第三話:魔法使いとお買物
明日からそのうんちゃら魔法学校の新学期で、教材等を買いに来ている人達がキャンディクロスを忙しなく歩いていく。
その人達に交じり私はニックの後ろを歩く。
夕方なのかだんだん店の明かりが目立つ。
道の街灯がキラキラと光った。
暫く目線をキョロキョロさせていたが、ふとニックの背中に視線を巡らせたとき、一つ気づいた。
気まずい。
よし何か話し掛けてみよう!
「・・・・・・あの?」
「なんだ?」
「さっき猫から人間になりませんでした?」
「あぁ、変身魔法の一種だ」
へぇ、すっげぇんだなーまほうって。
「お前も直習うさ」
そうかいそうかい。
って今この猫なんつった?
訳も解らず着いていくとニックは左折し、ある店の前で止まる。
看板には〈箒専門店カンカン〉とある。
「お前の金はここにある」
「え?まさか、私お金なんか持ってきてないもの」
・・・・・・・・ちょっと待った。
私はここの世界に来る前、財布をポケットに入れたのを思い出した。
でも今言うと色々問題になりそうなので黙っておく。
ニックがローブの懐からコインがぎっしり入った麻袋を取り出したので、ぎょっとした私は首を思いっきり横に振って否定をするが、ニックは完全無視。
構わず店に入っていった。
「ようニック、珍しいな。箒がグレた(壊れた)か?」
「いや、この店で一番性能のいい箒を一本」
「おうよ!この店にある箒は皆世界一だけどよ、強いて言うならこのアレクサンダーAAだ!」
気の良さそうな店主が感じの悪そうなニックに向かって箒を取り出す。
残念ながら私は箒に対して、良し悪しの概念が無いため一本の箒を見ても何も感想が上がらない。
だがニックは話を進める。
「いくらだ?」
「3300キャッツ」
「ん」
この世界の金の単位は猫なのか。さっきから猫だらけだ。
チャリンとニックはさっきの麻袋からコインと紙幣を出した。
この人さっき、それは私の金だって言ってなかったっけっか?
人の金で何してんだ!
「ん?おや?見かけねぇ嬢ちゃんだな。ニックのガールフレンドか?ちとニックには勿体ねぇな。お前見たいな仏頂面には・・・・・」
「行くぞ」
ニックは箒を手に取るとさっさと店を出ていく。
それから次から次へと色々な店に入り教材やら、魔法瓶やらをゴッソリ買った。
どうして止めなかったかって?
だって私の話を聞かないんだもん。
さっき双子から貰ったペロペロキャンディと、元からポッケに入っていた板チョコを出す。
「飴とチョコ、どっちが食べたいですか?」
「クッキー。」
ほらね。
◆
◆
◆
ニックの魔法で重量の減った荷物を持ち、大分歩いた頃私は口を開く。
「あの、この荷物は何ですか?」
「明日からお前が使う魔法具だ。」
「はいー?」
大体予想はついていたが。
素っ頓狂な声を上げた私を振り返り、ニックはニヤリと不敵に笑った。
初めて見る表情だ。
「ようこそ、我がパンドラ魔法学校へ。」
いつの間にかニックの後ろには大きな西洋風の建物がそびえ立っていた。
「明日からお前はこの学校の生徒だ。」
にゃんだと。
おはようございます♪
ここまで読んで下さってありがとうございます!
これから魔法界の設定や、学校の設定、キャラ設定も後更新する予定です。
よろしくお願いします♪