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パンドラ魔法学校と黄昏の賢者達  作者: 東奔西走
第二章:日常編
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第十話:水晶に写る不吉な陰


少々薄暗い教室に、天井からぶら下がる幾つもの人形。

その人形は私と目が合うとニヤリと不気味に笑った。


「ひっ」


まん丸の顔に単純な目と口と鼻がくっつけてあるのだが、その内口だけが動くもんだから自然と背筋が凍る。


周りを見回してみると窓にかかる赤黒い幕が目につく。それは外からの光をきっちりと遮断している。

部屋の中の明かりは全てランプだった。


それぞれ天井から吊るされたお粗末なランプと、机に一つずつ置かれたランプ。

ランプの明かり自体は綺麗だし温かみもあるし悪くないのだが、何だろう・・・この何かが違う感じは・・・・


「綺麗なランプがこの部屋の装飾で台無しだわ」


原因はそれか。


となりのジャンナがげんなりと周りを見回した。


悪趣味極まりないこの部屋、実は占星術の教室。

この不気味な飾りや人形は、授業をする最も理想的な造りらしい。


今日の占星術の授業は、アレクサンダークラスとエッジワースクラスの合同。


それイコール男子が多い。

つまり・・・・・


「男子って本当に嫌だわ」


隣に座るジャンナが心底嫌そうな顔をする。

ジャンナは男子が嫌いなのだ。兄には普通に接しているが、同じクラスの男子とまともに口を聞いているのは、今ところラロだけだった。

と、言ってもラロとも暫くすると口喧嘩が始まる。その仲裁は私の役目だ。


「本当に男子ばっかりだね」


周りを見渡すと、(エッジワースカラー)と銀のシマシマネクタイを身に付けた男子が目に着く。

今のところ女の子はまだ見つかっていない。


「よっこいしょ!」


ラロが忙しなく教室に入ってきて、私たちの座る机にジジくさく座った。


教室の机はほとんどが三人がけなので、いつの間にかジャンナ、私、ラロの順で座るのが習慣になっていた。


「今日はエッジワースとか。皆しっかりしてそうだな」

「確かに」


あまり軟弱そうなのはいない。


「でも男子は嫌いよ。」

「そうかいそりゃ残念。」


シエスタシエスタ(昼寝)、そう言いながらラロは眠りについてしまった。


まただ。彼はいつも授業が始まる前に寝てしまう。

スペイン人(ラロはスペイン人らしい。ちなみにジャンナはロシア人。)の特色だから仕方が無いらしい。


なのに何故か授業内容を把握しているのだ。是非私にも教えて欲しいもんだ。





『四人で一組になり、水晶玉を囲み未来を見つめる』


一見女とは思えないおぞましい占星術教師フラン先生が、両手を上に上げ気味悪い声で授業を始めた。


「さぁー!皆さん、四人にぃ、なるのぉですっ!!はぁ、未来を見るのでぇすっ!!!」


ジャラジャラジャラーーーー


フラン先生の腕には数え切れないほどの腕輪がはめられており、先生が何か動くと同時にジャラジャラと大きな音がする。

喋るのと同時に腕を激しく振るもんだから、元々のかすれ声が全然聞こえない。


「四人組みになれって」

「ラロ何で今の聞こえたの?」


隣のラロはそういうなりまた眠りについてしまった。


私達三人は、男子だらけエッジワースクラスの中から超レアな女子を見つけた。


赤髪のボサボサ頭に、鮮やかなオレンジ色の瞳。

その瞳は、クリっとしている、・・・・・筈なのだが何だか半分閉じられている。

所謂、ジト目ってやつだ。


「わたす、ジャンヌ・ギャロワと申しますだ。宜しくだ」


それに、ひどく訛りのある喋り方。

だが、ピンと張った胸と真っ直ぐな視線(ジト目だが)がとても頼もしく見える。

・・・・・いや見えないかも。


「私の名前とそっくりだわ。私ジャンナっていうの」

「たすかににてんねー。よろしく」

「よろしく。貴方凄く訛ってるけど、それ何とかならないの?」

「ジャンナさん、そりゃ無理があんべよ。」


所々濁点がついているジャンヌの訛りと、何のクセもないジャンナの会話が面白い。

隣で寝ているはずのラロも、時々笑いだす。不気味だ。


「まぁいいわ。さ、早く占いを始めましょ!」


四人(一人シエスタ中)で水晶玉を囲み、ジャンナが教科書通り手をかざす。


「汝の行く先、姿を映せ!」


凛とした声で呪文を発すると、水晶に映像が流れだした。


「これは?」

「どうゆーこったべなー?」

「大きな樹に大きなライオン?一体何を表すのかしら?」


私は手元にあった分厚い魔本を開き調べてみる。


水晶には、薄暗い森の中に一頭のライオンが映っていた。

一体これは何を表しているのか?パラパラと捲っていると、よく似た挿絵の載っているページにたどり着いた。


「これじゃない?」

「あんれぇー!挿絵で見っと、余計不気味んだな。」

「薄暗く陰湿な森は、何か良くない事が起こる前兆・・・怖いわね・・・・」

「特に大きな樹には要注意、大きな災いが起こる」


だがこのページにはライオンの事が載ってない。

一旦目次に戻り、動物欄を見るとそこにライオンはあった。


「ライオンは貴方にとって大きな味方、どんな災いにも大きな守護神となる」

「少しこれから注意して行動したほうがよさそうね」

「んだな」


ジャンナとジャンヌが話してる横で、私はもう一度水晶玉を見た。

けれどもうそこには何も映ってなかった。


何だろう、この胸騒ぎは・・・。


何かこれから良くない事が起こりそうで、私は水晶玉から目を逸らした。




不吉ですね。

これから色々勃発して行きます。あんな事や変な事、もぞもぞと創作していますので、これからも宜しくお願いします!




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