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パンドラ魔法学校と黄昏の賢者達  作者: 東奔西走
第二章:日常編
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第十三話:邪魔者を排除せよ!

私達は今マントルピースの前に居る。


夢の中に出てきたジャックの言った事を試す為に、私とジャンナとラロはマントルピースの前に並んだ。

談話室には私達意外誰も居ない。

絶好のチャンスだ。


季節はもう初夏、当然火は付いてない。

真っ暗なマントルピースの中を覗くが、特に変わった様子もない。


「取り敢えず、そのジャックって奴が言ったのを実行してみろよ」


ラロが呑気に欠伸をしながら言う。

私はジャックの言った言葉をもう一度頭の中で整理する。


「じゃ、じゃあやるよ?」


正直怖いがここまで来てやらない訳にはいかない。

ジャックが私にどう関係してるかわかるための一歩だと思い、私は固唾を飲む。


ジャンナが腕を組んできて、隣のラロがマントルピースに一歩近づいた。


すぅと息を吸う。


「アレク・・・

「なーにしてんのかなぁー?」


突如したその声は見事に私の声をかき消し、その場の雰囲気を一気にぶち壊した。

空気を読めないというのは正にこのことだ。


「「「・・・・・・・」」」


中々良い(・・)タイミングでいらっしゃたのはキリルとニックだった。

談話室のドアを閉め、二人はこちらに歩いてくる。


「一年生同士でつるんで一体何をしでかすのかな?」


キリルがニタリと気色の悪い笑みを浮かべ私達を見回した後、グルグルと周りをうろつき出した。

鬱陶しいったらない。


「いや普通一年生同士でしょ。こういうのは」


うろちょろするキリルに対し、ニックはソファーに座りこちらを面白うそうに傍観している。


「もう兄さん!急に何よ!」

「私達忙しい(・・・)んです」

「シスコンは黙ってあっち行って下さい。目障りです」

「そうよこれから大事な用事があるの!」


三人の集中攻撃に、主にジャンナの言葉にキリルは捨てられた子犬の用にしょんぼりし始めた。


「ラロ、本当(・・)の事言っちゃ駄目だよ」

「おっとそうだった。俺としたことが!つい本音(・・)を」


私とラロの会話に、隣のジャンナがクスクス笑う。


それを見たキリルが、この世の終わりの様な顔して、ニックの座るソファーに突っ伏した。


「お前も随分嫌われたもんだな」


ニックがケラケラ笑いながら、柄にもなくキリルの背中をポンポンする。

おいおいとやかましい泣き声を上げだしたキリルから顔を上げたニックがこちらを見た。


「で、本当に何を企んでるんだ?」


端整な顔立ちはいつもと変わらず、その金色の瞳にいつもドキリとしてしまう。


「えっと・・・・」


ラロが目で何か言えと訴えてくる。


「・・・タカラサガシ・・・・・?」

「どうしてカタコトなのよ」


何と言ったら解らず適当に行ってみたがジャンナが小声でつっこんできた。


どう答えよう?

ただの宝探しで納得するかな?

否、するはず無い。


「どうした?ただの宝探しとは少し違うようだが?」


ニヤリと笑うニックに、どう答えようか迷っていたその時、


「もうすぐ!?」「夏!!」「ルナ!と言うことは?」「パンドラ校定番!!」「「星願祭(エストレージャ)!!」」


けたたましく入って来た双子のルカとルナ。

そして間髪入れずに、双子ならではの見事な会話を繰り広げる。


「やぁ!淋漓!」「ジャンナにラロ!」「悪戯しようとしてるだろ?」「何で分かったって?」「顔に書いてあるよ!」「でもここに?」「黒猫とシスコンが居る」「それゆえ何にも出来なーーい!」


