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パンドラ魔法学校と黄昏の賢者達  作者: 東奔西走
第二章:日常編
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第八話:数学少女の発動


授業は早速始まり、魔法訓練も始まり、忙しない日常が始まった。


私が選んだ選択科目は、占星術と自然魔術、召喚術に薬草術。

自然魔術では風を操る事にしている。

全然まだまだだが、つむじ風程度なら起こせるようになった。


いつか忍者になってみよう!

ドロンっつって。


意味不明な思考(実は小さい頃から忍者に憧れていた)を無理矢理消去し、今日が初めての魔法理論の教室目指してドタバタと私は廊下を駆けた。


すると、


「淋漓じゃな!」


面倒臭いのに捕まった。


「何ですか肖像画さん」


壁の肖像画だ。


「とまどうトマト」


私は走り出した。

しみったれギャグに付き合ってる暇は、今の私には無い。


長い廊下を通過し、階段を駆け上がり目当ての教室に入る。

教室に入ると、ジャンナが大きく手を振っていた。


「遅いわっ淋漓!」


教室の机は三人がけ机が何列にも並んだものだった。

一番端の三人掛け机のそれまた端に座るジャンナ。

私は羽織ったローブを脱ぎながらジャンの隣に腰掛けた。


「暑いっ!」


ただでさえ広い廊下を全力疾走してきたせいか、息が切れて汗が流れる。


「ねぇ淋漓、今から始まる魔法理論の授業で大事なのは、数学なんですって!私は数学が苦手!」

「え、本当に?」


隣の空いてる席に畳んだローブを置く。


「ええ!授業はとってもハードらしいわよ。ついてけるかしら?」

「そっか」


大丈夫。

数学には自信がある。

小さな頃から計算する能力だけは長けていた。

足算だろうが掛算だろうが十ケタだろうが百ケタだろうが何でもかかってこいだ。


ザワザワと騒がしい室内をグルリと見回すと、アレクサンダークラスの制服に混ざりベルナップクラスの制服が居た。

どうやら今日はベルナップクラスと合同授業らしい。


その時、ポンポンと肩を叩かれた。


「隣、いいかな?ここしか空いてなくて・・・・・」


上を向くと困った様に笑ってる少年が一人。

少しクセのある茶色い髪に、同じ茶色の瞳。まだ幼さの残る顔立ちで身長も割と小柄に見えた。

胸の赤いペンダントと、赤と銀のネクタイがやけに似合っている。


「どうぞ」

「ありがとう」


直ぐに私のローブを避けると、隣に腰掛けた。


教科書を机に置き、私とジャンナを交互に見てニカっと笑った。


「俺、ラロ。ラロ・ベルガンサって言うんだ。宜しく」





「俺の両親が言ってたんだ。

パンドラ魔法学校の地下には、秘密の通路がある。」

「それ兄さんも言ってたわ。

その通路の先には・・・・」

「何があるの?」

「誰です!?喋ってるの!!」


魔法理論の授業中、こそこそとジャンナとラロに挟まれ、何故か『パンドラ怪談』と言うものを聞かされていた。

正直、ハードは授業だと聞いていたが、開始五分の授業からして私はついていける自信はあった。

授業中話をするのは良くない。

しかしそんな事は生徒が興味を持つような授業を行わない教師が悪い。と、勝手に判断。

私はジャンナと共にラロの言うパンドラ怪談に耳を傾けていた。


「結城さん。貴方ですか?」

「え、私?」

「そうです。一番最初の授業ですよ。私語を慎みなさい。全く何を考えているのですか。次にやったら減点しますよ。大体・・・」


小言を言い始めた先生を横目に、冷めた目で両隣を見るが、ジャンナもラロも目を反らす。


どうやら『思いやり』という言葉を知らないらしい。

今度教えてやろう。



そして私は、周りの生徒から集中的に見られている。


頭のいい連中(ベルナップ)から、ものっそい冷たい視線が・・・・・・。


