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パンドラ魔法学校と黄昏の賢者達  作者: 東奔西走
第一章:迷走編
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第四話:校長お悩み相談教室


大きな古城を思わせる外見、イギリスにあるウェストミンスター宮殿の様な建物。

それこそ魔法の箒かなんかで移動しないと大変そうな広大な敷地。


これ学校?!


「詳しい事は校長に聞け。連れて行ってやるから」


パチンとニックが指を鳴らした。すると今まで私達がひっさげていた荷物が消えた。


「あれ?荷物は?私どっかに落とした?」


とか言いながら後ろを振り替えるが何も無い。あれ?


「魔法だ。お前の荷物はここにある」


半ば呆れ声と一緒に差し出されたニックの手には、透明のテニスボール程のガラス玉が乗っていた。


「ここは全寮制の学校。自分の部屋に着いたら、地面で叩き割るんだ。

魔法で出来ているから、ガラスの破片も無いし、荷物も元通り」


凄いな魔法。

・・・・・・本当に凄いな魔法。


外見でも驚いたけど、内装ではもはや口を開けるしかなかった。


天井高いわ、銅像が喋ってるわ、絵画が動いてるわ、廊下を食料の乗った食器が行き来してるわ、さすがに階段は動かなかったが、かなりの高クオリティだ。


校長室に入るとこれゃまたたまげた。

天井が満天の星なのだ。

と言うか、天井が無く真上の星空がそのまま部屋の一部になっている。


「校長連れて来ましたよ」


ニックが誰も居ない室内で呟くと暗かった室内が急に明るくなり、目をしばしばさせていたら風景が変わっていた。


「・・・なにここ縄文時代?」


石器みないなの転がってるし・・・・・。


げっそり呟いた私の言葉に何の返答もなかった。


「ようよぅニック、ご苦労じゃったな」


そう言いながら部屋の奥から出てきたのは、サンタクロースみたいなヒゲモシャおじさんだった。

ヒゲモシャおじさんは私を見てニッコリと笑った。


「それじゃ僕はこれで」


そうヒゲモシャおじさんに軽く礼をしニックは出ていってしまった。

すれ違い際に目があったが、射ぬくような金色の瞳からは何も読み解く事が出来なかった。


パタンと扉の閉まる音が合図の様に、椅子が私の所へ歩いて来る。


「まぁすわるんじゃ」


パチンと指の鳴る音と共に、ティーカップに紅茶が注がれ私の所へ飛んできて、カップが僅かに笑った。


どうやら、この世界では、物が生きているらしい。


「さて、この風景はちと・・・・イマイチじゃの」


いただきます、と紅茶を啜った私に微笑み、手を一振りした。


すると、今まで土器や石器等が転がっていた縄文時代の様な風景から、さっきの星空の風景になった。


一面の壁が銀河系になった。

部屋に飾ってある金色の模型や、置物もより一層綺麗に見える。

そして私とヒゲモシャおじさんが囲んでいる小さな丸テーブルが、その暗い部屋の中でほんわかと暖かい光で包まれていた。


「先ずは自己紹介からじゃの」


ふがふがと口をモゴモゴさせながら喋る校長は、まるで縮こまったネズミの様だ。


「わしの名前はランスロット・カルヴァートじゃ。このパンドラ魔法学校の校長を務めて今年で七年目じゃ。お前さんは確か・・・・」

「結城淋漓と言います」


そうかそうかと校長先生は紅茶を啜った。


「あの、なんで私ここに来たのでしょうか?」


まずはそこからだと、事の原因を質問したがあっさり無視された。


「そうじゃ!そうじゃ!あのアレクサンダーの!」

「アレクサンダー?・・・・何ですかそれ?」

「い、いやこっちの話じゃ。気にせんでよかろう」


歯切れ悪く答えた校長は、二杯目の紅茶をドボドボと注ぐ。

正式には魔法でだが。


「よかろう。淋漓、君は明日からこの学校の生徒になるのじゃ」

「・・・ん?今なんて?」

「軽く説明するとじゃな、我が校は読んで字の如く魔法学校じゃ」

「その前に聞きたいことがあるんです」