見事に息ピッタシそしておっしゃる通り。黒猫とシスコンのせいで私達の計画丸つぶれ。

ニタニタと笑いながらルカとルナは顔を見合わせる。


「よって俺等が!」「手助けをする!」「何故か?」「悪戯する奴は皆仲間さ!」


ルカとルナはポッケから何か出すとすかさず地面に叩きつけた。


「行け淋漓!!」「俺等の友よ!」「「姿クラマセーー!!」」


途端にポワンポワンポワンと青色の煙がモクモクし始め、ニックたちから私達が見えなくなる。


「今よ淋漓!!」

「ナイスだなあの二人!淋漓、早く言え!!」

「わ、わかった!」


突如来たチャンスに私は素早くジャックから言われた言葉を唱える。


『アレクサンダー寮マントルピースよ、我が友への道を開きたまえ。』


言い終え、後ろを見るがまだ煙が薄れていない。

ゴッホゴッホとニックとキリルの咳き込みが聞こえる。

おまけにケラケラ笑う双子の声も聞こえる。


「淋漓、暖炉が!」


ゴゴゴっと音がし、前に向き直ると、マントルピースのレンガが動き、地下に繋がる階段が見えた。


「マントルピースが空いた・・・・・」

「凄いわっ」

「・・・面白そうだな、小さい頃に戻ったみたいだ!」


興奮したジャンナとラロが私の両端に構え杖を取り出した。

二人が目を輝かしながら私を見た。指示を待っているらしい。


「よし、行こう!」

「ええ!」

「おうよ!」


ニックとキリルが追ってくる前に暖炉の中へ潜り込む。

本当はニックやキリルの様な、魔法使いの先輩を連れて行った方が危険は無いと思った。


だが、好奇心は一丁前。

少しだが今まで習ってきた魔法は何処まで通用するのか。


「ドキドキするわ!」

「この通路、パンドラ魔法学校に伝わるパンドラ怪談に出てくる地下室か?」

「そのパンドラ怪談の地下室には何があるの?」


私の声が冷たい通路に反響する。


「確かお墓だった気がする」

「お墓?」

「それって一体誰のお墓なのよ」

「それ以上は知らないんだ、ごめん」


ゴゴゴゴと音がしびっくりして後ろを振り返ると、マントルピースの入口が閉じられていた。

これでもう誰も追ってこれないわけらしい。


私は杖を取り出し、灯りをともした。


「行こう」







双子の放ったメクラシ玉(目がしみ、咳が出て、人により失神、吐血といった健康に多大な影響を与える代物)の煙が消えた頃、俺は談話室を見回す。

そこに双子と淋漓達の姿は無く、隣の埴輪の様な顔をし石器化しているキリルが居るだけだった。

さっきまで泣いていたはずなのになぜ今度は固まっているんだろう。


「おい、なんだお前死んだのか?」


微動だにしないキリルに気味悪さを感じ、視線をマントルピースに向ける。


確か三人はそのマントルピースの前にいた。

が、今は跡形もなく消えている。

もちろんマントルピース内には煙突があるが、そこに入ったとも考えにくい。


何処に行ったんだ?


あのタヌキ(校長)から、淋漓が危険な目に遭いそうだったら命がけで助けろ、と言われている。


タヌキの目がマジだったので、もし淋漓に何かあったら、俺が死刑なのは間違いなしだ。


不意に隣のキリルの首がこちらに曲がる。

いきなり動きしかも首から下が一切動かないのが気持ち悪い。


「ニック。俺、泣いていい?」


しかもいつになく真剣だった。


「嫌だ、止めろ、あっち行け!」

「ニックー!ジャンナに嫌われたーー俺はどうすれば、どうすればーー!!」


大声で泣きじゃくる面倒くさい友人から逃げていたら、バタンと談話室のドアが開きジャキジャキと金属音が響いた。


・・・・・この音・・・。


わざわざドアを開けた主を見ずとも解る。

アレクサンダークラス五年、鬼の寮長だ。


「君達、何を騒いでいるの」


視線で殺せそうな目付きに睨まれ、俺たちは黙って説教を受けた。


「君達、一週間寮のトイレ掃除ね。」

「「・・・・・・はい。」」





こんにちは。 

此処まで読んで下さりありがとうございます! 

自分の物語を読み返していつも思うのが、時々変な方向に行ってしまうんですよね…。 

こんな私が作った物語を読んでくれている読者様に深く感謝です! 


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