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 王ザムザは、撤退の命令を下していた。

 蒼竜ボルグの庇護にある王国ドラゴニアに、魔界竜の群れが攻めてきたのだ。魔界竜は、他のどの種族の竜より強く、赤竜、蒼竜、黒竜、皆、抗いながらも撤退していた。

 もとより、竜たちに人の王国を庇護する義務などなく、蒼竜ボルグの気まぐれで王国は保護されているのだから、竜たちは危険を冒してまで、蒼竜ボルグの王国を守ろうとはしなかった。

 それは、蒼竜ボルグ自身も同じであり、

「魔界竜が攻めてきたとなれば、住処を変えて逃げるしかあるまい」

 と、早々に王国ドラゴニアの壊滅を見すごすように発言した。

 ザムザは、王国中に引っ越しの御触れを出し、費用は王宮の財宝で支援すると発表した。魔界竜から逃げて、王国を引っ越すというのだから、国中の民が大騒ぎになり、絶望し、投げやりに引っ越しの準備を始めた。

 臣民といえども、実際に、町にたむろす竜たちが魔界竜に負けて逃げていくのを見れば、王国ドラゴニアの滅亡を感じざるを得なかった。

「魔界竜に勝てる竜はいないのか?」

 ザムザが聞くと、蒼竜ボルグは答えた。

「古代竜や聖竜なら勝てるだろうが、もはや、わしが見たことも会ったこともない希少な竜たちだなあ。この世界のどこに住んでいるのかもわからない。まあ、魔界竜も、どこに住んでいたのかもわからない竜の種族にはまちがいないのだが。おそらく、地底に住んでいたのであろうが。それが、突然、地上に縄張りを広げようとしてきたのにはどんな理由があるのだろうか、わからないなあ」

 そんなところに一匹の水色の竜がやってきた。

 濃茶色の魔界竜の群れに対して、立ち向かうは一匹の水色の竜。

 ザムザは「あの水色の竜なら勝てるのか」と蒼竜ボルグに聞いたが、竜たちが眼光鋭く、どんどん集まってきた。魔界竜の群れに逃げていた黒龍、赤竜、蒼竜がみんな集まってきた。いったい何事だとザムザは思った。人の国ドラゴニアは竜たちの考えることなど何もわからずに引っ越しして逃げ出しているところだった。

 蒼竜ボルグはいった。

「あの水色の竜は最果て竜だ。不死の竜だ」

 最果て竜は魔界竜を追い立てると、慕い集った多くの竜たちをよそに飛び立っていってしまった。

 ザムザは、

「撤退は中止。蒼竜ボルグの名において王国ドラゴニアを再建するぞ」

 と命じた。

 竜たちはあまり興味ももたないようで、先ほどの最果て竜のうわさで持ち切りだった。魔界竜はやはり最果て竜になんらかの理由で嫌われて地下に棲んでいるのではないかとそんなうわさが飛び交った。


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