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パンドラ魔法学校と黄昏の賢者達  作者: 東奔西走
第四章:夏休み編
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第二十四話:お泊まり会へ出発!


私とジャンナとラロは整列した。


ここはパンドラ魔法学校の寮。ラロの部屋だ。


「俺の家にはこの(ホームキー)で通じてる」


ラロが一歩前に出て、私たちに向き直ると顔の横に銀色に光る鍵を出して見せた。

それを、寮の部屋と廊下を結ぶ扉に何の迷いもなく差し込んだ。


「この鍵さえあれば、どこの扉からでも家に行けるんだ。中々の優れものだと思わない?」


何と便利な道具なのだろう。

その名も、どこだってドア。


ラロの家は学校のあるミストダイヤ地区から大分離れたオリエンタ地区という所にあるらしい。

箒で飛んでは少し時間がかかるので、このホームキーで移動、という事になった。

そんなところに鍵一個で行けるとは、流石魔法界。


「それでは!」


ガチャリ、と鍵の開く音、続けて扉が開いた。

扉を開けるとそこは本当にラロの家に繋がっていた。


ラロはカラリと笑い、一礼。


「ようこそ我が家へ!」







一方、その頃・・・・・


「おい、いいのかキリル、これは明らかな不法侵入だ」

「構わん、続けるぞ」


コイツはバカだともはや何度目になるかも数えてもいない確信をし、ニックは事の発端を思い起こす。


一度キリルとジャンナは実家に帰ったが、その間ニックはキリルから頼まれていた薬の調合をしていた。

途中、やれ紅茶だの宿題だのと思いもよらぬ珍事件が勃発したが。


ニックの家は学園とほぼ一体化した所にある。

丁度そこで薬が完成した時、キリルが帰ってきて早々ほざいた。


「よし!この薬を使って、ジャンナ達を追いかけるぞ!」


頭が痛い。


軽く犯罪の臭いがし、キッパリ断るも半分引きずられながらニックは任務を遂行する事になった。

青い魔法瓶に入った薬。

ニックが作っていたのはなんと、体が消えてしまう薬だった。





「おー、ちびちゃんたち来たかー!」


カッハハハとでっけぇ声で笑うのは、ラロの父親。


「初めまして。ジャンナと申します」

「淋漓です」


ペコリと頭を下げる私とジャンナを見て、やはりカハカハとでっかな声で笑っている。


「父さんのラルク。母さん今ね、仕事で魔法界中央機関に居っから、多分今週は帰ってこないな」

「お母さん、エリートさんだね」


魔法界中央機関は、ここオリエンタ地区にはオリエンタ支部、本部があるのは学校があるミストダイヤ。

魔法界を司る機関の中枢だ。


「へぇ、ラロのお母様はそこに勤めてるのね?」

「うん、そこの保安庁に」


ラロパパが冷蔵庫の扉から顔を出す。


「さ、ちび達夕飯作るぞ!」


そう言ったラロパパの右手に、その体に劣らない大きな肉の塊。

後ろのテーブルには、野菜や果物がどっさり転がっている。


全部調理するのだろうか?

仮に調理したとして誰があんなに食べるのだろう?


「凄い量ですね。食べきれるんですか?」

「おう嬢ちゃん、何だか客がまだ居るみたいだからな!沢山作って越したこたぁねぇ!」


ラロパパが部屋の端に視線を送った後ニヤリと笑った。

ラロパパの言った事に疑問を抱いた私たちだったが、質問する間なくラロパパの大きな声が体を揺らした。


「よし!ちびっこ共、庭からスパイスをとってくるんだ!」





他人の家に黙って入ると言うのはこんなにも大変な事だったのか。

足元に気は使うし、服が家具に引っ掛かったりしないかよく見なければならない。


「泥棒もご苦労なこって」


俺は前を行くキリルの背中を睨みながら着いていく。


そうっとドアから中を覗くと、淋漓たち四人が楽しそうに談笑している。


「くそ、ジャンナが笑ってる。可愛い・・・・・」


隣で馬鹿が何か喋っているが馬耳東風。


ラロの父親がニヤリと笑い、他にも客が居るようだ、と言った時ヒヤリとした。


見えている・・・?


キリルがこちらを見る。


いや今俺たちは完全に透明になってる筈だ・・・。

・・・・・・ばれてない筈・・・・。


そう考えながら、心なしか忍び足でスパイスをとりにいく淋漓達を追った。


何だかストーカーみたいだ・・・。

我ながら気持ちが悪い。


「ラロ、他にも客って、他に誰か呼んでるの?」


綺麗に整えられている庭の草や木の実ををむしりとりながら淋漓がラロに言った。


「いや、俺が呼んでるのは淋漓とジャンナだけだよ。誰だ?他って?父さん遂にボケたかな?」


心ですみませんと一つ謝っておく。


「そのうち分かるわよ。よしとれたわ。家に戻りましょ」


カゴに入れたスパイスを持って、三人はくしゃみを連発しながら家に入っていった。





ラロパパが作った料理は豪快に盛り付けされており、どれもとても美味しそうだ。


皆で椅子に座り、ラロパパがグラスに赤ワインの様なジュースをついでくれた。

乾杯をして、いただきます、と手を合わせ私はパンをちぎった。


ネズミの様にモシャモシャと咀嚼していると、壁に一枚の紙が貼ってあるのに気付いた。


家の形を型どった枠の中にネズミが描いてある。


不思議な事に、四匹のネズミはテーブルでご飯を食べているのだが、二匹、後ろで突っ立って食事中のネズミを眺めているネズミがいる。


変な絵・・・・。


またまた不思議な事にその絵は動くのだ。

美味しそうに食事をするネズミは尻尾を振り嬉しそう。それをただ眺めている二匹のネズミはじーっとただ見ているだけ。


あ、今立ってるネズミの一匹が指をくわえて食事を羨ましそうに見ている。


本当に変な絵・・・。


「おっ?淋漓ちゃん、あの絵気になる?」

「え?あ、はい。面白い絵ですね。後ろの二匹も食事に入れてあげればいいのに・・・・」


私がそう言うと、ラロパパは私の更に奥、壁に向かって言い放つ。


「だとよ。お二人さん。誰だか知らねぇが、んなチンケな透明薬なんか使ってねぇでさっさと出てこい」

「え?」

「透明薬?」

「・・・父さん、それどういう事?」


食べ物を口に入れたまま固まる私とラロ、ジャンナが何にも居ない空中に視線を這わす。


「形示せ、型どり型どり、薬よ抜けろ」


ラロパパの口から流暢に呪文が唱えられ、何にも居ない場所から二人の人影が・・・・・


って、


あれ?


まだ向こう側が透けて見える程度だが、その人影には見覚えがあった。


艶々の黒髪に仏頂面・・・

銀かかった金色の髪に青色の瞳・・・・


って、


「何でここに居るんですか!?」

「兄さん!?」

「おいおい冗談だろ」


私らはただただ呆然と、紛れもない正真正銘の、訳は解らないけど五千歩くらい譲りに譲って仮に何かしらの用事でこのような常識はずれ及び犯罪に関わらざるを得ない、いや確実に関わっているこの二人を見上げた。







ここまで読んで下さりありがとうございます!


更新大分遅れてすみませんでした。

色々模索していたら…、時が経つのは早いですね。


これからも登場人物が色々やらかしてくれるので、宜しくお願いします!

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