りついてしまった。
「なっ!私の紅蓮を一瞬で凍りつかせるとは…お前なにものだ」
ありえない…紅蓮が一瞬で凍りつかされる、ことなど一度もなかった。
「ただの落ちこぼれだよ」
その言葉を聞いた時、私はすべて理解した、彼が何者なのかを、そして、私が彼には絶対勝てないことを。
勝てないまでも、最後に一足掻きしようとした瞬間、私は首筋に衝撃を感じ、意識を失った。
side end
とりあえず今俺達は、焔先生が目を覚ますのを待っている。
少々やりすぎてしまったようだ、綾さんにも怒られてしまった。
でも俺まだ、本気の1%くらいしかだしてないんだよな…
にしても、焔先生とはどこかで会ったことがある気がする。
『八神家』の集会は、落ちこぼれの俺は出させてもらえなかったし、どこであったんだろう。
まあ焔先生の、目が覚めたら聞いてみるか。
すいません、何か物足りないので、試験を焔先生目線で書いたものをつけたしました。