「世の中から魔法の素質が有る者が入れるのじゃ」

「じゃ私帰ります。私の話聞いてます?」

「一から魔法を学び、魔法使いとして立派に生きて行ける様にじゃの」

「無視っぽいですね。ちょっと待ってください」

「君の両親もさぞかしそう願っているはずじゃ。いやぁ君の両親は実に優秀だった」

「だからちょっと待って下さいって、は?え?私の両親?」

「なんじゃね?」

「いえ話を止めて申し訳ありません。どうか続けて下さい」

「もうこの話は終わっとる。君はこれからここで一人前の魔法使いになるのじゃ」


今の話からどうして私が魔法使いにならなきゃいけないのか皆目検討がつかん。


「私はこの世界の事全く知りません。それに魔法だって使えないし、そもそも何故この世界に・・・」

「まつのじゃ淋漓」


私の抗議を手で制する校長は、さっきのまくしたてる雰囲気と打って変わって、冷静さと温厚さを放っていた。


「いいかの?」


校長の瞳が光る。


「全ては『必然』じゃ。」


部屋に静寂が満ちる。

天井では星達が二人の会話を見守っている。


「淋漓、お前さんがこの魔法界に来たのも、このパンドラ魔法学校に入学するのも、全て前から決められていたのじゃ」


何だそれは。

それじゃまるで私は世界に操られているみたいじゃないか。


「だが勘違いしてはならんぞ。・・・・・それは何のせいでも無いんじゃ。運命は誰にも解らぬ」


そこまで言うと校長は天井を指さす。


「只一つ、星を除いてはな。」


校長につられて星を見る。

確かに星はすべてを知っていそうだ。

掴めそうで掴めない。一見遠すぎる存在、それは、いつもすぐ傍で私達を見守ってくれているのかもしれない。


まぁ、その話は分かった。


「校長先生、一つ不思議な事があるんです」

「なんじゃね?」


そう答えながら校長はテーブルの上にチョコレートを出した。

色とりどりの包み紙に包まれている。

私はそれを口に含み話を続ける。


「さっき教材とか箒を買った時のお金、・・・あれ私のお金って聞いたんですけど、何故この魔法界に私のお金が?」

「それはの、お前さんの祖先が残したお金じゃ。遠慮なく使うのじゃ」


祖先?

私の祖先にもこの世界に来た人が居るって事?

まさか私の一家は全員魔法使い!?

恐ろしい事だ・・・・・


校長は手をパンパンと叩く。

その音で現実に引き戻された。



「茶会はおわりじゃ。今日はゆっくり休むのじゃ。明日が入学式じゃからの」

「あの、色々ありがとうございます」

「明日から頑張るのじゃぞ」


色々有りすぎて正直どうしたらいいか解らない。


面倒事はまっぴらご免だが、どうやら今そんな事言っている場合では無いらしい。

寝るところや生活手段が何一つ無い私にこうして機会を与えてくれたのは非常にありがたい。


この際、魔法だろうが箒だろうがなんだってやってやる。


「それじゃ今から部屋に案内するからの。よく眠るのじゃぞ」


校長はそう言い残しニッコリ笑ってスゥーっと消えるように居なくなってしまった。


「消えた・・・・・」

「部屋に案内する」

「わあっ!!」


突然真後ろから声が聞こえた。

振り向くとそこには黒猫ニックさんが立っていた。


「いつのまにそこに居たんですか?」

「さぁ、行くぞ。校内の知識を頭にたたき込むんだ。」


私の質問はシカトという名の処理を受けた。

と、思ったらニックが直ぐに振り返った。


「改めまして、俺はニック・カルヴァート。宜しく。」


ニックは前を向き赤い絨毯を踏みしめた。


「笑った・・・」


これから何が起こるか解らない。けどまぁ魔法界の生活なんて滅多に出来る事じゃない。


何歩譲ればいいのか見当もつかないが、ラッキーだと思うことにしよう。


私は前を颯爽と歩くニックを追って走った。




こんにちは! 


ここまで読んで下さり、感謝しています!


さぁ、これから主人公はどうなるでしょうか!? 


これからもよろしくお願いします♪

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