小さなため息を一つついて黒板を見ると何やら数字の嵐。


「これは、魔法理論の中でも高度な数式です。

この様な数式が貴方に解けるかしら?」


得意気な顔を私に向け偉そうに杖を振る先生をスルーし、黒板の文字に集中する。


魔法で数式が書かれている。

全部で三十二ケタの数字。


「何だよアレ。嫌がらせ?」

「まるで暗号ね。

それにしても感じ悪い先生ね!」

「本当になんでこんな事になったのやら!」

「「・・・・・・・・・。」」


両端から聞こえる小声にすかさず小声で返す。


でも確かに。

ここまで言われて黙ってられっか!


私は杖を手に取り、席を立った。


「淋漓?」


ジャンナの声を聞き流し、黒板の前に立つ。

黒板に杖を降ると文字がかける。


魔法凄いな。


この程度の数式、私には只のウォーミングアップにしかならない。

頭の中で数字が交差し重なり消化される。

全ての数字が情報となり、水流の様に脳から杖を持つ手に流れ落ちる。


途中式を暗算で済ましゾロゾロと答えを書いていく。


もにょもにょ計算を進めていき、周りがざわざわし始めた頃、私は黒板から杖を離した。

隣を見ると、先生の口に鳥の巣が出来そうな位、ポッカリ穴が。


「すげぇ・・・・・」


ラロの口から自然と声が漏れ、ベルナップの生徒が眼鏡を上げる。

瞬きもせずびくともしない先生の顔はホラー以外の何物でも無い。


ゾンビみたい・・・、と私は先生の目の前まで行った。


「先生どうですか?」


先生はやっと口をパクパクさせながら、私を見る。


「せ、せいせ、正解です。・・・」


気まずそうな先生に、一つニャハリと笑い颯爽と席に戻った。

周りからはパチパチと囁かな拍手が上がっていた。






「聞いたかニック!」

「キリル・・・・、何を?」


食事を摂るため俺は薬草術の教室から出た。

するとそこに、ジャンナの兄キリルが待っていた。


「俺のかわいー妹の友達の結城ちゃんっていたじゃん!?」


嬉しそうに笑う青い瞳を凝視しながら、入学直前に校長から頼まれた物件を思い出す。





------「ニック、明日から我がパンドラ魔法学校に入る結城淋漓ちゅう子が居るんじゃがな、その子の『手伝い』を手伝って欲しいのじゃ♪」

「結城?誰ですか?」

「んー、どーしよっかのー?教えて上げよっかのー?うぇっへっへっ・・・・・・」

「お疲れ様でした。レポートが残ってるいのでこれで失礼します」

「ままま、待つのじゃ!帰るでないっ!説明するとも」

「手短にお願いします」

「・・・・・・お前は本当に可愛くないのぅ。

実はな、結城淋漓という子はじゃな・・・・・・」----------





「淋漓がどうかしたのか?」


キリルの目がキラリと光る。


「あの魔法理論のアガサ(先生)の目の前で、四年生でも解けるかわからない数式問題をたったの三分で説いちまったんだ!!」


ニャハリと笑う淋漓の顔が目に浮かんだ。

自然に頬が緩む。


「それは凄いな。」

「っだろ!!さっすが俺の妹の友人だ!もう学校中の噂さ!問題あっさり解かれたアガサが青い顔してさっき、職員室に入っていったよ。っはは!」


後ろで妹の話ばっかりしている彼に俺は階段を降りながら振り返る。


「にしてもお前、本当に妹バカだな。」


「何!?俺の妹はバカじゃないぞ!今の言葉撤回しろ!」


「・・・・・・・・面倒くせ」






こんにちは! 

淋漓ちゃんがいよいよ計算し始めました。 

計算機の様に速くそして正確に、どんどん数式を解いていってほしいですね! 


読者様やお気に入り登録に登録してくれている読者様には、とても嬉しく思い凄く感謝しています。 


これからも精進して参りますので、よろしくお願いします。



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