第一話:夢の中の門
どうもこんにちは!
初連載です♪
色々とおかしな所が有ると思いますが、一生懸命書いていきたいと思います!
宜しくお願いします!
それでは、少しでも読者様が楽しめますように………
―――まただ。
またこの夢・・・
とても悲しくて胸を締め付けるこのシーン・・・・・・
どうして私はこの夢ばかりみるのだろう?
何か・・・何か私に関係してるの?
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しんしんと降り続ける雨。
一面が緑色の草の絨毯は今、下を向きながら、落ちてくる雫を地面へと促している。
まるで泣いている様だ。
門、あの場所へ繋がるこの扉。
遠い記憶が、歯止めを知らぬ清流の様に頭の中に流れ込む。
眼を閉じると、まるで今起きているかの様に、目蓋の裏に鮮明に映し出されるあの情景。
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「ジャック、この世界に革命を起こしてみないか?」―――――
そう笑ったあいつはもういない。
こんな事になるんだったら、・・・・・・自分の中での後悔が止まらない。
頬を伝う雫は雨か涙か、はたまた血かも解らない。もうぐちゃぐちゃだ。
漆黒の髪もローブも手も足も、心も皆ボロボロで、こんな俺をあいつが見たら、「しっかりしろ!」と怒るだろうな。
辛い、辛い・・・・・
この門から出ていきたい!
全てを忘れて何もかも解放されたい!
バンッと拳で扉を叩く。
だが雨で滑り、身体が崩れる様に地面に座り込む。
前に立ちふさがる壁に、動かぬ門に、自分の無力さが改めて胸を打つ。
ああこれで二度目だ。
一度目は・・・・・・あの時
親友のロビンを目の前で殺された時。
大切な人を失う怖さとその後に残る喪失感、人の命の儚さを前に、
俺は何もする事が出来ない。
―――たった19歳の俺は無力だ。
「・・・・・・うっ・・・うあああぁっ!!!」
抑えきれない嗚咽を俺は長い間吐き出していた。
遠くでは、大砲を撃つ音がしきりに鳴っていた。
また同じ夢だ。
最近同じ様な夢を見る様になった。
シーンはいつも広い草原に一つの、前も後ろも無い門、天候はいつも雨。
空は重苦しい灰色の雨雲。
その草原に一人の男の人が立っている。酷く悲しいシーンなのだ。
布団から出て顔を洗う。
鏡に移る自分の顔はいつもとなんら変わらない。
私の名前は結城淋漓。
凄く変わった名前。
特に美人な訳じゃないし、これといって得意な事が有るわけでもない。強いて言えば剣道(中学の時やってた)、ヴァイオリン(あまりの下手さにやめた)。
しかし数学だけは別格だった。
何故か私の脳内構図は数学がお得意の様で、いつの間にか、というか勉強しなくとも数学は出来た。その代わり、英語は壊滅的。三人称単数形ってなんだ。
性格もそこそこ明るいくらいかな。
まぁつまり、名前が珍しい=凄いでなく、特に何もない女の子なのでした。
今日は春休み最後の日。
明日から私も高校生だ。
幼い頃に亡くなった両親の代わりに今まで育ててくれた伯父さんと伯母さんの進めで、代々結城家が継いできたお化け屋敷の様な洋館に住むことにした。
内装はともかく(クモの巣が赤外線センサーみたくなってた)、洋館の外見は凄く立派だし、周りは自然豊かで、景色は最高だ。
ベランダに出て感傷に浸る。
一面の草原に風に揺れる木々、空気はいつも新鮮で息を吸うと肺に春の冷たい空気が入る。
この洋館には先祖達が住んでいた。代々このオバケの一匹や二匹出そうな所で、・・・・・・・人里離れた所で・・・何を思っていたんだろう・・・・・。
感傷終わり。
「さ、朝ご飯食べたら散歩に行こう。」
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ポケットに財布と携帯電話を突っ込み、私は重い扉を開いて外に出た。
空は快晴で気温も穏やか、散歩するには持って来いだ。
緑色の絨毯の上を風と一緒に前進する。
人は私しか居なかった。
まあ元々こんな所にわざわざ遊びに来る人は居ないだろうが、こんな天気のいい日にここでピクニックでもしたら気持ちよさそうだ。
ピピピ、と電子音がした。
携帯電話を引っこ抜き、画面を見ると友人からのメールだった。
適当に読み、返信は後で、と私は携帯電話を手にしたまま歩いた。
幾つもの丘陵を超える。
すると、ゆるいカーブになる下り坂に繋がった。
「あ、あれ?・・・・・・」
広い草原の中に『ポツン』と言うより『デンッ』とそびえ立つ門。前も後ろも無く、通り抜けるだけの様な門。
近づいてよく見る。
レンガで作られている枠に結構丈夫そうな木の扉。
それは裏から見ても表から見ても変わらなかった。
間違えない。
「夢に出てくる扉と同じ・・・・・・・」
ぶわりと空気が舞い上がる。
一面の草原が風で騒ぎ始める。
私の頭が警告音を発し、脳から行くなと指令が出る。
だが足は吸い寄せられる様に門へと近づいてしまう。
手から携帯電話が落ちたが、私はお構いなしに前へ進んだ。
風が背中を押す。
この門の奥には何が有るのだろう?
私の夢と何か関係あるの?
ただ通り抜けるしかなさそうなこの門は、一体何?
ガチャリ、という音にはっ、とすれば、もう門に手を掛けていた。
門は開いた。