学園
「そろそろ時間だぞ和也」
魔石から声が発される。
「分かったよ牙桜」
-牙桜- これが、俺と契約をした魔神の名前だった。
それから数十分、俺は今、でっかい門の前に立っている。
一ヶ月程前、俺の元に一人の女性がやって来た。
死の森に一人で入ることにも驚いたが、俺はその女性の正体を知り、更に驚いた。蒼巳綾『八神家』水の名門、蒼牙家の分家に産まれた天才で、この国最高レベルの魔法学校の一つ『国立東京魔導学園』の学園長でもある。
しかも、俺を白狼の落ちこぼれと知って、試験も学費も免除するから、学園に入学してくれ、と言ってきた。
俺は少し迷ったが、結局、学園に通うことになった。
「さて、まずは学園長室に行くのか」
周りに人は、ほとんどいない。まあそれもそのはずなんだけどな、今、まだ入学式の三日前だし。
「どん」と肩が何かチャラそうな三人組の一人とぶつかったが、気にはしない、元々、ぶつかってきたのはあっちだし。
「おい、てめえ、人にぶつかって謝りもしねえのか」
俺の肩が掴まれた。
他の二人は俺の周りを取り囲んでいる。
ったく、ぶつかってきたのはそっちだろまったく…
まあ、この学園の生徒がどんくらいの強さなのか知っておきたいし、ちょうどいいか。
「ふっ」
正面の男のこめかみに、蹴りを叩き込む、まあ、小手調べってやつだ。
ドガーン
軽く避けるかどうにかすんだろ、という俺の予想は外れ、男ほ十メートルぐらい吹き飛んだ。
……弱すぎんだろ、俺、今、身体強化してねえぞ。
「く、くそっ、火よ我に力を、ファイアーボール!」
もう一人の男が、魔方陣を描き、
火の初級魔法、ファイアーボールを放ってきた。
「とりゃっ」
そのファイアーボールを手刀で叩き割る。
うん、温い温い。
「「ば、化け物~」」
残った二人は、俺がファイアーボールを叩き割ったのを見て逃げてった。
まったく…化け物はねえだろ、化け物は。
それに、腰が抜けたみたいで、涙目で震えている、もう一人はいいのかよ…
和也は本当に最強です。