契約
「お主心が闇に喰われかけているぞ」
その声が、どこからともなく響いたのは、俺、白狼和也が大きな木の下で休んでいる時だった。
「あんた誰?」
「古の魔神、とでも名乗っておこうか」
「古の魔神?ならちょうどいい、俺を殺してくれないか?」
「ほう、何故だお主からは才能を感じる、我も長く生きてきたがお前ほどの才能を感じた人間はいないぞ」
声は不思議そうに聞いてきた。
「それは、俺が魔力障害者だからさ」
「なるほど」
「だから俺を殺しt「嫌だ」
「何でだよ!いくら魔力があっても、武術を極めても、身体強化魔法を極めても、属性魔法がほとんど使えない俺は、劣等種なんだ、だから…」
声は俺を遮ると、俺に告げた
「お主が、魔法を使えるようにしてやる」
「えっ、それって」
「お主が使えるようになるのは、光以外の全属性と、属性外魔法の『獄』と『龍』だな」
「属性外魔法まで…」
属性外魔法とは、文字通り、通常の属性には当てはまらない属性で、発現するのは百万人に一人と言われている。それを二つなんて、最早人外だ…
「ちなみにこれらは我が与えたのではないぞ、お主が魔力障害者でなければ使えていた魔法だ」
…俺の…ちから…
「ああ、後お主と契約してやる」
「契約まで!」
俺はさらに驚いた。
契約とは基本的に10歳の時に行われるものだで、契約獣を召喚し、その契約獣と契約を結ぶのだが、高い魔力を持つ者は、2匹目、3匹目契いうように複数と契約する者もいる。約獣は契約者の得意な属性によって変化するので、俺は召喚の儀式をさせてもらえず、契約獣が居なかった。
契約獣や契約獣によって変化する、魔装はステータスになるので、有難いといえば有難いのだが…
「何故、俺にそこまでするんだ?」
「それはな、お前の歩む道が面白そうだからだ」
俺はその瞬間、声の主が、ニタァと笑ったような気がした。